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By blkswn.01

黒鳥社が贈る音声コンテンツレーベル。気になる話題を気になるあの人と語らう対談シリーズ「blkswn dialogue」ほか、レクチャーからドキュメンタリーまで、多彩なエピソードを続々と展開予定です。いつでもどこでも聞いて楽しい、たまに役立つポッドキャストレーベルです。
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『ネット社会を生きる10ヵ条』ダグラス・ラシュコフ|音読ブラックスワン#8

blkswn radioJul 05, 2020

00:00
28:20
『詩と散策』ハン・ジョンウォン|音読ブラックスワン#116

『詩と散策』ハン・ジョンウォン|音読ブラックスワン#116

『詩と散策』


ハン・ジョンウォン |橋本 智保・訳|書肆侃侃房|2023年2月6日


朗読箇所:「悲しみ、咳をする存在」より(P.39~50)




散歩を愛し、猫と一緒に暮らす詩人ハン・ジョンウォンが綴るエッセイ

雪の降る日や澄んだ明け方に、ひとり静かに読みたい珠玉の25編


オクタビオ・パス、フェルナンド・ペソア、ローベルト・ヴァルザー、シモーヌ・ヴェイユ、パウル・ツェラン、エミリー・ディキンソン、ライナー・マリア・リルケ、シルヴィア・プラス、金子みすゞ、ボルヘス……


『詩と散策』は、著者のハン・ジョンウォンがひとり詩を読み、ひとり散歩にでかけ、日々の生活の中で感じたことを記している、澄みきった水晶のようなエッセイ集だ。読者は、彼女の愛した詩人たちとともに、彼女が時折口ずさむ詩とともに、ゆっくりと散歩に出かける。



【目次】

宇宙よりもっと大きな

寒い季節の始まりを信じてみよう

散歩が詩になるとき

幸福を信じますか?

11月のフーガ

悲しみ、咳をする存在

果物がまるいのは

夏に似た愛

心のかぎりを尽くして来たから

永遠のなかの一日

海から海のあいだに

なにも知りません

よく歩き、よく転びます

国境を越えること

みんなきれいなのに、わたしだけカンガルー

ひと晩のうちにも冬はやってくる

夢とおなじ材料でできている

夕暮れただけ

窓が一つあれば十分

灰色の力

真実はゆっくりとまぶしくなければ

猫は花の中に

いくつかの丘と、一点の雲

今日はわたしに、明日はあなたに

彼女の歩く姿は美しい(送らない手紙)


日本の読者のみなさんへ

訳者あとがき



http://www.kankanbou.com/books/kaigai/kaigai_essay/0560



企画・朗読:若林恵

録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)

音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii

書影撮影:Kaori Nishida

黒鳥福祉センターにて収録

Jul 23, 202326:00
『江戸のキャリアウーマン:奥女中の仕事・出世・老後』柳谷 慶子|音読ブラックスワン#115

『江戸のキャリアウーマン:奥女中の仕事・出世・老後』柳谷 慶子|音読ブラックスワン#115

『江戸のキャリアウーマン:奥女中の仕事・出世・老後』


柳谷 慶子 |吉川弘文館|2023年2月17日


朗読箇所:第1章「奥女中と出会う」より(P.1~9)




生家を離れ、単身武家への奉公に出た奥女中。家柄に関係なく器量次第で出世できた彼女たちの働きぶりやキャリア形成、老後の待遇はいかなるものであったのか。儀礼の差配、親族大名との交際・文通、将軍家への使者など、奥向から大名家の存続を支えた職務に注目。年功を積み上げ生涯をかけて職をまっとうした奥女中の姿に、働くことの意味を問う。



【目次】

奥女中と出会う―プロローグ/伊達家歴代の「奥向奥方」(伊達家の相続と奥女中/初代政宗から四代綱村まで/五代吉村から七代重村まで/八代斉村から一三代慶邦まで)/奥女中の就業規則(職務と役割分掌/出仕・役替・昇進・懲罰/給与と待遇)/行事と交際を支える(行事と作法/文通を担う)/御城使 江戸城大奥へ使者となる(御城使の任務と権威/「大奥勤め」での登城/非公式ルートの交渉/御城使と男性家臣との協業)/老後と名跡立て(老いても働く/家を興した奥女中)/奥女中として生きる―エピローグ



http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b618488.html



企画・朗読:若林恵

録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)

音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii

書影撮影:Kaori Nishida

黒鳥福祉センターにて収録

Jul 09, 202321:32
『価値論:人類学からの総合的視座の構築』デヴィッド・グレーバー|音読ブラックスワン#114

『価値論:人類学からの総合的視座の構築』デヴィッド・グレーバー|音読ブラックスワン#114

『価値論:人類学からの総合的視座の構築』


デヴィッド・グレーバー |藤倉 達郎・訳|以文社|2022年12月2日


朗読箇所:第7章「私たちの夢の偽硬貨、またはフェティッシュの問題IIIb」より(P.377~388)




『負債論』(2011)そして『ブルシット・ジョブ』(2018)などの著作でその名を世界中に轟かせたデヴィッド・グレーバーが2001年に出版したデビュー作(Toward an Anthropological Theory of Value)の待望の翻訳。


本作は、グレーバーが博士論文の出版を後回しにしてまで自身の課題に取り組んだ「最初の主著」であり、また彼のライフワークともなった「価値の総合的理論の構築」へ向けた「最初の一歩」である。


デビュー作とは思えない(あるいはデビュー作ゆえの)博覧強記で、これまでの彼の著作以上に読者を困惑させるその筆致=思索には、のちに数々の作品で「価値転覆」的な発想をもって世界を驚かせてきたグレーバー思想のエッセンスが集約されており、徹頭徹尾「エコノミズム(経済主義)」批判に貫かれた本書において、その概念に対置された「コミュニズム」は一体いかなる像を結ぶのか?


シカゴ大学人類学科でグレーバーと同僚だった藤倉達郎氏によるリーダブルかつ正確な翻訳でお届けする、グレーバー思想の源流。




【目次】

序にかえて


第1章 価値を語る三つの方法


 クライド・クラックホーンの価値プロジェクト

 利益を最大化する個人

 構造主義と言語学的な価値

 結論  


第2章 交換理論の現在の潮流


 マルクス主義の興隆とその後

 経済人の再来

 アパドゥライの「価値の政治」

 補足的説明──アネット・ワイナーの譲渡不可能なモノ

 ストラザーンのネオ・モース派アプローチ 

 マルクス主義による批判、モース派の返答

 総合に向けて? 

 ナンシー・マン──行為の価値 

 結論(なぜこんなに行為が少ないのか?)


第3章 行為の重要性としての価値


 西洋的伝統の裏面

 マルクスの価値論

 「人間行為論的(praxiological)アプローチ」

 動態的構造

 自己中心性と部分的意識

 象徴分析としての『資本論』

 市場なき社会

 バイニング―生産と実現

 カヤポ―家庭内サイクルと村の構造 

 価値のト ークン(しるし)

 価値、価値観、フェティシズム

 第一の覚書──否定的価値

 第二の覚書──直接的収奪と間接的収奪

 結論──千の全体性


第4章 行為と反影、あるいは富と力の理論へむけての覚書


 富の誇示

 行為(action)と反影(reflection)

 「貨幣」対「硬貨」

 フェティシズムのさまざまな種類 

 マダガスカルと奴隷貿易 

 オディとサンピィ

  供犠とお守りの創出

 政治的次元、あるいは儀礼的生贄としての税

 展望と結論


第5章 ワンパムとイロコイの社会的創造力


 ワンパムの起源

 名前の復活

 戦争と社会構造 

 平和をつくる

 「偉大なる平和」の起源

 循環と歴史  

  創造と意図性  

 夢の独裁  

 真冬の儀式と白犬の生贄  

 夢の経済 


第6章 マルセル・モース再訪 


 社会契約としての贈与

 社会主義理論への貢献としての『贈与論』

 モノと人

 事例1──クラの腕輪と首飾り

 マオリとクワキウトル 

 事例2──アオテアロアにおける贈り物

 事例3──クワキウトルのポトラッチ 

 結論Ⅰ──いくつかのものごとの解明

 結論Ⅱ──政治的および道徳的な結論


第7章 私たちの夢の偽硬貨、またはフェティッシュの問題 Ⅲb  


 王と硬貨  

 再考

 魔法とマルクス主義

 魔法と人類学

 魔法的な態度と宗教的な態度 

 クトゥルフの建築家 

 結論

 マルクス対モース、ふたたび


謝 辞


『価値論』の背景と概説─訳者あとがきにかえて


 シカゴ大学の人類学

 本書の概説

 本書執筆前後のグレーバー及び本書翻訳の経緯



http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103713/



企画・朗読:若林恵

録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)

音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii

書影撮影:Kaori Nishida

黒鳥福祉センターにて収録

Jun 25, 202333:12
『ザ・メタバース:世界を創り変えしもの』マシュー・ボール|音読ブラックスワン#113

『ザ・メタバース:世界を創り変えしもの』マシュー・ボール|音読ブラックスワン#113

『ザ・メタバース:世界を創り変えしもの』


マシュー・ボール |井口 耕二・訳|飛鳥新社|2022年11月8日


朗読箇所:Chapter04「次なるインターネット」より(P.89~100)




ザッカーバーグも、

エピックゲームズのティム・スウィーニーも

本書の著者による「メタバース」の分析に

大きな影響を受けてきた!


「メタバース」がここまで広がる元になった

伝説のウェブ記事を書いた第一人者が、

渾身の書き下ろし!


全米で話題の決定版が、ついに日本上陸!

「ウォール・ストリート・ジャーナル」ベストセラー!

米アマゾン「エディターが選ぶノンフィクション」に選出!


WIRED日本版編集長 

松島倫明氏 推薦!

「テクノロジーの未来はすべてここに書かれている。

その可能性の限界を決めるのは、わたしたち人間の想像力だ」


テック界の最重要人物たちも激賞!


リード・へイスティングス

(ネットフリックス共同創業者・共同CEO、ベストセラー『NO RULES』著者)

「本書を読めば、事実と作り話を見分けられるようになるし、

単なるこけおどしと現実も見分けられるようになる。

メタバースがどういう可能性を秘めているのか

知りたければ、まずは本書を読むべきである」


ティム・スウィーニー

(「フォートナイト」のエピックゲームズ創業CEO)

「マシュー・ボールはメタバースとはなんであるのかを

分析してはっきりさせ、世の中に訴えてきた。

そんな彼が書いた本なのだ、

メタバースという新たなるメディアの

戦略的・技術的・哲学的な基盤を知るに

不可欠ながらわかりやすいガイドであるのも

うなずけるだろう」


和田洋一

(元スクエア・エニックス代表取締役社長)

ありがたい予言、バラ色の妄想、

いつもながらの煽りに、

そろそろ飽きてきた頃ではないか。

何をすべきで、何をすべきでないか、

広い視野で頭を整理したいなら、

本書を読むべきだ。

著者は、預言者、妄想家、扇動屋を

評価も非難もしない。

なぜなら、残念ながら答えがないのが正解だからだ。

では、ワクワクするような未来はないのか。

いや、そんなことはない。

それを探す意味でも、

本書を手に取ってほしい。


この本を読めば、ようやくメタバースの全容がわかる!

・いちばん信頼できるメタバースの定義

・AR・VR・レンダリング・ブロックチェーン…

すべての最重要ワードは、

「メタバース」でつながる!

・GAFAMの中で勝算があるのは?

・メタバース時代はいつ来るのか



【目次】

1 メタバースとは?(未来を概観する;混乱、不透明;ひとつの定義(やっとかい);次なるインターネット)

2 メタバースの創り方(ネットワーク;コンピューティング;仮想世界のエンジン;相互運用性;ハードウェア;ペイメントレール;ブロックチェーン)

3 メタバースですべてが変わる(メタバース時代はいつ来るのか;メタビジネス;メタバースの勝ち組と負け組;メタバースにおける存在の問題)

結論 だれもが傍観者


https://www.asukashinsha.co.jp/bookinfo/9784864109284.php



企画・朗読:若林恵

録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)

音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii

書影撮影:Kaori Nishida

黒鳥福祉センターにて収録

Jun 11, 202332:32
『弱者に仕掛けた戦争:アメリカ優生学運動の歴史』エドウィン・ブラック|音読ブラックスワン#112

『弱者に仕掛けた戦争:アメリカ優生学運動の歴史』エドウィン・ブラック|音読ブラックスワン#112

『弱者に仕掛けた戦争: アメリカ優生学運動の歴史』


エドウィン・ブラック|貴堂 嘉之・編|西川 美樹・訳|人文書院|2022年4月27日


朗読箇所:「はじめに」より(P.15~26)




アメリカ優生学運動が目指したものとは何だったのか?


ナチのホロコーストで膨大な数の人びとの生命を奪った優生思想は、アメリカにおいていかに暴走を始めたのか。背景には、「超越人種」の存在を信じ、地道に教えを説き奔走する科学者たち、そして彼らに莫大な資金を投資する財団や研究所があった。診療記録から書簡まで、厖大な資料をもとに当時の人びとの声を甦らせ、現代社会にも根深く息を潜める優生学の拡大をつぶさに追う渾身の書。



「今回、本書を邦訳しようと思ったのは、本書がこれまでのアメリカ優生学運動史のみならず、国際的な優生学運動史を塗りかえる内容となっているからである。(…)アメリカ優生学運動や戦前の国際優生学運動の全貌を解き明かすプロジェクトは、一人の歴史研究者では一生涯をかけても達成不可能な仕事に思われるのだ。だが、ブラックはこの遠大なプロジェクトを圧倒的な調査力をもってやってのけた。」(監訳者解題より)



【目次】


第一部 豆の鞘(さや)から迫害へ

第一章 山岳民の掃討

第二章 進化

第三章 アメリカ独自の生物学

第四章 不適者を狩る

第五章 人種学を合法化する

第六章 断種合衆国

第七章 産児調節(バース・コントロール)

第八章 盲目

第九章 雑種化


第二部 優生学による虐殺(ユージェノサイド)

第一〇章 起源

第一一章 英国の聖戦

第一二章 優生学的帝国主義

第一三章 優生学による虐殺(ユージェノサイド)

第一四章 人種と血(ラッセ・ウント・ブロート)

第一五章 ヒトラーの優生帝国

第一六章 ブーヘンヴァルト

第一七章 アウシュヴィッツ


第三部 新優生学(ニュージェニクス)

第一八章 灰からの、その後

第一九章 アメリカの遺産(レガシー)

第二〇章 優生学から遺伝学へ

第二一章 新優生学(ニュージェニクス)


http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b590672.html



企画・朗読:若林恵

録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)

音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii

書影撮影:Kaori Nishida

黒鳥福祉センターにて収録

May 28, 202351:12
『ゾンビと資本主義:主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて』遠藤徹|音読ブラックスワン#111

『ゾンビと資本主義:主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて』遠藤徹|音読ブラックスワン#111

『ゾンビと資本主義:主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて』

遠藤徹|工作舎|2022年10月30日

朗読箇所:第3章「資本主義からの緊急避難」より(P.113~122)



現代思想の手法でゾンビ表象を読み解く

アフリカの民間信仰を源流とし、19世紀にハイチのヴードゥー教の「生ける死者」となった「ゾンビ」。1932年にアメリカ映画で吸血鬼に次ぐモンスターとして登場後は、またたくまにスクリーンを席捲し、やがては社会のさまざまな事象を代弁し、刻印できる便利な「表象/隠喩」として定着した。理性も知性ももたず人を襲い、嚙まれた者も同類になっていく 本書はこうしたゾンビのあり方に、この世/主体/資本主義/人種/ジェンダーの枠組みから逃避する道の可能性を見出す。

多彩な現代思想の手法を駆使して、現代社会でゾンビ表象が担う意味をあぶりだした知的冒険の書。


【目次】

プロローグ:ゾンビを待ちなが
第1章:この世からの緊急避難
 1.  観客がゾンビを産み出した
 2.  アメリカ=ゾンビ
 3.  鏡としてのゾンビ
 4.  災害多幸症

第2章:主体からの緊急避難
 1. 解放としてのゾンビ身体
 2. 意味から碇を上げる
 3. どちらでもあり、どちらでもない
 4. ゼットピア

第3章:資本主義からの緊急避難
 1. 反専有の魔術
 2. 資本主義が/とゾンビ
 3.  2000年代のゾンビ

第4章:人種からの緊急避難
 1. 白いゾンビの出現
 2.  黒人の変容
 3. ハイパーホワイトの登場
 4. オリエンタル・ゾンビ
 5. ゾンビ王オバマ

第5章:性からの緊急避難
 1. ゾンベイビー
 2. セクシャル・ゾンビ・ナンバー・ワン
 3. ロマンチック・ゾンビ
 4. リキッド・モダニティとゾンビ

第6章:緊急避難口から振り返る
 1. 「それじゃあ、ゾンビになってみよう」
 2.  映像を見るということ

エピローグ:真正ゾンビのほうへ


https://www.kousakusha.co.jp/BOOK/ISBN978-4-87502-548-1.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 25, 202228:20
『プルースト 読書の喜び:私の好きな名場面』保苅瑞穂|音読ブラックスワン#110

『プルースト 読書の喜び:私の好きな名場面』保苅瑞穂|音読ブラックスワン#110

『プルースト 読書の喜び:私の好きな名場面』

保苅瑞穂|筑摩書房|2022年9月12日

朗読箇所:「Ⅲ 音楽あるいは魂の交流──吉田秀和先生に」より(P.76〜87)



豊饒な時間の滴り
プルースト歿後100年──『失われた時を求めて』の世界へいざなう最良の書

『失われた時を求めて』がかくも人を魅了するのはなぜなのか。この作品が与えてくれる愉悦を著者鍾愛の場面を通して伝える珠玉のエセー。

よく知られた〈紅茶とマドレーヌ〉やヴァントゥイユの小楽節との再会、海辺の乙女たち、祖母の死――。20世紀最高の小説『失われた時を求めて』から、著者が鍾愛してやまない場面を読み解き、この大作へ読者をいざなう。なぜプルーストはかくも多くの人々を魅了するのか。人間を見る際の認識が精細を極めていることはもとより、知覚対象がもつ生命の再創造を小説の言葉によって成し遂げたこと、それが読む者に精神の躍動、つまりは幸福感をもたらすからである。傑出したプルースト学者が、読書の愉悦をあますところなく伝える珠玉のエセー。


【目次】

読者に 

Ⅰ 雨上がりの森──序にかえて
Ⅱ 水中花のように
Ⅲ 音楽あるいは魂の交流──吉田秀和先生に
Ⅳ 夜明けの停車場
Ⅴ 海と娘と薔薇の茂み
Ⅵ オルフェウスの叫び
Ⅶ 春の驟雨──井上究一郎先生に
Ⅷ 死の舞踏──野田弘志に
あとがき

解説:野崎歓

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480511416/

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて

Dec 18, 202229:44
『みんなが手話で話した島』ノーラ・エレン・グロース|音読ブラックスワン#109

『みんなが手話で話した島』ノーラ・エレン・グロース|音読ブラックスワン#109

『みんなが手話で話した島』

ノーラ・エレン・グロース|佐野正信・訳|ハヤカワ文庫NF|2022年10月4日

朗読箇所:「6. 島で聾者として育つ」より(P.167〜182)


 * * *


作家・円城塔氏推薦!「わたしはかつて、この本がしゃべるのを聞いたことがある」

「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾(ろう)というだけでした」(本文より)

アメリカ・ボストンの南に位置するマーサズ・ヴィンヤード島。今やオバマ元大統領ら多くの著名人が別荘を構える風光明媚な観光地として知られるこの島では、20世紀初頭まで、遺伝性の聴覚障害のある人が多く見られた。ここでは聞こえる聞こえないにかかわりなく、誰もがごく普通に手話を使って話していた。耳の聞こえない人も聞こえる人と同じように育ち、社交し、結婚し、生計を立て、政治に参加した。

文化医療人類学者である著者グロースは現地に赴き、島民みんなが手話を使ってくらしていた時代を知る多数のインフォーマント(情報提供者)の証言を丹念に採集し、過去の科学的研究資料とオーラル・ヒストリーとを照らし合わせながら、島の社会文化の来歴を解き明かし、当時の生活やコミュニティを活写する。

「障害」「言語」そして「共生社会」とは何かについて深く考えさせる、文化人類学者によるフィールドワークの金字塔。

解説:澁谷智子(成蹊大学教授、『ヤングケアラー』『コーダの世界』著者)


【本書本文より】

島の聾の男女について最も心に残る事実は、誰も聾をハンディキャップと受け取らなかったという意味で、聾者は障害者(ハンディキャップ)ではなかったということである。ある女性はこんなふうに話している。「あの人たちが特別だと思ったことはありません。あの人たちは他の人とまったく同じでした。そうだとしたら、この島ほど素晴らしい場所は、他になかったんじゃないでしょうか」

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015250/









企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 11, 202237:05
『イリノイ遠景近景』藤本和子|音読ブラックスワン#108

『イリノイ遠景近景』藤本和子|音読ブラックスワン#108

『イリノイ遠景近景』

藤本和子|ちくま文庫|2022年9月12日

朗読箇所:「平原の暮らし」〈断片のアメリカーナ〉より「タブロイド判の精神」(P.60〜68)


「藤本さんの『聞く人』としての本領はここでもいかんなく発揮され、 この本はたくさんの人々の声でがやがやと息づいている」──岸本佐知子(本書解説より)

刊行後即重版! 名翻訳者による、どこを読んでも面白いエッセイの傑作。近所のドーナツ屋で野球帽の男たちの話を盗み聞きする、女性ホームレスの緊急シェルターで夜勤をする、ナヴァホ族保留地で働く中国人女性の話を聞く、ベルリンでゴミ捨て中のヴァルガス・リョサに遭遇する……アメリカ・イリノイ州でトウモロコシ畑に囲まれた家に住み、翻訳や聞書をしてきた著者が、人と会い、話を聞き、考える。 人々の「住処」をめぐるエッセイの傑作。〈解説:岸本佐知子〉

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480438423/


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 04, 202222:32
『土地は誰のものか:人口減少時代の所有と利用』五十嵐敬喜|音読ブラックスワン#107

『土地は誰のものか:人口減少時代の所有と利用』五十嵐敬喜|音読ブラックスワン#107

『土地は誰のものか:人口減少時代の所有と利用』

五十嵐敬喜|岩波新書|2022年5月26日

朗読箇所:第5章「現代総有──土地所有権と利用の新しい形」より(P.211〜217)


***

「太平洋戦争の敗北より深刻」と司馬遼太郎が嘆いた地価高騰・バブルから一転、空き家・空き地の増大へ。生存と生活の基盤である土地はどうなるのか。近年続々と制改定された土地基本法と相続など関連する個別法を解説するとともに、外国の土地政策も参照し、都市計画との関係や「現代総有」の考え方から解決策を探る。

https://www.iwanami.co.jp/book/b599122.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Nov 27, 202218:12
『黒人音楽史:奇想の宇宙』後藤護|音読ブラックスワン#106

『黒人音楽史:奇想の宇宙』後藤護|音読ブラックスワン#106

『黒人音楽史:奇想の宇宙』

後藤護|中央公論新社|2022年10月20日

朗読箇所:第5章「Pファンクの宇宙──道化としてのジョージ・クリントン」より(P.183〜196)


***

「静かなやり方で」、新しい歴史を紡ごう

奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代まで。アメリカ黒人の歴史とは、壮絶な差別との闘いであり、その反骨の精神はとりわけ音楽の形で表現されてきた。しかし黒人音楽といえば、そのリズムやグルーヴが注目された反面、忘れ去られたのは知性・暗号・超絶技巧という真髄である。今こそ「静かなやり方で」(M・デイヴィス)、新しい歴史を紡ごう。本書は黒人霊歌からブルース、ジャズ、ファンク、ホラーコア、ヒップホップまで、黒人音楽の精神史をひもとき、驚異と奇想の世界へと読者をいざなう。古今東西の文献を博捜した筆者がおくる、新たな黒人音楽史。

https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/10/005585.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Nov 20, 202228:16
『おしゃべりな脳の研究:内言・聴声・対話的思考』チャールズ・ファニーハフ|音読ブラックスワン#105

『おしゃべりな脳の研究:内言・聴声・対話的思考』チャールズ・ファニーハフ|音読ブラックスワン#105

『おしゃべりな脳の研究:内言・聴声・対話的思考』

チャールズ・ファニーハフ|柳沢圭子・訳|みすず書房|2022年4月5日

朗読箇所:第10章「鳩の声──古代・中世の聴声」より(P.154〜165)


***

あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか? 脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。

読めば、内言や聴声の経験の想像を超える多様さに、まず驚かされる。脳内の「声」は当人の声に似ているか、完全な文章で語るかといった一般的性質はもちろん、スポーツ選手のセルフトーク、ろう者の場合、小説家が登場人物の台詞を綴る場合、黙読、fMRIで捉えた特徴など、内言や聴声があらゆる方向から調べられている。「声」の経験の圧倒的な多様性の前では、日常的に感覚している脳内の語りと、「病的」とされてきた聴声の間の線引きも色褪せはじめる。

「多くの人の内言には、ほかの声が満ちあふれているのである」「私たちは聴声経験の聴覚的性質にこだわるのをやめて、見過ごされてきた事実に目を向けるべきである。まず、声は交流できる存在だということ」

これらは、「対話的思考」と呼ぶべき本性への手がかりであると著者は言う。ピアジェ、ヴィゴツキーといった偉大な心理学者たちも、内言や聴声を意識の本性についての大きな手がかりとした。読み進めるほどに心を奪われる、ユニークな探究の書。


【目次】

第1章 不思議なチーズ──内なる声と思考の関係
第2章 ガス灯をつける──内観という方法
第3章 おしゃべりな器官の内側──自分の異なる部分どうしが会話する
第4章 ふたつの車──子どもの私的発話と内言の発達
第5章 思考の博物学──内言の種類、外言との関連
第6章 ページ上の声──黙読について
第7章 私の合唱──対話的思考と創造性
第8章 私ではない──聴声の経験
第9章 さまざまな声──聴声経験と内言の多様性に注目する
第10章 鳩の声──古代・中世の聴声
第11章 自らの声を聴く脳──言語性幻聴の神経科学
第12章 おしゃべりなミューズ──作家が聴く声について
第13章 過去からのメッセージ──トラウマ的記憶と聴声
第14章 しゃべらない声──非聴覚的・非言語的な経験
第15章 自分自身と会話する──「声」の重要性の探究

https://www.msz.co.jp/book/detail/09077/

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Nov 13, 202238:34
『韓国の「街の本屋」の生存探究』ハン・ミファ|音読ブラックスワン#104

『韓国の「街の本屋」の生存探究』ハン・ミファ|音読ブラックスワン#104

『韓国の「街の本屋」の生存探究』

ハン・ミファ|渡辺麻土香・訳|石橋毅史・解説|クオン|2022年5月31日

朗読箇所:第2章「誰が、なぜ、どうやって?」より(P.36〜48)


***

本屋が息づくと、その街が息づく──韓国各地に個性的な街の本屋が誕生し「本屋巡り」が定着するほど注目を集める一方で、日々どこかで本屋が店を閉じている。長年にわたり韓国の出版業界を見つめてきた著者が、奮闘する街の本屋の姿を中心に「本の生態系」を描き話題となったノンフィクション。

日本語版には出版ジャーナリスト石橋毅史を「案内人」に迎え、解説やオリジナルエピソードも収録。夏葉社代表 島田潤一郎による寄稿も巻末に収録。


「決して儲からないというのに、この場所には本や本屋が必要だという切なる想いを抱き、それぞれの本屋がそれぞれのやり方で、本に未来を託している。この多様な本屋の在り方こそが、これからの世界を象徴しているようで、その姿はとても頼もしい」──黒田義隆さん(ON READING)


「実態を調査研究し問題点を捉え、本と本屋の未来を具体化しようとする著者の努力と思いに強く感銘を受けたし、日本も独立書店ブームの先、継続させていくための冷静な視座が必要だと思う。海の向こうで今日も本屋が営まれていることを想像しながら、自分も頑張ろうと改めて腹を据えた読書体験だった」──渡慶次美帆さん(くじらブックス)


「『韓国の「街の本屋」の生存探求』は近年出版された中でも最良の『本屋本』の一つ。『楽しく』と『真面目に』を両立しながら読み進めてもらえる本だ」──松井祐輔さん(H.A.B)


http://cuon.jp/info/2356
https://hanmoto9.tameshiyo.me/9784910214344


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Nov 06, 202224:48
『「社会」を扱う新たなモード:「障害の社会モデル」の使い方』飯野由里子・星加良司・西倉実季|音読ブラックスワン#103

『「社会」を扱う新たなモード:「障害の社会モデル」の使い方』飯野由里子・星加良司・西倉実季|音読ブラックスワン#103

『「社会」を扱う新たなモード:「障害の社会モデル」の使い方』

飯野由里子・星加良司・西倉実季|生活書院|2022年7月30日

朗読箇所:第2章「『心のバリアフリー』は毒か薬か」(飯野由里子・星加良司)より(P.71〜83)


この「社会」は偏っている! !

時に小さく時に大きく「社会」の範囲を見積ることで「偏り」を隠微に維持しようとする権力装置。矮小化された「障害の社会モデル」理解をアップデートすることによって、「マジョリティ性の壁」を見定め突き崩すための思考の在り方=新たなモードを提示する。


【目次】

はじめに|飯野由里子

序章 「社会」の語り口を再考する|星加良司

1 「社会モデル」のいびつな普及
2 「社会/個人」をめぐる認識の政治
3 本書の構成と射程


第1章 当事者研究と「社会モデル」の近くて遠い関係|西倉実季

1 当事者研究の展開
2 熊谷と綾屋の「社会モデル」理解
3 身体と社会の無造作な二分法
4 ソーシャル・マジョリティ研究における危うい線引き
5 「社会」の過小性、「個人」の過大性


第2章 「心のバリアフリー」は毒か薬か|飯野由里子・星加良司

1 「心のバリアフリー」のリバイバル
2 「心のバリアフリー」の系譜
3 心のバリアフリーの新旧パラダイム
4 新パラダイムに潜む問題(1): 普遍化のレトリックと「不均衡」の不可視化
5 新パラダイムに潜む問題(2):「能力発揮」という理念と「不均衡」の再生産
6 共生社会の両義性


第3章 性の権利は障害者の味方か?|飯野由里子

1 性の権利と「社会モデル」
2 性の権利とは何か?
3 「ホットでセクシーであれる権利」
4 性の権利の連動性
5 性的自由の前提条件


第4章 合理的配慮は「社会モデル」を保証するか|星加良司

1 忍び寄る「個人モデル」
2 合理的配慮の二つの解釈
3 合理的配慮の意図せざる効果I: 医学的基準の焦点化
4 合理的配慮の意図せざる効果II: 機能アセスメントの強化
5 合理的配慮の意図せざる効果III: 専門性による囲い込み
6 「社会モデル」を取り戻す


第5章 社会的な問題としての「言えなさ」:飯野由里子

1 「ニーズが言える社会」へのとまどい
2 「ニーズを言えるようにする」アプローチとその問題
3 障害の開示とスティグマの問題
4 なぜインペアメントが「ある」ことを疑うのか?
5 なぜ合理的配慮が提供されないのか?
6 何のための「社会モデル」か?


第6章 変えられる「社会」・変えたくない「社会」|西倉実季

1 狭く解釈される合理的配慮
2 紛争化した事例
3 社会モデル理解の問題点
4 マジョリティ問題としての合理的配慮


終章 「社会モデル」を使いこなす|飯野由里子

1  本書の立場:「社会モデル」の要諦
2 「社会」の過小性が生み出す問題
3 「社会的なもの」の範囲をめぐる政治
4 マジョリティ性の壁を崩す

おわりに|西倉実季 

https://seikatsushoin.com/books/mode/


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Sep 18, 202226:03
『中国における技術への問い:宇宙技芸試論』ユク・ホイ|音読ブラックスワン#102

『中国における技術への問い:宇宙技芸試論』ユク・ホイ|音読ブラックスワン#102

『中国における技術への問い:宇宙技芸試論』

ユク・ホイ|伊勢康平 ・訳|ゲンロン|2022年8月30日

朗読箇所:「日本語版へのまえがき」より(P.10〜20)

なぜ「技術」は西洋の伝統のうえでのみ定義され、論じられてきたのか? ハイデガーの「技術への問い」を乗り越え、破局へと暴走するテクノロジーに対抗するために、香港の若き俊英は文化的多様性に開かれた「宇宙技芸」の再発明に挑む。京都学派から100年。「近代の超克」を反省し、東洋思想を再び世界へと開くために必要な、「道」と「器」の再縫合はどうなされるべきなのか。諸子百家と人新世を結ぶ、まったく新たな技術哲学の誕生!


【目次】

 日本語版へのまえがき
 まえがき
 年表 本書に登場する東西の思想家

序論
 1 プロメテウスの生成
 2 宇宙・宇宙論・宇宙技芸
 3 テクノロジーによる断絶と形而上学的統一
 4 近代性・近代化・技術性
 5 何のための「存在論的転回」か?
 6 方法にかんする諸注意

第1部 中国における技術の思想を求めて
 7 道と宇宙──道徳の原理
 8 暴力としてのテクネー
 9 調和と天
 10 道と器 自由と対する徳
 11 抵抗としての器道──唐代の古文運動
 12 初期の宋明理学における気の唯物的理論
 13 明の宋応星の百科事典における器道
 14 章学誠と道の歴史的対象化
 15 アヘン戦争後に起きた器と道の断絶
 16 器道の関係の崩壊
 17 ニーダムの問い
 18 牟宗三の応答
 19 自然弁証法と形而上学の終わり

第2部 テクノロジーへの意識と近代性
 20 幾何学と時間
 21 テクノロジーへの意識と近代性
 22 近代の記憶
 23 ニヒリズムと近代
 24 近代の超克
 25 ポストモダンの想起
 26 故郷回帰のジレンマ
 27 人新世における中華未来主義
 28 もうひとつの世界史のために

解説:「宇宙技芸」の再発明 中島隆博

https://genron.co.jp/shop/products/detail/623

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Sep 11, 202227:27
『ソーシャルメディア・プリズム:SNSはなぜヒトを過激にするのか?』クリス・ベイル|音読ブラックスワン#101

『ソーシャルメディア・プリズム:SNSはなぜヒトを過激にするのか?』クリス・ベイル|音読ブラックスワン#101

『ソーシャルメディア・プリズム:SNSはなぜヒトを過激にするのか?』

クリス・ベイル|松井信彦 ・訳|みすず書房|2022年6月3日

朗読箇所:第3章「実際に壊すとどうなるか?」より(P.28〜35)




「われわれのチームは、何千何万というソーシャルメディア・ユーザーの複数年にわたる行動を記述した億単位のデータポイントを収集してきた。自動化されたアカウントを使って新実験を行ったり、外国による誤情報キャンペーンが与える影響について先駆けとなる調査を実施したりしてきた」

「その真実とは、ソーシャルメディアにおける政治的部族主義の根本原因が私たち自身の心の奥底にあることだ。社会的孤立が進む時代において、ソーシャルメディアは私たちが自身を——そして互いを——理解するために使う最重要ツールのひとつになってきた。私たちがソーシャルメディアにやみつきなのは、人間に生得的な行動、すなわち、さまざまなバージョンの自己を呈示しては、他人がどう思うかをうかがい、それに応じてアイデンティティーを手直しするという行動を手助けしてくれるからである。ソーシャルメディアは、各自のアイデンティティーを屈折させるプリズムなのだ——それによって私たちは、互いについて、そして自分についての理解をゆがめられてしまう」(本文より)

計算社会科学(Computational Social Science)の最先端を走る研究者が、政治的分極化への処方箋を提示する。


「本書は、データに基づく解決策が私たちを崖っぷちから救い出してくれるという希望を与えてくれる」J・ゴルベック(『サイエンス』)

「エコーチェンバーが作用しているという仮説に、スマートかつ魅力的に挑戦している」F・ブルニ(『ニューヨーク・タイムズ』)

「ベイルによる発見は、社会の成り立ちについての興味深い結論を教えてくれる」N・ヘラー(『ニューヨーカー』)


【目次】

第1章|エコーチェンバーの伝説
- エコーチェンバーについてのエコーチェンバー
- 分極化に向ける新たなレンズ

第2章|エコーチェンバーを壊したらどうなのか?
- エコーチェンバーを壊す
- 悪いボット、良いボット
- 謎の解明

第3章|実際に壊すとどうなるか?
- 群れることを習うパティー
- ジャネット
- 正しいことはいい気分
- ハードリセット

第4章|ソーシャルメディア・プリズム
- 大して合理的ではない大衆
- ソーシャルメディアとステータス追求
- プリズムの威力

第5章|プリズムが過激主義をあおる仕組み
- 孤独な荒らしたち
- あなたの知らない荒らし
- 過激主義というカルト
- プリズムから映し出される過激主義

第6章|プリズムは穏健派を“ミュート"する
- 穏健な大多数
- 過激主義者との遭遇
- 失うものが多すぎる穏健派
- 穏健派の抱く絶望感
- 穏健派の不在

第7章|アカウントを削除すべきか?
- 離れられない理由
- プラットフォームが独力では私たちを救えないわけ
- 私たち次第

第8章|プリズムをハックする
- 認識のずれを狭める
- プリズムを見て取る
- プリズムを通して自分を見る
- プリズムを壊す

第9章|より良いソーシャルメディア
- コロナ時代のソーシャルメディア
- 新手のプラットフォーム
- 目的を定めたプラットフォーム

付録 調査手法
- ボットを使った量的な実験
- ボットを使った質的な実験
- シミュレーションされたソーシャルメディア・プラットフォーム実験

https://www.msz.co.jp/book/detail/09083/


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Sep 04, 202222:24
『統治不能社会:権威主義的ネオリベラル主義の系譜学』グレゴワール・シャマユー|音読ブラックスワン#100

『統治不能社会:権威主義的ネオリベラル主義の系譜学』グレゴワール・シャマユー|音読ブラックスワン#100

『統治不能社会:権威主義的ネオリベラル主義の系譜学』

グレゴワール・シャマユー|信友建志・訳|明石書店|2022年5月6日

朗読箇所:第21章「責任化する」より(P.256〜269)


すべての権力を市場の統治下に取り戻せ! フーコー、マルクス、ハイエクから対労組マニュアル、企業CM、経営理論まで、ネオリベラリズムの権力関係とその卑しい侵食の歴史を鮮やかに描き出し、現代の社会構造と市場の問題をえぐり出す名著、待望の刊行。

【目次】

序章

第1部 言うことを聞かない労働者たち

第1章 労働者の不服従
第2章 人的資源
第3章 治安の悪化
第4章 組合との戦い

第2部 マネジメント革命

第5章 神学的危機
第6章 倫理的マネジメント主義
第7章 マネージャを規律訓練する
第8章 カタラルシー

第3部 自由企業への攻撃

第9章 私的統治の拠点
第10章 観念の闘争
第11章 どう反応するか?
第12章 企業は存在しない
第13章 警察的な会社理論

第4部 異議申立者たちの世界

第14章 企業の活動家対抗策
第15章 支配的対話の産物
第16章 問題解決マネジメント
第17章 ステークホルダー

第5部 新たな規制

第18章 ソフト・ロー
第19章 コスト・ベネフィット
第20章 政治的エコロジー批判
第21章 責任化する

第6部 統治不能社会

第22章 民主主義の統治性の危機
第23章 チリでのハイエク
第24章 権威主義的リベラル主義の諸々の出自
第25章 政治にご退位ねがう
第26章 民営化のミクロ政治学

結論
シュミット=ハイエク主義の時代:訳者あとがきにかえて

https://www.akashi.co.jp/book/b605551.html

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Aug 28, 202231:12
『韓国文学の中心にあるもの』斎藤真理子|音読ブラックスワン#99

『韓国文学の中心にあるもの』斎藤真理子|音読ブラックスワン#99

『韓国文学の中心にあるもの』

斎藤真理子|イースト・プレス|2022年7月10日

朗読箇所:第1章「キム・ジヨンが私たちにくれたもの」より(P.28〜44)


なぜこんなにも面白く、パワフルで魅力的なのか。その謎を解くキーは「戦争」にある。

なぜ、韓国文学はこんなに面白いのか。なぜ『82年生まれ、キム・ジヨン』、フェミニズムの教科書となったのか。世界の歴史が大きく変わっていく中で、新しい韓国文学がパワフルに描いているものはいったい何なのか。その根底にあるのはまだ終わっていない朝鮮戦争であり、またその戦争と日本は深くつながっている。ブームの牽引者でもある著者が、日本との関わりとともに、詳細に読み解き、その面白さ、魅力を凝縮する。


【「まえがき」より】
「最近日本で、韓国文学の翻訳・出版が飛躍的に増えている。この現象は、読者の広範でエネルギッシュな支持に支えられたものだ。読者層は多様で、一言ではくくれないが、寄せられる感想を聞くうちに、読書の喜びと同時に、またはそれ以上に、不条理で凶暴で困惑に満ちた世の中を生きていくための具体的な支えとして、大切に読んでくれる人が多いことに気づいた。(中略)韓国で書かれた小説や詩を集中的に読む人々の出現は、ここに、今の日本が求めている何かが塊としてあるようだと思わせた。それが何なのか、小説を読み、また翻訳しながら考えたことをまとめたのが本書である」


【目次】

まえがき

第1章:キム・ジヨンが私たちにくれたもの
第2章:セウォル号以後文学とキャンドル革命
第3章:IMF危機という未曾有の体験
第4章:光州事件は生きている
第5章:維新の時代と『こびとが打ち上げた小さなボール』
第6章:「分断文学」の代表『広場』
第7章:朝鮮戦争は韓国文学の背骨である
第8章:「解放空間」を生きた文学者たち
終章:ある日本の小説を読み直しながら

あとがき
本書関連年表
本書で取り上げた文学作品
主要参考文献

https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781620930

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収

Aug 21, 202240:28
『マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望』マーク・フィッシャー|音読ブラックスワン#98

『マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望』マーク・フィッシャー|音読ブラックスワン#98

『マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望』

マーク・フィッシャー|マット・コフーン=編|大橋完太郎=訳|左右社|2022年7月30日

朗読箇所:マット・コフーン「編者解説 悲惨な月曜の朝はもうたくさんだ」より(P.283〜29)


『資本主義リアリズム』で世界に絶望的な衝撃を与えたマーク・フィッシャー最後の言葉──

ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで行われた最終講義を書籍化。社会主義、コミュニズム、カウンターカルチャーはなぜ失敗したのか。資本主義のオルタナティヴは本当に存在しないのか。ポスト資本主義の世界における「欲望」と、左派加速主義は資本主義の可能性……マルクス、フロイト、マルクーゼ 、ルカーチ 、リオタール 、ドゥルーズ&ガタリを架橋しつつ、学生たちの対話から、現代のディストピアから脱出する道を探る。


【目次】
第1講 ポスト資本主義とは何か?
第2講 「ほとんど想像もつかない規模の社会的・心理的革命」
予兆としてのカウンターカルチャーボヘミアン
第3講 階級意識から集団意識へ
第4講 組合の力とソウルの力
第5講 リビドー的マルクス主義

編者解説 悲惨な月曜の朝はもうたくさんだ マット・コフーン
訳者解説 大橋完太郎

付録1 講義シラバス
付録2 トラックリスト「悲惨な月曜の朝はもうたくさんだ」

http://sayusha.com/authors/-/mark-fisher

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Aug 14, 202227:32
『日本近代社会史:社会集団と市場から読み解く1868-1914』松沢裕作|音読ブラックスワン#97

『日本近代社会史:社会集団と市場から読み解く1868-1914』松沢裕作|音読ブラックスワン#97

『日本近代社会史: 社会集団と市場から読み解く 1868-1914』

松沢裕作|有斐閣|2022年4月12日

朗読箇所:第7章「女工と繊維産業:家から工場へ」(P.117〜131)

現代の日本社会の原型がここに──近世の身分制社会が崩れる19世紀後半から、明治維新を挟んで、第一次世界大戦の頃までの日本社会を、さまざまな社会集団が市場とどうかかわっているかに注目して描き出す。メディアや政治のしくみ、変革を求める運動も取り上げ、社会の全体像をとらえる。


【目次】

序章 社会史とは何か? 日本の近代とは何か?

第1章 近世社会の基本構造──領主・村・町
第2章 近世社会の解体(1)──廃藩置県と戸籍法
第3章 近世社会の解体(2)──地租改正と地方制度の制定
第4章 文明開化・民権運動・民衆運動──移行期社会の摩擦
第5章 景気循環と近代工業──資本主義の時代の到来
第6章 小農経営と農村社会──農家とその社会集団
第7章 女工と繊維産業──「家」から工場へ
第8章 商工業者と同業組合──家業としての商工業とその集団
第9章 職工と都市雑業層──「家」なき働き手と擬制的な「家」
第10章 都市の姿──有産者の結合と都市計画
第11章 教育と立身出世──「家」の世界からの離脱
第12章 メディアの変化──流通する情報
第13章 政治の役割──地方利益誘導と救貧政策
第14章 労働組合と初期社会主義──個人の問題から社会の問題へ
第15章 日露戦後の社会──地方改良運動と都市民衆騒擾

終章 日本近代社会の構造と展望

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641174757?top_bookshelfspine


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて

Aug 07, 202229:56
『それで君の声はどこにあるんだ?:黒人神学から学んだこと』榎本空|音読ブラックスワン#96

『それで君の声はどこにあるんだ?:黒人神学から学んだこと』榎本空|音読ブラックスワン#96

『それで君の声はどこにあるんだ?:黒人神学から学んだこと』

榎本空|岩波書店|2022年5月10日

朗読箇所:第2部-6「自分の声:説教できないものは書きたくない」(P.119〜127)


「イエスは黒人なのだ! ブラックパワーは福音だ」 黒人神学の泰斗、ジェイムズ・H・コーンに学ぶため、二七歳の筆者はNYにあるユニオン神学校の門を叩いた。教室にさざめいたハレルヤ。ブラック・ライヴズ・マターという仲間たちの叫び。奴隷制以来、四〇〇年に及ぶ苦難の歴史に応答することはできるのか? 魂をゆさぶる言葉の旅。(ブックデザイン:有山達也)

【目次】

-プロローグ

第I部 400Years

1. 褪せた本「キリスト教神学とは解放の神学である」
2. 秘密のトンネル「マルコムを忘れてしまえば、私たちはキングまでも誤って記憶してしまうぞ」
3. 土曜日の霊性「スマートなのは、携帯電話だけでいい」
4. タワーと闘え「でもペテロは誰なの。あなた?」

第II部 Find Your Voice

5. アリマタヤのヨセフ「黒人以外の人間が、黒人の背負ってきた苦しみや痛みを理解するのは難しい」
6. 自分の声「説教できないものを書きたくはない」
7. 最後の授業「もし何かを始めたなら、もう後戻りすることはできない」
8. 誰にも言わないと言ったけれど「憎しみは担うに重すぎる荷物となる」
9. コロナ禍の覚書「世界の救済は、不順応にかかっている」

- エピローグ
- 謝辞
- 参考文献・解説

https://www.iwanami.co.jp/book/b605125.html

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jul 31, 202224:24
『トーフビーツの難聴日記』tofubeats|音読ブラックスワン#95

『トーフビーツの難聴日記』tofubeats|音読ブラックスワン#95

『トーフビーツの難聴日記』

tofubeats|ぴあ|2022年5月20日

朗読箇所:「2022年:2月〜3月」より(P.286〜296)


音楽プロデューサー/DJのトーフビーツ初の著書!

本業の音楽家としての活動のみならず、雑誌やウェブ媒体等での執筆も高い評価を得ているトーフビーツ。2018年に患った突発性難聴をきっかけに書き始めた日記は、これまでに30万字を超えるボリュームに。コロナ禍での活動制限、生まれ育った神戸をついに離れ上京、さらには結婚など、図らずもこの間に公私ともに起こった、さまざまな出来事を綴った約3年半の記録になります。同時に、彼の日々の悩みや暮らし、そして仕事や人生の考え方など、ファンならずとも興味深い内容となっています。

約4年ぶりとなる待望のニューアルバム「REFLECTION」とあわせて、ぜひお楽しみください。

https://book.pia.co.jp/book/b602114.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jul 24, 202224:48
『ファンダムエコノミー入門:BTSから、クリエイターエコノミー、メタバースまで』コクヨ野外学習センター・編|音読ブラックスワン#94

『ファンダムエコノミー入門:BTSから、クリエイターエコノミー、メタバースまで』コクヨ野外学習センター・編|音読ブラックスワン#94

『ファンダムエコノミー入門:BTSから、クリエイターエコノミー、メタバースまで』

コクヨ野外学習センター・編|2022年6月20日|黒鳥社

朗読箇所:第7章「ファンダムの文化経済」ジョン・フィスク、有里あきら・訳(P.188〜195)



「ファンダムエコノミーは、伝統的な経済システムであると同時に、モラルエコノミー、ソーシャルエコノミーでもあるのです。 純粋なギフトエコノミー(贈与経済)のような状態も存在します。その背後にある欲望は単なる消費欲ではありません。欲望の対象は、対象へのアクセスなのです」──ヘンリー・ジェンキンズ

「ファンは新しいテクストの生産にとどまらず、オリジナルのテクストの構築にも参加することで、商業的な物語やパフォーマンスをポピュラーカルチャーへと変えてしまう。ファン文化は実に参加型なのだ」──ジョン・フィスク

「ファンが求める本質的な価値と効果を提供し、より的確にマネタイズを行うことができるようになることで、クリエイターはより少ないファンによって生計を立てることができるようになる。これは、クリエイターのためにユーザーがお金を払う従来の「寄付モデル」から、ユーザーが自分のためになるものに喜んでお金を払う「価値モデル」への移行を意味している」──リ・ジン


ファンダムエコノミーは、もはや一部の「過剰な消費者」が生み出す周縁的な経済圏ではない。それは、生産者と消費者の関係性を根底から変え、これまでとはまったく異なるビジネスを生み出す巨大な潮流だ。伝統的な経済システムと接しながら、モラルエコノミー、ソーシャルエコノミー、贈与経済がハイブリッドされた、摩訶不思議な新しい経済は、来るべき政治、文化、社会さえをも変えてしまうかもしれない。ファンダム研究の第一人者からシリコンバレーのトップVC、認知科学者、中国エンタメビジネスやUXのエキスパートなどを迎え、トレッキー、デッドヘッズ、BTS Armyから、クリエイターエコノミー、Web3、NFT、メタバースまでを縦横無尽に読み解く全ビジネスパーソン必読の入門書。


【目次】

#0
ファンダムは◯◯を超える
巻頭対談:山下正太郎×若林恵

#1
ファンダムエコノミー入門
ヘンリー・ジェンキンズとの対話

#2
Web3ルネッサンスとクリエイター/ファンダムの経済
リ・ジン

#3
ファンダム経済は「ギブ」でまわる
岡部大介

#4
中国の音楽アプリにみるクリエイターエコノミーのつくりかた
陳暁夏代

#bookguide ファンダムを読む

#5
贈与経済のためのUX
藤井保文との対話

#6
メタバースのなかのリテール
ダグ・スティーブンス

#7
ファンダムの文化経済
ジョン・フィスク

https://note.com/blkswn_tokyo/n/n4c690a5a2205


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jul 17, 202231:28
『江戸の宇宙論』池内了|音読ブラックスワン#93

『江戸の宇宙論』池内了|音読ブラックスワン#93

『江戸の宇宙論』

池内了|2022年3月17日|集英社新書

朗読箇所:「江戸の宇宙論の展開」、第1章「蘭学の時代」より(P.39〜48)


19世紀初頭、実は日本の天文学は驚くべき水準に達していた──。知られざる「天才」たちの活躍を通して、江戸の科学史の側面を描いた画期的一冊!今日ではノーベル物理学賞を獲得する水準に至った日本の天文学研究。そのルーツを辿ると、江戸時代後期の「天才たち」の功績にまで遡る。

「重力」「遠心力」「真空」など現在でも残る数多の用語を生み出した翻訳の達人・志筑忠雄。

「無限の広がりを持つ宇宙」の姿を想像し、宇宙人の存在さえ予言した豪商の番頭・山片蟠桃。

超一流の絵師でありながら天文学にも熱中し、人々に地動説などを紹介した司馬江漢。

彼らはそれぞれ長崎通詞(オランダ語の通訳者)・豪商の番頭・画家という本業を持ちつつ、好奇心の赴くままに宇宙に思いを馳せたのであった。本書は現代日本を代表する宇宙物理学者が、江戸時代後期を生きた知られざる天才たちとその周辺人物らによる破天荒な活躍を負いつつ、日本の天文学のルーツに迫った驚きの科学史である。


【目次】

はじめに

第1章 蘭学の時代

第2章 長崎通詞の宇宙
 2-1 志筑忠雄という人
 2-2 『暦象新書』と無限宇宙論

第3章 金貸し番頭の宇宙
 3-1 山片蟠桃という人
 3-2 大宇宙論の展開

終章 「歴史の妙」

補論 日本と世界の認識
補論-1 志筑忠雄の『鎖国論』をめぐって
補論-2 山片蟠桃の世界認識

あとがき

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721206-8

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターに

Jul 10, 202220:32
『帝国の計画とファシズム:革新官僚、満洲国と戦時下の日本国家』ジャニス・ミムラ|音読ブラックスワン#92

『帝国の計画とファシズム:革新官僚、満洲国と戦時下の日本国家』ジャニス・ミムラ|音読ブラックスワン#92

『帝国の計画とファシズム:革新官僚、満洲国と戦時下の日本国家』

ジャニス・ミムラ|安達まみ、高橋実紗子・訳|2021年12月2日|人文書院

朗読箇所:「革新官僚と管理国家」、第1章「戦中日本のテクノクラート」より(P.47〜53)



先進技術と国民精神を結びつける思想

資本主義や共産主義にも勝る第三の道として構想されたテクノファシズム。軍事化する日本において、岸信介、星野直樹ら革新官僚による満州国の建設は日本に何をもたらしたのか。戦後にまで影響を及ぼした日本ファシズムの実態を多角的に分析する。


【目次】

第1章 戦中日本のテクノクラート
テクノロジーおよびテクノクラートを定義する/管理将校と総力戦/新興財閥とテクノロジーを基盤とする産業/改革官僚と管理国家

第2章 軍ファシズムと満洲国:一九三〇年から一九三六年
軍ファシズムへの青写真/内地改革よりも外地改革を優先する/満洲国を正当化する/国家および経済についての満洲固有の構想/文民テクノクラートと軍ファシズム

第3章 満洲国への官僚的な構想:一九三三年から一九三九年
立案の礎を築く/官僚による統制戦略/岸信介と満洲工業化

第4章 ファシズム信奉者:奥村喜和男と毛里英於菟
技術と民族をむすびつける/奥村喜和男/毛里英於菟/毛里の国民経済

第5章 新体制と革新政治:一九四〇年から一九四一年
戦時統制への移行/全面戦争から全体主義の戦争へ/政治改革の限界/新体制を立案する/新体制を擁護する

第6章 日本の好機:戦争と帝国のための技術主義戦略 一九四一年から一九四五年
高度国防国家を完成させる/「富国強兵」の再定義

エピローグ 戦中テクノファシズムから戦後管理主義へ

http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b525002.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収

Jul 03, 202225:12
『ホモ・エコノミクス:「利己的人間」の思想史』重田園江|音読ブラックスワン#91

『ホモ・エコノミクス:「利己的人間」の思想史』重田園江|音読ブラックスワン#91

『ホモ・エコノミクス:「利己的人間」の思想史』

重田園江|2022年3月10日|ちくま新書

朗読箇所:第1部‒1「金儲けは近代以前にどう受け止められていたか」(P.20〜37)


「ホモ・エコノミクスを前提とする学問は、「人間の自然」としての利己的な経済人を出発点とする客観科学であると主張してきた。それは、新しい科学理論をつくり上げるための単純化された人間像として取り入れられたにすぎない。ところがいまでは、私たちはホモ・エコノミクスであることをあちこちで強制されている」(本文より)
自分の利益を第一に考えて合理的に行動する主体=「経済人(ホモ・エコノミクス)」──経済学が前提とするこうした人間像はどこで生まれたのか。多くの批判にさらされながらも、それが世界を動かす原動力でありつづけているのはなぜか。「金儲け」が道徳的に蔑まれた古代・中世そして非近代の社会から、近代経済学が確立する「限界革命」の時代をへて、ホモ・エコノミクスが社会の広範な領域に浸透する現代まで。「自己利益の追求」が当たり前の価値として受け容れられるに至ったからくりを、思想史の視座から解き明かす。

【目次】

第1部 富と徳
金儲けは近代以前にどう受け止められていたか/なぜ人は貧乏人を責めるのか/マンデヴィルとハチスンほか

第2部 ホモ・エコノミクスの経済学
ホモ・エコノミクスの語源学/イギリス歴史学派と方法論争/メンガーvsシュモラーほか

第3部 ホモ・エコノミクスの席捲
差別・犯罪・人的資本/「緑の革命」──前提としてのホモ・エコノミクス/ゲーム理論と社会的選択理論、そして行動主義革命ほか

www.chikumashobo.co.jp/product/9784480074645/


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターに
Jun 26, 202225:20
『古代中国の24時間:秦漢時代の衣食住から性愛まで』柿沼陽平|音読ブラックスワン#90

『古代中国の24時間:秦漢時代の衣食住から性愛まで』柿沼陽平|音読ブラックスワン#90

『古代中国の24時間:秦漢時代の衣食住から性愛まで』

柿沼陽平|2021年11月25日|中公新書

朗読箇所:第7章「市場で買い物を楽しむ:午前十一時頃から正午過ぎまで」より(P.155〜172)


始皇帝、項羽と劉邦、武帝ら英雄が活躍した中国の秦漢時代。今から二千年前の人々は毎日朝から晩まで、どんな日常生活を送っていたのだろう? 気鋭の中国史家が史料を読み込み、考古学も参照しながら、服装、食事から宴会、セックス、子育ての様子までその実像を丸裸に。口臭にうるさく、女性たちはイケメンに熱狂し、酒に溺れ、貪欲に性を愉しみ……驚きに満ちながら、現代の我々とも通じる古代人の姿を知れば、歴史がますます愉しくなる。

https://www.chuko.co.jp/shinsho/2021/11/102669.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jun 19, 202234:44
『ゴーイング・ダーク:12の過激主義組織潜入ルポ』ユリア・エブナー|音読ブラックスワン#89

『ゴーイング・ダーク:12の過激主義組織潜入ルポ』ユリア・エブナー|音読ブラックスワン#89

『ゴーイング・ダーク:12の過激主義組織潜入ルポ』

ユリア・エブナー|西川美樹・訳|2021年12月31日|左右社

朗読箇所:第7章「オルトテック:世界中の急進派をつなぐプラットフォーム」より(P.190〜211)


カリスマ白人至上主義インフルエンサー/愛国主義者専用の出会い系アプリ/ハマったら最後、Qアノンの陰謀論/ISISのハッカー集団による初心者講座/反フェミニスト女性のチャットルーム/ネオナチのロックフェスティバル......

過激主義者はどうやって「普通の人びと」を取り込むのか? 白人至上主義、ミソジニー、移民排斥……差別的で攻撃的なイデオロギーを掲げる組織は、オンラインプラットフォームを駆使して、周縁のムーブメントをメインストリームへと押し上げる。オンラインで始まった憎悪が、次第に現実世界へと移行していく様子をとらえた、緊迫のノンフィクション。

「心配ないよ、女の子も入れるから」──急進右翼のチャットグループ

「僕たちについて、きみに知っておいてほしいことがいくつかある。僕らはもうあの古いナチじゃない。僕らは民族多元主義者なんだ」──ジェネレーション・アイデンティティのメンバーのひとり

「自分を責めちゃだめよ。責めるべきはフェミニズム、責めるべきは現代という時代なんだから」──反フェミニスト女性のチャットルーム

「このサーバーに加える報告書をつくってくれるかな。もっと多くの情報、とくにQに関連する最近の出来事で、過酷な真実を語っているのを読みたいんだ。体制が認めようとしないやつもね」──Qアノンの信者

「サッカーやバーベキューやパーティ、カール・マルクスやその手のことを投稿する、ごく普通のアカウントのふりをするだけさ」──ヨーロッパ最大の荒らし軍団のサーバー


【目次】

はじめに

パート1:新人勧誘
第1章 白人以外お断り──ネオナチに採用される
第2章 初心者のためのレッドピル──ヒップな極右組織ジェネレーション・アイデンティティ

パート2:社会化
第3章 トラッドワイフ──反フェミニスト女性たちの罠
第4章 シスター限定──聖戦士の花嫁のシスターフッド

パート3:コミュニケーション
第5章 情報戦争──トミー・ロビンソンの新たなメディア帝国
第6章 ミーム戦争──ヨーロッパ最大のトロール軍団

パート4:ネットワーキング
第7章 オルトテック──世界中の急進派をつなぐプラットフォーム
第8章 Qを追いかけて──陰謀論者の奇妙な世界へようこそ

パート5:動員
第9章 ユナイト・ザ・ライト──過激主義者が集うシャーロッツヴィルの集会
第10章 シルト・ウント・シュヴェルト──ネオナチの音楽フェスティバル

パート6:攻撃
第11章 ブラックハット──ISISとネオナチのハッカーに弟子入り
第12章 ゲーミフィケーションされたテロリズム──ニュージーランド銃乱射事件の背後にあるサブカルチャー

パート7:未来は暗いか?
第13章 最初はすべてうまくいっていた
第14章 2025年の10の予測
第15章 2020年のためのソリューション

あとがき
用語集
解説:木澤佐登志

http://sayusha.com/catalog/books/pゴーイング・ダーク%E3%80%8012の過激主義組織潜入ルポ

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収

Apr 17, 202239:44
『転んでもいい主義のあゆみ:日本のプラグマティズム入門』荒木優太|音読ブラックスワン#88

『転んでもいい主義のあゆみ:日本のプラグマティズム入門』荒木優太|音読ブラックスワン#88

『転んでもいい主義のあゆみ:日本のプラグマティズム入門』

荒木優太|2021年11月26日|フィルムアート社

朗読箇所:第6章「倫理×プラグマティズム=清水幾太郎」より(P.132〜147)

「ふわふわ」を正し、じたばたしながら、「くよくよ」を守れ。ポジティブになれない日本人のための試行錯誤論、ここに見参!! 在野研究者・荒木優太が日本のプラグマティズム受容史を探索しながら「転んでもいい主義」をガイドする、待望の新刊!

試行錯誤は人間の最大の武器であるはずなのに、今の日本には「可謬主義=転んでもいい主義」が足りない!──「失敗すること」を日本人はどう考えてきたのか? 異様に前向きなアメリカ文化によって開拓されたプラグマティズム思想が日本でどのように受容されてきたのか(されてこなかったのか)、その歴史をたどりながら人間の生の営みのその根本へと手探りで進んでいく。人生はクソゲー。だけど「七転び八起き」で生きていく勇気がわいてくる、「八回目に起き上がるための」日本式プラグマティズム入門書。

【目次】

序 八回目に起き上がるために

第1章 プラグマティズムを大雑把に理解する

第2章 評論×プラグマティズム=田中王堂

第3章 政経×プラグマティズム=石橋湛山

第4章 教育×プラグマティズム=田制佐重

第5章 スポーツ×プラグマティズム=三隅一成

第6章 倫理×プラグマティズム=清水幾太郎

第7章 『思想の科学』の周辺

第8章 哲学×プラグマティズム=鶴見俊輔

終章 試行錯誤のアンチノミーのなかで

あとがき

http://filmart.co.jp/books/jinbun/pragmatism/

企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Apr 10, 202229:36
『庭仕事の真髄:老い・病・トラウマ・孤独を癒す庭』スー・スチュアート・スミス|音読ブラックスワン#87

『庭仕事の真髄:老い・病・トラウマ・孤独を癒す庭』スー・スチュアート・スミス|音読ブラックスワン#87

『庭仕事の真髄:老い・病・トラウマ・孤独を癒す庭』

スー・スチュアート・スミス|和田佐規子・訳|2021年11月2日|築地書館

朗読箇所:第3章「種と自分を信頼すること」より(P.61〜71)


「サンデータイムズ」ベストセラー、タイムズ紙、オブザーバー紙「今年読むべき1冊 2020年」に選出


人はなぜ土に触れると癒されるのか。庭仕事は人の心にどのような働きかけをするのか。世界的ガーデンデザイナーを夫にもつ精神科医が、30年前に野原に囲まれた農家を改造した家で、夫とともに庭づくりを始めてガーデニングにめざめ、自然と庭と人間の精神のつながりに気づく。バビロンの空中庭園、古代エジプトの墓に収められた種の意味、戦争中の塹壕ガーデン、ニューヨーク貧困地区のコミュニティーガーデン、刑務所でのガーデニングの効果、病院における庭の役割。

さまざまな研究や実例をもとに、庭仕事で自分を取り戻した人びとの物語を描いた全英ベストセラー。


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【原著書評より抜粋】

「これまでに類を見ないガーデニングの本だ。資料あり、園芸あり、文学、歴史ありの本書は、各章で参考文献や素晴らしい着想を示し、魂に栄養を注いでくれる」──サンデー・タイムズ

「本書は庭を耕し、植物を育てる特別な喜びに関する人生を肯定する研究だ。自然とガーデニングが精神の健康に与える影響を、著者が心からあふれ出る言葉で主張する。神経科学上の研究と園芸療法を通じて症状が回復に向かった患者の記録にもとづいている」──ガーディアン

「園芸が持っている癒しの効果を賢明で洞察力あふれる著者が雄弁に魂をこめて論じる。今日の不安な時代に求められている良書。不調の時にどう対処するのか、読者一人ひとりに適切な展望を示してくれている」──ブックリスト

「科学としていまだに揺れている精神医学と、太古からあるガーデニングが魅力的に重なり合う」──フィナンシャル・タイムズ


「スチュアート・スミスは科学に裏づけされた洞察力で、自然の持っている癒しの効果を見せてくれる。楽しく読めて、心安らかになる本」──ウーマンズ・ワールド

「心が躍る、刺激的で、非常に感動的な文章だ。著者は園芸療法の研究を通じて、私たちがどれほど自然と深い関係にあるのかを明らかにしていく。そして、自然と切り離されてしまうことが危険なことで、自然からいかに多くの回復力を得ているか、活気に満ちた思いやりのある言葉で語り、読者に土に触れようと忠告する」──イザベラ・トゥリー『英国貴族、領地を野生に戻す』著者

http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1626-6.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Apr 03, 202228:32
『編集の提案』津野海太郎(宮田文久・編)|音読ブラックスワン#86

『編集の提案』津野海太郎(宮田文久・編)|音読ブラックスワン#86

『編集の提案』

津野海太郎|宮田文久・編|2021年10月14日

朗読箇所:第4章から「本の野蛮状態の先へ」より(P.132〜140)

社会のなかにはきっと、「編集」がなしうることがある。そのヒントは、伝説の編集者・津野海太郎がつづってきた文章にひそんでいる――。晶文社での活動をはじめ出版文化の重要人物でありつづけ、テント 演劇の時代からコンピュータの世紀までを駆け抜けてきた著者による、過去を携え、現在と共に呼吸し、未来を見すえる編集論集。【津野海太郎 実践のクロニクル1977-2001】


【目次】

実用本位の夢 編者によるまえがき

第1章 取材して、演出する
テープおこしの宇宙/座談会は笑う/初歩のインタビュー術/雑誌はつくるほうがいい

第2章 人とかかわる、固定観念を脱する
太い指とからっぽの部屋/植草甚一さんの革トランク/編集者としての植草甚一/雑誌のロンサム・カウボーイ

第3章 テクノロジーと歩む
シロウトがつくったマニュアル/フランケンシュタインの相対性原理/パソコン通信で対話できるか

第4章 変化を編集する、編集することで変わる
本の野蛮状態のさきへ/森の印刷所/「世界の書」──アジアの髄からマラルメをのぞく

第5章 複製技術は時を超える
印刷は編集の敵にあらず/子ども百科のつくりかた/晩年の運動/編集者というくせのゆくえ

鼎談・星座をつくりたい 津野海太郎 × 若林恵 × 宮田文久

https://blkswn-market.myshopify.com


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて

Mar 27, 202220:00
羽生結弦からエコなアフロフューチャリストまで!2022年2月を音楽でおさらい!

羽生結弦からエコなアフロフューチャリストまで!2022年2月を音楽でおさらい!

Episodes with music are only available on Spotify.
2022年2月21日に黒鳥社YouTubeチャンネルからお届けした「Feb. 2022 Monthly Playback」をポッドキャストとして再配信! 2022年のスーパーボウルのハーフタイムショーやSpotify騒動、yeことKanye Westのドキュメンタリー映画と、なにかと話題が尽きない音楽業界。2022年2月の出来事から、小熊と若林が気になるトピックを振り返ります。 Big ThiefやMitskiなど、錚々たるアーティストによるアルバムリリースが続いた今月。小熊注目のコンゴのバンドや、若林が以前から楽しみにしていたClaire Rousay & More Eazeの作品まで、今月の新譜情報も一挙にお届け。2時間を超える、だらだら音楽談義。 【タイムライン】 0:00 小熊・若林の髪型事情 4:55 北京冬季オリンピックの話題 13:08 フィギュアスケートにおける音楽 17:09 2022年のハーフタイムショーはどうだった? 30:39 Mary J. Bligeの他に女性アーティストを呼ぶなら… 32:05 YeことKanye Westのドキュメンタリーの素晴らしさ 40:20 子育て世代はDondaに学ぶべし 1:02:55 Stevie Nicksがアメリカの少女に与える影響 1:31:46 プラットフォームの定義 1:51:40 Adrianne Lenker(Big Thief)のバンドへの想い 1:53:18 ストリーミングに代わる音楽の聴き方 1:54:43 Big Thiefのパーカーを買う理由 2:25:34 アプリを作るRivers Cuomo、楽器を作るFulu Miziki 【紹介した楽曲一覧】 1. Gary Moore, Phil Lynott - Parisienne Walkways 2. Live Footage - Unwritten Soundtrack 3. Stop Draggin' My Heart Around (with Tom Petty & the Heartbreakers) - Stevie Nicks 4. Big Thief - Time Escaping 5. Claire Rousay & More Eaze - hands 6. Ethan Iverson, Jack DeJohnette & Larry Grenadier - The Eternal Verities 7. Fulu Miziki - Ok Seke Bien (feat. Sekelembele) 8. Snoop Dogg - Sandwich Bag 出演:小熊俊哉・若林恵 撮影:望月幸恵 音響・編集:宮本貴文 2022年2月21日(月):黒鳥福祉センターにて収録
Mar 24, 202202:48:33
新譜を毎日紹介すること1000日!これまでの汗と涙の歩みをプレイバック!

新譜を毎日紹介すること1000日!これまでの汗と涙の歩みをプレイバック!

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マイクロ音楽マガジン「blkswn jukebox」の更新回数がついに通算1000回を達成!2022年1月24日に行った記念YouTube配信をポッドキャストとして再配信。 これまでの歩みの振り返りはもちろんの事、これまでの作品をどのようにセレクトしてきたのか、さらには小熊・若林の思い出の曲なども赤裸々に。 2022年1月の新譜情報からイヌイット、ブラジルの音楽にまで及んだ、内容盛りだくさんのだらだら音楽談義。 【タイムライン】 0:00 blkswn jukebox通算1000回達成&振り返り 8:38 宇多田ヒカルをセレクトしなかった理由は? 23:45 小熊・若林の思い出の楽曲 38:08 Duval Timothyの葛藤 49:16 同じ音源をリピートする危うさ 1:11:00 More Eaze、Claire Rousayに注目 1:27:16 先行シングルをリリースする利点 1:36:06 ブラジルが今熱い 2:43:39 OPN(Oneohtrix Point Never)に言いたい 2:48:45 世界は中世化している -タングステン ブームの謎- 3:08:31 いま聴くべきはKevin Ayersかも 3:10:16 2000回に向けての抱負 【紹介した楽曲一覧】 1. 宇多田ヒカル - BADモード 2. Tiny Ruins - School of Design 3. Duval Timothy - Groundnut feat. Twin Shadow 4. DJ Doraemon - Mbaye 5. Glowing Dome - Brin, Dntel, More Eaze 6. Crizin da Z.O. - Ian Mackaye 7. Pan Daijing - Tissues 8. Mike Cooper - Boogie Boards And Beach Rubbish 9. Kevin Ayers - May I? 出演:小熊俊哉・若林恵 撮影・配信:間部百合 音響・編集:宮本貴文 2022年1月24日(月):黒鳥福祉センターにて収録
Mar 24, 202203:23:46
『推しエコノミー:「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』中山淳雄|音読ブラックスワン#85

『推しエコノミー:「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』中山淳雄|音読ブラックスワン#85

『推しエコノミー:「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』

中山淳雄|日経BP|2021年10月14日

朗読箇所:第2章-6「受信リテラシーから発信リテラシーへ」より(P.142〜152)


「すべてのエンタメプロデューサーが、今を知るためにまずは読むべき、唯一の教科書」 ──佐渡島庸平氏

「メガヒットのルールが変わった。新しいリテラシーを得た者が、地殻変動後の覇権を握る」 ──尾原和啓氏

鬼滅、ウマ娘、Fortnite、荒野行動、半沢…ゲーム、アニメ、動画の経済圏を支配するのは、世界が絶賛する日本の「オタク経済圏」か、攻勢を強める米中の「ハリウッド経済圏」か?


【目次】

第1章 メガヒットの裏側で進む地殻変動

- 『鬼滅』が「日本の時代錯誤」に突きつけた刃
- フォートナイトが見せつけたゲーム空間によるエンタメ市場の侵食
- 半沢「劇場」が見せたテレビ業界の未来
- オンラインキャバクラが物語るライブエンタメの「むき出しの価値」
- 産業カテゴリーの大変革

第2章 「萌え」から「推し」へ、ファンの変化からみる「風の時代」

- しがらみなく夢中になれる共体験がエンタメになる
- タムパ重視で動くユーザーにとっての価値最大化
- なぜ必死になってコンテンツを見るのか?
- なぜバトルロワイヤルゲームだけが流行るのか?
- 『ウマ娘』ブーム大爆発が物語る美少女キャラの新ステージ
- 受信リテラシーから発信リテラシーへ
- コナンとシンエヴァ、100億円を創り出す物語

第3章 エンタメの地政学

- 米中エンタメ覇権競争と日本唯一の挑戦者ソニー
- 宮崎駿の新作なしで成長するジブリを支える中国の驚異
- ハリウッド経済圏とオタク経済圏
- 戦いの終着点

第4章 推しエコノミーの確立へ

- キャラクターと貨幣の類似性
- 世界観の欧米と、キャラクターの日本
- 日本のエンタメは誰が救うのか?


「推す」は希少な時間資源の投下によって行われる。基本的には、未来永劫それが続く前提で、有限な時間資源を投じていきたい。『推しが武道館いってくれたら死ぬ』というアニメもあるが、実は推しが武道館にいくことを避けたいと思うファン心理も同時に存在する。(中略)安パイなコンテンツを求める人が増えると、新奇なものが展開されづらくなる。ある程度ブランドがあり、約束されたコンテンツに人々は群がるようになる。大ヒットがさらに大ヒットするという現象は今後さらに強くなるだろう。(中略)浮動ユーザーを味方につけるためにファンが必要であり、インフルエンサーが必要になる。「このコンテンツは安パイだよ。時間を費やしても、その体験は無駄にはならないよ」という信号をブランドとして送る必要がある。(第2章より)

https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/21/S00350/


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて

Mar 06, 202223:16
『詩とは何か』吉増剛造 |音読ブラックスワン#84

『詩とは何か』吉増剛造 |音読ブラックスワン#84

『詩とは何か』

吉増剛造|講談社新書|2021年11月17日

朗読箇所:第5章「詩における『若さ』、『歪み』」より(P.174〜185)


現代における「詩」の本質とは? 世界最高峰の詩人の1人、吉増剛造が60年の詩業の果てに辿り着いた境地を縦横無尽に語り尽くす。

現代最高の詩人による究極の詩論、ついに登場! 世界大戦、原爆、そして3.11。数多の「傷」を閲した現代における詩の意味を問う。いわゆる詩人の範疇を超え、カフカ、ベケット、石牟礼道子などの「書いたもの(エクリチュール)」へ。さらには文学さえも越え、ジョナス・メカスの映画、ゴッホの絵画、そして音楽にまで。縦横無尽に芸術ジャンルを横断し、あらゆる芸術行為の中に「詩」の真髄を見出す。詩の根源、すなわち「芸術」の根源へと肉迫する稀有の作品。

https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/9784065188279


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Feb 27, 202222:17
『どうしてこうなっちゃったか』藤倉大 |音読ブラックスワン#83

『どうしてこうなっちゃったか』藤倉大 |音読ブラックスワン#83

『どうしてこうなっちゃったか』

藤倉大|幻冬舎|2022年1月26日

朗読箇所:第17章「どうせ演奏されないんだから」より(P.195〜211)

これが世界に通用する、謙虚さと自由さと厚かましさだ! いま「世界でもっとも演奏機会が多い」と言われる天才「現代音楽作曲家」の自伝エッセイ。この天衣無縫、融通無碍、唯我独尊、縦横無尽を見よ! 

【目次】
序章:最初から作曲家だった
第1章:何用あって、ドーヴァーへ!?
第2章:ビジネスはビジネス!
第3章:「指くるくる+5」の罰
第4章:「音楽と、(多分)セックス」の真相
第5章:邪魔な絶対音感、その生涯唯一の恩恵
第6章:Aレベルと、あっけない大学受験
第7章:大学入学と、師ダリルとの出会い
第8章:初日「君はもう来なくていい」と
第9章:ホット・トラックな日々……ダリルの白熱教室
第10章:20歳、国際作曲コンクール優勝のあとさき
第11章:ボーイ・ミーツ・ガール
第12章:善は急げの超スピード婚
第13章:卒業試験はオペラの上演で
第14章:奨学金はゼロいくつで?
第15章:瞑想? 迷走!冴えない大学院時代
第16章:なにも知らずに邦楽器の曲を手がけた
第17章:どうせ演奏されない曲なんだから
第18章:2003年、僕の東京物語
第19章:一体あなたは誰なんでしょう?
第20章:憧れの人、理想の師、伝説の人
第21章:ブーレーズ魔法の言葉
第22章:寒すぎる10月と、僕の親密な彼女たち
第23章:「情熱大陸」の情熱と、山田和樹君とのシンクロニシティ
第24章:外出禁止令と仕事禁止令
第25章:2人のマイ・グレイト・ヒーローズ
第26章:宙ぶらりんと無収入はオペラより劇的!?
第27章:アルマゲドンの過ごし方
最終章:家 族 樹の小枝
あとがき

https://www.gentosha.co.jp/book/b14134.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収

Feb 20, 202241:12
『いつもの言葉を哲学する』古田徹也 |音読ブラックスワン#82

『いつもの言葉を哲学する』古田徹也 |音読ブラックスワン#82

『いつもの言葉を哲学する』

古田徹也|朝日新書|2021年12月13日

朗読箇所:第3章 新しい言葉の奔流のなかで」より(P.160〜182)

ニュースや日常のなかで「言葉が雑に使われている」と感じたことはないだろうか?  かつて哲学者のウィトゲンシュタインは、「すべての哲学は「言語批判」である」と語った。本書で扱うのは、巷でよく見かける、現実をぼやかす言葉、責任を回避する言葉のほか、日常の中で文化の奥行きを反映する言葉などの「生きた言葉」たちだ。結局、言葉を大切にするとは何をすることなのか。サントリー学芸賞受賞の気鋭の哲学者が、自分自身の表現を選び取り、他者と対話を重ねていくことの実践法を説く。


【目次】

第1章|言葉とともにある生活
第2章|規格化とお約束に抗して
第3章|新しい言葉の奔流のなかで
第4章|変わる意味、崩れる言葉

https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23305


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収

Feb 13, 202236:26
『くじ引き民主主義:政治にイノヴェーションを起こす』吉田徹 |音読ブラックスワン#81

『くじ引き民主主義:政治にイノヴェーションを起こす』吉田徹 |音読ブラックスワン#81

『くじ引き民主主義:政治にイノヴェーションを起こす』

吉田徹|光文社新書|2021年11月17日

朗読箇所:第4章「くじ引きの歴史と哲学」(P.166〜188)


【内容】

傷ついた民主主義をアップデートする希望の書! 民主主義=選挙とは限らない。そして、選挙による「代表制民主主義」は、政策実現までの「時間的制約」、有権者と議員との「格差」といった欠点をもつ。

21世紀に入って、世界中の市民が自国の政治家や政党を信頼しなくなってきている今、先進国の政治不信は過去最高の水準に達しているといっていい。選挙によらない民主主義の形態を歴史的に振り返りつつ「くじ引き」の可能性を示す。

「くじ引きに民主主義が有効に機能するためには、いくつかの欠かせない条件もあるし、何にでも通用する万能の民主主義でもない。デジタル・デモクラシーやネット投票が叫ばれる時代にあって、対面と議論と熟慮を核とするくじ引き民主主義は、いかにも時代遅れに見えることだろう。しかし、そのスローな感じとぬくもりは、個人主義とスピードが優先される現代においてこそ、必要なものなのだ。そして温故知新、現代の民主主義が上手く機能していないのであれば、人類が歴史上すでに経験した異なる形の民主主義に範を求めて、その足りない部分を補えるようなイノヴェーションを起こせばよい。そもそもくじ引き民主主義は、おそらくもっとも根源的な民主主義に近いものなのだ。なぜならそれは、あなたや私を含むみんなが平等な条件でもって、共同体の意思決定に参加することができる民主主義だからだ」──「はじめに:政治のイノヴェーションに向けて」より


【目次】

はじめに──政治のイノヴェーションに向けて

第1章:作動しない代表制民主主義
第2章:増発する「くじ引き民主主義」
第3章:参加して、議論する民主主義
第4章;くじ引きの歴史と哲学
終章:スローな民主主義にしてくれ

あとがき

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334045722


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Feb 06, 202246:18
『著作権は文化を発展させるのか:人権と文化コモンズ』山田奨治|音読ブラックスワン#80

『著作権は文化を発展させるのか:人権と文化コモンズ』山田奨治|音読ブラックスワン#80

『著作権は文化を発展させるのか:人権と文化コモンズ』

山田奨治|人文書院|2021年7月30日

朗読箇所:第9章「『文化の発展』のために」(P.243〜269)


著作権のパラダイム転換へ

複雑になるだけの著作権は本当に文化のためになっているのか? それはユーザーの権利を阻害していないだろうか? 本書はこうした観点から、権利論とコモンズ論を基軸に人文社会、自然科学の知見を幅広く援用し、そもそも文化とは何かまで根底的に問い直す。ユーザーの人権という視点から、数百年に及ぶ著作権のパラダイム転換を提案する意欲作。

「ひとは影響を受けた作品を身体化し、所有している。作品のユーザーにも人権にもとづく権利があるのではないか。「文化」は集団的なものであり私的所有とは相性が悪いのではないか。そういった考えが本書の底流にある。これは論争を呼ぶアイデアだと思う」


【目次】

はじめに

第Ⅰ部 作者とユーザーの人権

第一章 著作権の人権論
第二章 障害者アートをめぐって
第三章 ユーザーの人権
第四章 作品が身体化する

第Ⅱ部 「文化」とは何か

第五章 「文化」概念の変遷
第六章 日本の「文化」概念の現在地

第Ⅲ部 文化のコモンズへ

第七章 文化コモンズを考える
第八章 「海賊版」からオープンアクセスへ
第九章 「文化の発展」のために

あとがき

http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b582019.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jan 30, 202258:12
『ほんとうのランニング』マイク・スピーノ|音読ブラックスワン#79

『ほんとうのランニング』マイク・スピーノ|音読ブラックスワン#79

『ほんとうのランニング』

マイク・スピーノ|近藤隆文・訳|木星社|2021年12月18日

朗読箇所:第1章「わが道を走る」(P.16〜27)


「ランナーは、アーティストだ。」

1970年代のある日、ランニングに魅せられた一人の若者がいる。彼の綴った言葉が、今もはっきりとビートを刻む。―― スポーツを通してウェルビーングを考えたいすべての人へ。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーとなった、マインドフル・ランニングの名著を初邦訳でお届けします。

災害/紛争/分断/感染症の日々を過ごしながら、ふと走りはじめる。そうすると身体と心のバランスを取り戻すことができると直感的に感じているランナーも多いかもしれません。本書は、走ることについての古今東西の哲学やヨガや様々なスポーツの体験談、トレーニングや食事法、エッセーや散文がまとめられた稀有な一冊です。ぜひお楽しみください。


【目次】


第1章「わが道を走る」
「ランニングとは身体を鍛える手段であると同時にひとつの芸術形式(アートフォーム)だと私は考えている」

第2章「戦うランナーのためのトレーニング」
「アスリートは毎日へとへとになるまで全力で走るべきだという信念に固執していた人々にとって、セラティの発想はそれこそ革命的なものだった。「ランニングには抑圧も統制も、形式化も固定も命令もあってはならない」と当時のセラティは書いている」

第3章「総合芸術としてのトレーニングプログラム」
「ジョギングだけでは事足りない。生活の様々な局面で新たなパラダイムを求める社会にあって、アスリートの目標となるのは、スポーツを通じて創造性と洞察力の新しいモデルを示すことだ」

第4章「未来のアスリート」
「学校対抗やクラブ、プロのチームはフィジカル一点張りのものがなくなり、哲学や人文科学と混ざり合うようになる」

第5章「ランニングの精神性について」
「ファンランやレクリエーションスポーツでは、あらゆるレベルの人が参加できると期待される。地域のクラブや機関がこうしたサービスを利用できれば、プロのカウンセラーが身体や治療に関わる要素を取り入れる絶好の機会となるはずだ」


https://www.mokusei.pub


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jan 23, 202222:56
『武器としてのヒップホップ』ダースレイダー|音読ブラックスワン#78

『武器としてのヒップホップ』ダースレイダー|音読ブラックスワン#78

『武器としてのヒップホップ』

ダースレイダー|幻冬舎|2021年12月8日

朗読箇所:「Where you at」「Feel」「Knowledge Reigns」(P.108〜123)


ヒップホップは逆転現象だ。病、貧困、劣等感……。パワーの絶対値だけを力に変える!自らも脳梗塞、余命5年の宣告をヒップホップによって救われた、博学の現役ラッパーが鮮やかに紐解く、その哲学、使い道。

DJのように過去と現在をつなげ、MCのように混沌を乗りこなせ、
スクラッチは自分だけが世界に刻む新しい音だ!

1973年のアメリカの手作りパーティから始まったヒップホップは、今、世界でもっとも聞かれる音楽ジャンルだ。ヒップホップは、常に前提を問う。お前は誰だ? お前は今どこにいるんだ? どこから来たのか? どこへ行くのか? 繰り返されるこれらの問いが世界の流れを知覚させる。
「The MC」「Break 」「 Beat」「Loop」……28のヒップホップ用語を軸に、逆境の乗り越え方、隙間をつく思考法、日常の目の付け所など、ヒップホップの精神とともに、閉じ行く社会のなかで、瓦礫を搔い潜る生き方を伝授する。 


構造の外に出ろ!
それしか選択肢がないと思うから構造が続く。
ならば別の選択肢を思い付け。
「言葉を演奏する」という途方もない選択肢に気付いた
ヒップホップは「外の選択肢」を示し続ける。
まさに社会のハッキング。
現役ラッパーがアジテートする!
──宮台真司(社会学者)

混乱こそ当たり前の世の中で
「お前は誰だ?」に答えるために"新しい動き"を身につける。
──植本一子(写真家)

あるものを使い倒せ。
楽器がないなら武器を取れ。進歩と踊る足を止めない為に。
イズムのより、同じ世界のを繋ぐリズムを感じろ。
──荘子it (Dos Monos)

この本を読み、全ては表裏一体だと気付いた私は向かう"確かな未知へ"。
──なみちえ(ラッパー)

ヒップホップの教科書はいっぱいある。
でもヒップホップ精神(スピリット)の教科書はこの一冊でいい。
──都築響一(編集者)

https://www.gentosha.co.jp/book/b14045.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Jan 16, 202232:20
『ニワトリと卵と、息子の思春期』繁延あづさ|音読ブラックスワン#77

『ニワトリと卵と、息子の思春期』繁延あづさ|音読ブラックスワン#77

『ニワトリと卵と、息子の思春期』

繁延あづさ|婦人之友社|2021年11月30日

朗読箇所:序章「2017年 夏」(P.12〜24)


「子ども時代の五感の体験は、
かけがえのないもの。
巣立ち前の混乱期は、通過儀礼です」
──福岡伸一

「ゲームの代わりにニワトリを飼わせて」の言葉とともに、周到に「にわとり飼育計画書」を用意していた小6の長男。親子の攻防の末に繁延家にニワトリがやってくる。長男の目的は卵を売りお金を得ること。地域の人たちに助けられながら、養鶏生活がまわり始める。けれども、一筋縄にはいかないことの連続。そんな日常の中で、思春期の息子と本気で向き合う著者。そこにはぶつかり合いも喧嘩も生じる。やがて、ニワトリを絞めて捌き、食すことで、命とその向こうにあるものを考える。コロナ禍、夫のリストラから生まれた父子の関係性の変化は、まさにユングの“父親殺し"。同時に「母とは、なんと儘ならないものか」と自分を見つめ直しながら、その葛藤をありのままに綴る。子育てを、親子の関係性を問い直す1冊。


【目次】

序章:2017年 夏
1章:ニワトリがやってきた
2章:ニワトリのいる日々
3章:“食べ物"は“生き物"
4章:家族、この儘ならぬもの

https://www.fujinnotomo.co.jp/article/20200111_f201807


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
『ニワトリと卵と、息子の思春期』繁延あづさ|音読ブラックスワン#77

黒鳥福祉センターにて収

Jan 09, 202228:32
blkswn jukebox 2021プレイバック後編|2021 The Final Playback, Part 2|小熊俊哉・若林恵

blkswn jukebox 2021プレイバック後編|2021 The Final Playback, Part 2|小熊俊哉・若林恵

Episodes with music are only available on Spotify.

12月27日に配信を行った「blkswn jukebox 2021プレイバック」。2021年の年間ベストを発表しながら、騒然とした2021年のあれやこれやを振り返る3時間を超える、だらだら音楽談義の後編。


*後編で紹介された年間ベストリスト*


【KEI WAKABAYASHI Best 25】

1. Parranoul/Asian Glow/sonhos tomam conta - Downfall of the Neon Youth
2. Mustafa - When Smoke Rises
3. Armand Hammer - Haram
4. Rauw Alejandro - VICE VERSA
5. BADSISTA - Gueto Elegance
6. The Westerlies/Conrad Tao - Bricolage
7. Moin - Moot!
8. Chris Corsano & Bill Orcutt - Made Out of Sound
9. Faye Webster - I Know I'm Funny haha
10. Leon Bridges - Gold-Diggers Sound
11. Defcee & Messiah Musik - Trapdoor
12. Kaatayra - Inpariquipe
13. Pedro Sá - Um
14. Yerin Baek - Love, Yerin
15. Miguel Zenón & Luis Perdomo - El Arte Del Bolero
16. Kowloon Walled City - Piecework
17. Vanishing Twin - Ookii Gekkou
18. Starrah - The Longest Interlude
19. Li Yilei - 之 / OF
20. Spirit of the Beehive - THE DOOR - Single
21. Pandit Pam Pam - Quinto Relatório Anual
22. Howie Lee - Birdy Island
23. Equiknoxx - Basic Tools Mixtape
24. Scotch Rolex - Tewari
25. Phelan Burgoyne - Yazgol

【Instrumental Expansion |楽器は拡張する】

Rachika Nayar - Our Hands Against the Dusk
Yasmin Williams - Urban Driftwood
Brandee Younger - Somewhere Different
Sam Gendel - Fresh Bread
Mario Batkovic - INTROSPECTIO


【Women on Console |女性エンジニアたち】

Weezer - Van Weezer(Suzy Shinn)
Illuminati Hottie - Let Me Do One More(Sarah Tudzin)
Pom Pom Squad - Death Of A Cheerleader(Sarah Tudzin)
Cherry Glazrr - Big Bang(Jennifer Decilveo)
Shura - obsession(Jennifer Decilveo)


【History of Future|未来の歴史】

Chris Patishall - Zodiac
Jeff Parker - Forfolks
Fatima Al Quadiri - Medieval Femme
Gabriels - Bloodline
Brendan Eder Ensemble - Edward Blankman/Cape Cod Cottage


【Featuring Moor Mother|遍在するムーア・マザー】

Irreversible Entanglements - Open The Gates
Galya Bisengalieva - Aralkum Aralas
Sons Of Kemet - Black To The Future
Jerusalem In My Heart - Qalaq
Moor Mother & billy woods - BRASS


【Evolving China|進化するチャイナ】

Yu Su - Yellow River Blue
Li Yilei - 之/OF
Howie Lee - Birdy Island
Pan Daijing - Jade
Gong Gong Gong - Gong Gong Gong Blues(Howie Lee Remix)


【Mental Maintenance|メンタル・メンテナンス】

Coldcut & Mixmaster Morris - @0
Mind Maintenance - Mind Maintenance
Jon Hopkins - Music For Psychedelic Therapy
Perila - 7.37/2.11
Esperanza Spalding - Songwrights Apothecary Lab


【Yerin Baek Retrospect|ペク・イェリンの1年】

Yerin Baek - tellusboutyourself
Yerin Baek - tellusboutyourself (Remixes)
Yerin Baek - 백예린 (Yerin Baek) tellusboutyourself Live Session(YouTube)
The Volunteers - The Volunteers
Yerin Baek - Love, Yerin


【Song of The Year 2021】

SE SO NEON - Jayu
Rauw Alejandro - Todo te ti”


出演:小熊俊哉・若林恵
撮影・配信:間部百合
音響・編集:宮本貴文
2021年12月27日:黒鳥福祉センターにて収録

Dec 31, 202101:50:21
blkswn jukebox 2021プレイバック前編|2021 The Final Playback, Part 1|小熊俊哉・若林恵

blkswn jukebox 2021プレイバック前編|2021 The Final Playback, Part 1|小熊俊哉・若林恵

Episodes with music are only available on Spotify.

12月27日に配信を行った「blkswn jukebox 2021プレイバック」。2021年の年間ベストを発表しながら、騒然とした2021年のあれやこれやを振り返る3時間を超える、だらだら音楽談義の前編。


*前編で紹介された年間ベストリスト*

【Best of blkswn jukebox】

〈blkswn jukebox: daily〉から
お気に入り数が多かった20の作品をリストアップ

1. badsista - GUETO ELEGANCE
2. bela - Guidelines
3. Jon Hopkins - Music For Psychedelic Therapy
4. Pino Palladino & Blake Mills - Notes With Attachments
5. 이수호 Leesuho - Monika
6. Colin Moulding - The Hardest Battle
7. Brendan Eder Ensemble - Cape Cod Cottage
8. Caroline Shaw & Sō Percussion - Let the Soil Play Its Simple Part
9. William Basinski - Music for Abandoned Airports: Tegel
10. Spoek Mathambo - Hikikomori Blue
11. Georgia Anne Muldrow - VWETO III
12. betcover!! - 時間
13. Howie Lee - Birdy Island
14. Arlo Parks - Collapsed In Sunbeams
15. Brandee Younger - Somewhere Different
16. Moor Mother - Black Encyclopedia of the Air
17. homeshake - Under The Weather
18. Sturle Dagsland - S.T.
19. Justina Jaruseviciute - Silhouettes
20. Mario Batkovic - INTROSPECTIO

【TOSHIYA OGUMA Best 25 】

1. Qrion - I Hope It Lasts Forever
2. betcover!! - 時間

3. Leesuho - Monika
4. Tirzah - Colourgrade
5. The Armed - Ultrapop
6. Faye Webster - I Know I'm Funny haha
7. LI YILEI - 之 / OF

8. Rachika Nayar - Our Hands Against the Dusk
9. Oberhofer - Smothered
10. Noga Erez - KIDS
11. bela - Guidelines
12. Dame Area - Ondas Tribales
13. Pandit Pam Pam - Quinto Relatório Anual
14. Justina Jaruševičiūtė - Silhouettes
15. Self Esteem - Prioritise Pleasure
16. TRESOR - Motion
17. Ben LaMar Gay - Open Arms to Open Us
18. Brandee Younger - Somewhere Different
19. Natanael Cano - A Mis 20
20. Magdalena Bay - Mercurial World
21. Kacy Hill - Simple, Sweet, and Smiling
22. Enji - Ursgal
23. Clairo - Sling
24. Pearl & The Oysters - Flowerland
25. Damon Albarn - The Nearer the Fountain, More Pure the Stream Flows


出演:小熊俊哉・若林恵
撮影・配信:間部百合
音響・編集:宮本貴文
2021年12月27日:黒鳥福祉センターにて収録

Dec 31, 202101:29:03
『目の眩んだ者たちの国家』キム・エランほか |音読ブラックスワン#76

『目の眩んだ者たちの国家』キム・エランほか |音読ブラックスワン#76

『目の眩んだ者たちの国家』

キム・エラン/パク・ミンギュ/ファン・ジョンウン/キム・ヨンスほか|矢島暁子・訳|新泉社|2018年5月10日

朗読箇所:キム・エラン「傾く春、私たちが見たもの」(P.11-23)



「どれほど簡単なことなのか。希望がないと言うことは。この世界に対する信頼をなくしてしまったと言うことは」
──ファン・ジョンウン


国家とは、人間とは、人間の言葉とは何か──。韓国を代表する気鋭の小説家、詩人、思想家たちが、セウォル号の惨事で露わになった「社会の傾き」を前に、内省的に思索を重ね、静かに言葉を紡ぎ出す。


〈傾いた船、降りられない乗客たち〉


「私たちは、生まれながらに傾いていなければならなかった国民だ。傾いた船で生涯を過ごしてきた人間にとって、この傾きは安定したものだった」
──パク・ミンギュ


「みんな本当は知っているのに知らないふりをしていたり、知りたくなくて頑なに知らずにきたことが、セウォルという出来事によって、ぽっかりと口を開けて露わになってしまったのだ」
──ファン・ジョンウン


「私たちが思う存分憐れみを感じられるのは、苦痛を受ける人たちの状況に私たち自身が何の責任もないと思うときだけだ」
──チン・ウニョ


「『理解』とは、他人の中に入っていってその人の内面に触れ、魂を覗き見ることではなく、その人の外側に立つしかできないことを謙虚に認め、その違いを肌で感じていく過程だったのかもしれない」
──キム・エラン


【目次】

- 傾く春、私たちが見たもの|キム・エラン
- 質問|キム・ヘンスク
- さあ、もう一度言ってくれ。テイレシアスよ|キム・ヨンス
- 目の眩んだ者たちの国家|パク・ミンギュ
- 私たちの憐れみは正午の影のように短く、私たちの羞恥心は真夜中の影のように長い|チン・ウニョン
- かろうじて、人間|ファン・ジョンウン
- 誰が答えるのか?|ぺ・ミョンフン
- 国家災難時代の民主的想像力|ファン・ジョンヨン
- じゃあ今度は何を歌おうか?|キム・ホンジュン
- 永遠の災難状態:セウォル号以降の時間はない|チョン・ギュチャン
- 精神分析的行為、その倫理的必然を生き抜かなければならない時間:抵抗の日常化のために|キム・ソヨン
- セウォル号の惨事から何を見て、何を聞くのか|ホン・チョルギ

- 本を編んで|シン・ヒョンチョル(季刊『文学トンネ』編集主幹)


https://www.shinsensha.com/books/1043/


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 31, 202137:56
『代表制民主主義はなぜ失敗したのか』藤井達夫 |音読ブラックスワン#75

『代表制民主主義はなぜ失敗したのか』藤井達夫 |音読ブラックスワン#75

『代表制民主主義はなぜ失敗したのか』

藤井達夫|集英社新書|2021年11月17日

朗読箇所:第二章「民主主義諸国における政治の私物化とその先」より(P.49-76)


世界中をポピュリズムが席捲する中、わたしたちの民主主義はどこへ向かうのか。人々は政党や議会には期待せず、時に自らの自由の制限もいとわずにトップの強いリーダーシップを望むようになった。著者は古典から最先端の政治理論まで駆使し、選挙と政党を基盤にした「代表制」と民主主義とはイコールではないこと、現在の社会は「代表制」が機能するための条件を完全に失ってしまったことを明らかにし、一方で、中国統治モデルの可能性と限界も検討する。民主主義を再生させるヒントはここにある。

「ウンザリするポピュリズムに淫した民主主義より、能力主義的選抜を勝ち抜いた政治エリートの政治(中国!)の方がマシだ……。この「誘惑」に抗う術はあるか。実に困難な課題に本書は果敢に挑戦する」──宮台真司氏、推薦!

【目次】
第1章 民主主義諸国における社会の私物化
第2章 民主主義諸国における政治の私物化とその先
第3章 民主主義とは何か──古代と近代──
第4章 代表制度とは何か
第5章 行き詰まる代表制度とポピュリズム
第6章 代表制度の改革

https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-721194-8


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 26, 202158:24
『まっくら:女坑夫からの聞き書き』森崎和江 |音読ブラックスワン#74

『まっくら:女坑夫からの聞き書き』森崎和江 |音読ブラックスワン#74

『まっくら:女坑夫からの聞き書き』

森崎和江|岩波文庫|2021年10月15日

朗読箇所:「棄郷」(P.102-118)

「女も男と同じごと仕事しよったですばい」「どんなことにでも堂々とむかってやる、こい」。筑豊の炭鉱で働いた女性たちの声を聞き取り、その生き様を記録した一九六一年のデビュー作。意志と誇りを失わず、真っ暗な地の底で過酷な採炭労働に従事した彼女たちの逞しさが、生き生きと描かれている。(解説=水溜真由美)

https://www.iwanami.co.jp/book/b591607.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 18, 202137:04
『行政をハックしよう:ユーザー中心の行政デジタルサービスを目指して』吉田泰己 |音読ブラックスワン#73

『行政をハックしよう:ユーザー中心の行政デジタルサービスを目指して』吉田泰己 |音読ブラックスワン#73

『行政をハックしよう:ユーザー中心の行政デジタルサービスを目指して』

吉田泰己|ぎょうせい|2021年11月15日

朗読箇所:Chapter 2「なぜ行政のデジタル化が必要なのか」(P.34-47)


「日本社会のデジタル化の進展の足を引っ張っているもの。それが行政組織であることがコロナ禍で浮き彫りになった。
脱皮できない蛇は死ぬ。行政サービスは今こそ情報技術を取り入れる時であり、本書ではそのための思考方法やツールが豊富に紹介されている。行政が脱皮して初めて日本全体がデジタル強国に脱皮できるだろう」──宮坂学(東京都副知事)

事業者向け認証ID「GビズID」をはじめとした事業者向けデジタルプラットフォームで広く知られる経済産業省。いち早く行政のデジタル化の課題に着手し、その立案から構築・運用まで携わるにとどまらず、省内では、横ぐし組織をつくり、他の中央省庁に先駆けて民間IT人材を巻き込んだスタートアップさながらの行政組織を形成している。著者がリードする省内外のDXを初めて詳報。

◉ユーザーファーストのサービス構築のために知っておくべき思考法とサービス開発手法を行政官向けに平易に解説。これからデジタル化に取り組む担当者はもちろん、未来を拓くすべての行政官必読の書!

◉著者がリードしている経済産業省DX(デジタルトランスフォーメーション)を初めて詳報!
・事業者向け認証サービス「GビズID」をはじめとした事業者向けデジタルプラットフォーム
・民間IT人材採用ノウハウの構築とチームづくり


【目次】


はじめに

プロローグ デジタルテクノロジーで行政の「当たり前」を変えよう

Chapter 1 行政組織、行政官の置かれる環境と役割の変化
Chapter 2 なぜ行政のデジタル化を進める必要があるのか
Chapter 3 経済産業省DXの取り組みが目指してきたもの、達成できていないもの
Chapter 4 行政組織に欠けている2つの思考
Chapter 5 アーキテクチャ思考でビジネス・デジタルガバメントの事例を見る
Chapter 6 行政デジタルサービスを開発するための3つの手法
Chapter 7 IT企業のような行政組織を目指す
Chapter 8 新型コロナウイルス感染拡大で見えた行政サービスの課題
Chapter 9 目指すべきGovernment as a Serviceの方向性

エピローグ デジタルコンフィデンスを持って行政をハックするために

Column
- シンガポール政府の雇用・人事評価制度
- 経営学の視点から行政の課題を見直してみる
- 「飛行機に乗る」という体験におけるサービスデザイン
- 行政システムのオープンソース化とその先の未来
- ベンダーロックインとは何か?

https://shop.gyosei.jp/products/detail/10892


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて

Dec 12, 202132:00
『ファンカルチャーのデザイン:彼女らはいかに学び、創り、「推す」のか』岡部大介|音読ブラックスワン#72

『ファンカルチャーのデザイン:彼女らはいかに学び、創り、「推す」のか』岡部大介|音読ブラックスワン#72

『ファンカルチャーのデザイン:彼女らはいかに学び、創り、「推す」のか』


岡部大介|共立出版|2021年8月25日


朗読箇所:第5章「ギブとゲット:アフィニティ・ベースの利他」(P.97-111)


本書は、腐女子、コスプレイヤー、プリクラユーザー、上映会を開催するファン......といった,認知科学の学術書の限界を軽く超えた人びとを対象に、もしかしたら私たちがどこかに置いてきぼりにしてきたかもしれない「無用の用」の意味を、真面目にフィールドワークの俎上にあげた学術書です。

彼女らの環世界にはまり、一緒に遊んでみた結果、意外にも、共愉、創造、デザイン、共創、利他、遊びといった、90年代以降の認知科学、特に状況的学習論が関心を寄せてきたテーマのヒントを垣間見ることとなりました。

腐女子やコスプレイヤーといった人びとの「愉しみ」は、もちろんそれ自体としても重要です。ただしその愉しみは、単に快楽として消費されるだけのものではありません。(自覚的か無自覚的かにかかわらず、)時に全人格的変容としての学習、創造的交歓、デザインの民主化といった、「目の前の生活の濃度を高める活動」へと接続していきます。

彼女らは、本書の中で、学びと遊びを暗黒面から自らの手に取り戻す「民衆による自律的な探究行動」を柔軟かつ鮮やかに示してくれます。彼女らの住まうこの世界の片隅の物語を読み進めることで、気がついたらあなたも一風変わった認知科学の沼にたどり着くことになるかもしれません。

注目のクリエイター,カナイガさんによって描かれた,クスッと笑えて肩の力が抜けるようなイラストもあわせてお楽しみください。


【目次】

第1章:可視化と不可視化──腐女子のアイデンティティ・ゲーム
第2章 密猟と共創──面白さへと向かう回路
第3章 学びと遊び──生活の濃度を高める
第4章 弥縫と創造──はまっている人たちの巧みさ
第5章 ギブとゲット──アフィニティ・ベースの利他
第6章 変換と交歓──日常に埋め込まれた市井のデザイン
第7章 プランと即興──愉しみをつくる身体
第8章 興味と学習──コントロールを手放す

https://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320094680



企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Dec 05, 202134:20
『透明社会』ビョンチョル・ハン|音読ブラックスワン#71

『透明社会』ビョンチョル・ハン|音読ブラックスワン#71

『透明社会』

ビョンチョル・ハン|守博紀・訳|花伝社|2021年10月13日

朗読箇所:「肯定社会」(P.7-22)


「透明社会」は「管理社会」に転化する──

「透明性」というイデオロギーの哲学的解剖

哲学・現代思想・メディア論を行き来する俯瞰的視点と、現代社会における「病理」の巧みな観想的「時代診察」で、ドイツ現代思想界を牽引するビョンチョル・ハン、恰好の入門書。ハンの著作リスト含む訳者解説収録。 ベンヤミン、ボードリヤール、ロラン・バルト、アガンベンらの思想を拡張し、高度情報化社会における新たな「暴力の形態」を探る現代管理社会論。


【目次】

■ 肯定社会
■ 展示社会
■ エビデンス社会
■ ポルノ社会
■ 加速社会
■ 親密社会
■ 情報社会
■ 暴露社会
■ 管理社会 

訳者解説

http://www.kadensha.net/books/2021/202110toumeishakai.html


企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

Nov 28, 202134:30