
Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア)
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ブック・ラウンジ・アカデミアは人文学・社会科学の研究者の著作を、著者自らが語る音声メディアです。学生や研究者はもちろん、知の世界に関心を持つ一般の方々にも楽しんでいただける内容になっています。新しい知の世界をどうぞお楽しみください。
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第1回 山本和行『自由・平等・植民地性〜台湾における植民地教育制度の形成』
Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア) • By BookLoungeAcademia • Feb 23, 2021
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第42回 福間良明さんインタビュー『戦後日本、記憶の力学〜「継承という断絶」と無難さの政治学』
今回は2020年に作品社より『戦後日本、記憶の力学〜「継承という断絶」と無難さの政治学』を出版された福間良明さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは津田壮章さんです。
【著作概要】
毎年夏になると、「戦争の記憶」の継承が叫ばれる。だが、そこでは「継承の欲望」は語ってはいても、そこ自体に内在する「風化」「断絶」が見落とされてはいないだろうか。戦争映画や戦跡観光と いったポピュラー文化のなかで、調和的な「継承」が麗しく語られる一方、軍内部の組織病理や暴力に着目されることは、総じて少ない。体験や記憶の「継承」の美名に浸ること自体が、じつは見るべきものから目を背け、「風化」「断絶」を進行させているのではないか。本書はこうした観点から、戦跡・モニュメント・新聞・映画・小説・手記などを見渡し、さまざまなメディアをとおして、戦争記憶の「継承という断絶」が生み出される社会背景やメカニズムを解明する。
【著者プロフィール】
福間良明
1969年、熊本市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は歴史社会学・メディア史。出版社勤務、香川大学経済学部准教授を経て、現在、立命館大学産業社会学部教授。著書に『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中公新書)、『「戦跡」の戦後史――せめぎあう遺構とモニュメント』(岩波現代全書)、『「働く青年」と教養の戦後史――「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩選書、サントリー学芸賞受賞)、『「勤労青年」の教養文化史』(岩波新書)など。
【インタビュアープロフィール】
津田壮章
1988年、京都府生まれ。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程院生、日本学術振興会特別研究員DC。主論文に「戦後日本の政軍関係と自衛隊出身政治家の消長――隊友会機関紙『隊友』の言説分析を中心に」(『戦争社会学研究』第5巻)、「自由な校風という教育実践――京都府立鴨沂高等学校の学校行事「仰げば尊し」から」(『人間・環境学』第29巻)など。
41:25
July 26, 2022

第41回 福本拓さんインタビュー『大阪のエスニック・バイタリティ〜近現代・在日朝鮮人の社会地理』
今回は、2022年に京都大学学術出版会より『大阪のエスニック・バイタリティ〜近現代・在日朝鮮人の社会地理』を出版された福本拓さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは仙波希望さんです。
【著作概要】
福本拓
在日朝鮮人最大の集住地区である大阪・猪飼野は,詩人の金時鐘がヴィヴィッドに描き出したように,移住者が困難な状況の下でも活気ある生活状況を呈し,それでいて「地図にない」「日本でない」と称される場所であった。本書は,この「見ようとしなければ見えない」集住地区を大阪という都市のバイタリティを体現する空間と捉え,その歴史的変遷を明らかにする。
分析に際しては、多種の統計を用いつつ、土地と資本との関係にも焦点を当てている。戦前に形成された集住地区は、戦中・戦後の再編を通じて現在の形態に近づくが、戦後はそれが空間的に固定化されていく過程があった。そこには、戦後日本における排除・差別の中で形成された,自営業を中心とするエスニック経済の諸特性が強く影響している。
1980年代以降、在日朝鮮人の社会経済的地位の向上によって集住は弱化していくが、次の段階として、既存の集住地区での「ニューカマー」韓国人の増加やそれに伴う景観変容も見られた。ここからは、植民地主義下で形成された集住地区が、現代の国際人口移動の結節点としても機能していることが看取できる。さらには、韓流ブームというグローバルな文化消費によって、旧来のコリアタウンは観光地として大きく変貌を遂げつつある。
こうした,衰退局面においても次の活性化の兆しが生じるダイナミズムを集住地区は有しており,そのバイタリティが大阪という都市を特徴付けてきたといえる。
【著者プロフィール】
福本拓
南山大学人文学部日本文化学科准教授。1978年大阪市生まれ。2007年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員、三重大学人文学部特別研究員、宮崎産業経営大学法学部講師、同准教授を経て、2019年より現職。博士(文学)。専門・関心は、都市社会地理学、多文化共生論。
第7回地理空間学会奨励賞を受賞。
主要編著:『都市の包容カ―セーフティネットシティを構想する』(共編、法律文化社、2017年)、Diversities of urban inclusivity: Perspectives beyond gentrification in developed city-regions (共編、Springer、 近刊).
【インタビュアープロフィール】
仙波希望
1987年生まれ。専門は都市研究、カルチュラル・スタディーズ。博士(学術)。現在、広島文教大学人間科学部准教授。主な著書に『惑星都市理論』(編著、以文社、2021)、『忘却の記憶』(編著、月曜社、2018)など。
35:44
July 12, 2022

第40回 岡部芳彦さんインタビュー『日本・ウクライナ交流史1937-1953』
今回は、2022年に神戸学院大学出版会より『日本・ウクライナ交流史1937-1953』を出版された岡部芳彦さんをゲストにお迎えしました。本書の内容だけでなく、ウクライナに関わるきっかけについても語っていただきました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。(収録@神戸学院大学ポートアイランドキャンパス)
【著作概要】
アメリカ各地、フスト、ジュネーブ、東京、ハルビン、ノリリスク・・・
カルパト・ウクライナやウクライナ亡命政府との接触、ウクライナ民族主義者組織と日本の関係、幻のウクライナ語=日本語辞典、シベリアの極北の地における日本人とウクライナ人の邂逅まで、知られざる日・宇の人的交流を解き明かす待望の第2巻。
【著者プロフィール】
岡部芳彦
1973年9月9日、兵庫県生まれ。
神戸学院大学経済学部教授、同国際交流センター所長、 博士(歴史学)[中部大学:2021年]、博士(経済学)[神戸学院大学:2015年] 。
ウクライナ国立農業科学アカデミー外国人会員
ウクライナ研究会(国際ウクライナ学会日本支部)会長
主な受賞歴:ウクライナ内閣名誉章(2021年)、ウクライナ最高会議章(2019年)、ウクライナ大統領付属国家行政アカデミー名誉教授(2019年)、ウクライナ国立農業科学アカデミー名誉章(2017年)、名誉博士(ウクライナ国立農業科学アカデミー・アグロエコロジー環境マネジメント研究所第68号、2013年)
【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学現代社会学部教授。
経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda
20:38
June 28, 2022

第39回 清水亮さんインタビュー『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』
今回は、2022年に新曜社より『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』を出版された清水亮さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは『〈趣味〉としての戦争』を出版された佐藤彰宣さんです。
【著作概要】
特攻など悲壮なイメージただよう少年航空兵「予科練」。戦後、学歴やレッテルに悩みつつ中年となった彼らは、ユニークな慰霊碑・記念館をつくりだす。その陰には、孤立していたはずの戦友会をとりまく婦人会・政財界・自衛隊のネットワークがあった。
*戦争体験者集団を、エリート、メディア、地域、集合的記憶、アソシエーションの切り口から捉え直す戦争社会学のチャレンジ。
序章 元兵士たちが遺した記憶のかたち
第1章 戦争・集団・記憶――社会形態学へ向けて
第2章 準エリートたちの軌跡――学歴と予科練
第3章 メディアを介した戦友会の統合
第4章 地域婦人会の記憶と行動――軍隊と地域の歴史的文脈から
第5章 戦後社会の戦友会支援ネットワーク――元軍人・自衛隊から政財界まで
終章 戦争をめぐるつながりとかたち
【著者プロフィール】
清水亮
1991年東京都新宿区生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(早稲田大学)。戦争博物館や語り部、自衛隊・旧軍と地域社会に関する研究にも取り組む。共著に、『社会の解読力〈歴史編〉』、『社会のなかの軍隊/軍隊という社会』、『なぜ戦争体験を継承するのか』、『社会学で読み解く文化遺産』。その他詳細は、https://researchmap.jp/smzr/
【インタビュアープロフィール】
佐藤彰宣
1989年、兵庫県神戸市生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、流通科学大学人間社会学部講師。専門は文化社会学、メディア史。著書に『〈趣味〉としての戦争』(創元社、2021年)、『スポーツ雑誌のメディア史』(勉誠出版、2018年)、共著に『「知覧」の誕生』(柏書房、2015年)、『趣味とジェンダー』(青弓社、2019年)、『近頃なぜか岡本喜八』(みずき書林、2020年)、『楽しみの技法』(ナカニシヤ出版、2021年)など。
28:22
June 21, 2022

第38回 小田ならさんインタビュー『〈伝統医学〉が創られるとき〜ベトナム医療政策史』
今回は2022年に京都大学学術出版会より『〈伝統医学〉が創られるとき〜ベトナム医療政策史』を出版された小田ならさんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは藤本大士さんです。
【著作概要】
建国の理念を体現し,「われわれの医学」(ホー・チ・ミン)として息づくベトナムの伝統医療。しかし,その「北ベトナム」中心のナショナリズムの物語を離れて歴史を辿ると,さまざまな権力作用,概念のもつポリティクス,実際の治療行為が結実した複雑な「伝統医学」像が顕れる。独立・分断・統一のなかで,近代国家はいかに医療の知識を制度に組み込んだのか。それは担い手たちにとって,いかなる経験だったのか。公定の「伝統医学」をめぐるダイナミズムを描く。
【著者プロフィール】
小田なら
同志社大学文学部文化学科文化史学専攻卒業、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学、博士(地域研究)。現在、東京外国語大学世界言語社会教育センター講師。専門は東南アジア地域研究、ベトナム現代史。主要著作に、“Traditional Medicine in the Mekong Region,” From Mekong Commons to Mekong Community: An Interdisciplinary Approach to Transboundary Challenges (Routledge, 2021)、「ベトナムは『性的少数者に寛容』なのか?:同性婚と性別変更にみる政策変容と社会規範」『東南アジアと「LGBT」の政治:性的少数者をめぐって何が争われているのか』(明石書店、2021年)。
【インタビュアープロフィール】
藤本大士
2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。
31:11
June 07, 2022

第37回 山本かほりさんインタビュー『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』
今回は2022年に三一書房より『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』を出版された山本かほりさんをゲストにお迎えしました。
【著作概要】
本書は二部で構成される。第Ⅰ部では筆者がこの10年関わってきた朝鮮学校「支援」活動に参加しつつ、考察してきたことをまとめた。まず、朝鮮学校での営みを記述し、その学びが生徒たちにとってどのような意味を持つのかについて考察した。さらには、「朝鮮学校にとっての<祖国>とは何か」という問いに迫るべく、愛知朝鮮高校の生徒たちの朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への修学旅行の同行調査を行い、記録した。2週間にわたるフィールドワークを6度行い、かれらが朝鮮で何を見て、感じ、考え、そして、朝鮮をどのように捉えるのかについて考えた。そのうえで、朝鮮学校に「好意的」なリベラル言説が、朝鮮学校と朝鮮の関係を無化し、結果として他者理解の姿勢を手放してしまっていることについて批判的に考察した。
第Ⅱ部は、30年間にわたる在日朝鮮人の家族親族の生活史調査からの知見をまとめたものである。対象親族は3世世代に医師をはじめとする多くの高学歴者・専門職従事者を輩出した親族である。強固な家族ネットワークのもとで、日本社会を生き抜くために上昇移動を志向したかれらは、近年は一見すると日本社会に「同化」しているようにみえるが、それでもなお「民族」を完全に手放そうとはしないのはなぜなのかについて、その結婚観やチェサ(法事)観、朝鮮総聯との関係や朝鮮学校での経験などに関する語りを通じて考察した。
また、筆者が17回訪朝するなかで経験した朝鮮を紹介した8本のエッセイも掲載している。
【著者プロフィール】
山本かほり
1965年生まれ。愛知県立大学社会福祉学科教員(社会学)。著書に、谷富夫・稲月正・高畑幸編著 『社会再構築の挑戦〜地域・多様性・未来』(共著、ミネルヴァ書房 2020年)、有田伸・山本かほり・西原和久編著 『国際移動と移民政策〜日韓の事例と多文化主義再考』(共編著、国際社会学ブックレット2 東信堂 2016年)、平田雅己・菊地夏野編著 『ナゴヤ・ピース・ストーリーズ:ほんとうの平和を地域から』(共著、風媒社 2015年)等。
【インタビュアープロフィール】
李洪章
1982年生まれ。神戸学院大学現代社会学部教員。専門はエスニシティ、ナショナリティ、在日朝鮮人。著書に、『在日朝鮮人という民族経験〜個人に立脚した共同性の再考へ』(単著、生活書院 2016年)、『帝国のはざまを生きる〜交錯する国家、人の移動、アイデンティティ』(共編著、みずき書林 2022年)、『日常的実践の社会人間学〜都市・抵抗・共同性』(共著、山代印刷株式会社出版部 2021年)等。
24:39
May 17, 2022

第36回 濱田麻矢さんインタビュー『少女中国〜書かれた女学生と書く女学生の百年』
BLA36回目のゲストは2021年に岩波書店より出版された『少女中国〜書かれた女学生と書く女学生の百年』の著者、濱田麻矢さんです。インタビュアーは田村容子さんです。
【著作概要】
国家増強のため、青年を重視しはじめた近代中国。「中国少年」や「新青年」は新しい中国を描くために欠かせない合言葉となり、1920年代以降、青年の成長を描く中国式のビルドゥングスロマンが盛んに書かれてゆくことになった。しかしこれらの「少年」や「青年」とは潜在的に男性を指していた。少女たちはある時には有為の人材となるべく叱咤激励され、またある時には家に戻って家族を後方支援するよう要請されたのである。
近代以降に開始された女子教育によって、少女たちは生家を離れ、自分で次の生き方を決めようと模索する時間を持てることになった。本書はさまざまな文学テクストに沿いながら、生家を離れた娘たちがどのように自分の着地点を見つけようとしたのか、また彼女たちの奮闘を男性作家がどのように眺めたのかについて、五四運動期直前から天安門事件後までの百年をたどりながら検証付けてゆく。
【ゲストプロフィール】
濱田麻矢
1969年、兵庫県生まれ。神戸大学大学院人文学研究科教授。京都大学大学院博士後期課程中途退学。著書に『漂泊の叙事〜一九四〇年代東アジアにおける分裂と接触』(共編、勉誠出版)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい〜乳房の図像と記憶』(共著、岩波書店)、訳書に『中国が愛を知ったころ〜張愛玲短篇選』(岩波書店)、『覚醒するシスターフッド』(共訳、河出書房新社)等。研究テーマは中国現代文学、特に民国期小説の性別表象に興味を持つ。目下の関心は文学テクストに描かれた「だめんず(不実な男性)」像と産み手としての女性の売買。
【インタビュアー】
田村容子
1975年、愛知県生まれ。北海道大学大学院文学研究院准教授。神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『男旦(おんながた)とモダンガール 二〇世紀中国における京劇の現代化』(単著、中国文庫)、『中国文学をつまみ食い』(共編著、ミネルヴァ書房)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい〜乳房の図像と記憶』(共著、岩波書店)等。研究テーマは中国演劇・文学。特に演劇における性別表象、プロパガンダ芸術にみられる身体表象に関心を持つ。
28:13
April 19, 2022

第35回 松方冬子さんインタビュー『洋学史研究事典』
BLA35回目のゲストは2021年に思文閣出版より出版された『洋学史研究事典』の編者のお一人、松方冬子さんです。インタビュアーは『医学とキリスト教』の著者で、第28回のBLAゲストでもある藤本大士さんです。
【著作概要】
洋学史研究は、内外の史料に恵まれ、大きな蓄積を持つが、とくに地域洋学史研究の進展が内外に十分発信されていなかった。そこで、現状の打破と現段階までの研究成果を反映させた新たな研究指針となるような事典として『洋学史研究事典』が編集された。本事典では、洋学史研究を研究篇(グローバル)と地域篇(ローカル)に分けて執筆し、地域篇では47都道府県の洋学史研究の現状と成果を一堂にみることが初めてできるようになった。研究篇では、人・モノ・情報の交流を意識して、洋学研究に重要な人物・項目を網羅したほか、従来扱われなかった項目もあげた。通覧することで、様々な国際交流があったことがみえてくるだろう。
【ゲストプロフィール】
松方冬子
1993年、東京大学大学大学院(国史学専攻)単位取得退学。東京大学史料編纂所助手、同助教授、同准教授を経て、同教授。博士(文学)(2008年、東京大学)。主要著作に、松方冬子『オランダ風説書と近世日本』(東京大学出版会、2007年)、松方冬子『オランダ風説書:「鎖国」日本に語られた「世界」』(中公新書、2010年)、松方冬子ほか編、日蘭交渉史研究会訳『一九世紀のオランダ商館』(上・下)(東京大学出版会、2021年)、松方冬子編『オランダ語史料入門:日本史を複眼的にみるために』(東京大学出版会、2022年)など。
【インタビュアー】
藤本大士
2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。
19:58
April 05, 2022

第34回 熊本理抄さんインタビュー『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』
今回は2020年に解放出版社より『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』を出版されました熊本理抄さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。
【本書概要】
本書は三部から構成される。第一は、部落女性90人の聞き取り分析だ。部落民であること、女性であることを部落女性がいかに認識し位置づけているか、その認識になにがどのように影響しているか、その位置づけをどう変容しようとしているかを明らかにする。第二は、部落解放運動の資料分析である。部落解放運動が部落女性の主体性形成をいかに支援あるいは阻害したのか、そのなかでみずからの主体性形成を追究しつづける部落女性の思考と実践はいかなるものだったのかを考察する。第三は、ブラック・フェミニズム思想と国際人権言説が提起するインターセクショナリティ概念と部落女性が解放運動で定着させた複合差別概念の共通性と相違性を見出し、それら概念の理論的、実践的有効性を検証する。
【著者プロフィール】
熊本理抄
1972年福岡県生まれ。近畿大学人権問題研究所教員。博士(人間科学)。
幼少期を被差別部落で過ごし、部落解放運動に参加する。留学先で先住民族や性的マイノリティの人権運動に出会ったことをきっかけに、大学卒業後、反差別国際運動(IMADR)で働く。反差別国際運動は、世界中で差別と闘っている人たちとつながりたいという思いから、1988年に部落解放運動など国内外のマイノリティ当事者団体がつくった国際人権NGO。2002年4月から現職。現在は、被差別部落女性の解放運動およびインドやネパールのダリット女性による解放運動、世系に基づく差別とジェンダーの複合差別、レイシズム・スタディーズとダリット・スタディーズの連携、教育と福祉のまちづくりを研究テーマとしている。
【インタビュアープロフィール】
鶴見太郎
1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)
専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)
39:51
March 22, 2022

第33回 土屋敦さんインタビュー『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』
【著作概要】
第2次世界大戦で親を失った戦災孤児・戦争孤児は、戦後70年にあたる2015年まで多くを語らず、「沈黙の70年」を生きてきた。彼・彼女たちはなぜ沈黙してきたのか。これまでの人生で何を経験してきたのか。当事者たちにロングインタビューをおこない、これまで歩んだ生活実態を明らかにする。
【著者プロフィール】
土屋敦
関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、福祉社会学、子ども社会学、家族社会学。著書に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(ともに勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。
【インタビュアープロフィール】
三品拓人
日本学術振興会特別研究員(PD)。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。家族社会学、子ども社会学。論文に「児童養護施設で暮らす小学生男子たちにとっての〈友人〉〜子ども同士の関係の質的な違いに着目して」(『ソシオロジ』64巻3号)、「児童養護施設における子ども間の身体的な暴力の社会学的検討〜施設内における「男子性」の凝縮に着目して」(『フォーラム現代社会学』18号)、「児童養護施設に住まう子ども間の「差」と職員の葛藤〜子どもの多層性に着眼して」(『社会的養護研究』1号)など。
29:24
March 15, 2022

第32回 石田智恵さんインタビュー『同定の政治、転覆する声〜アルゼンチンの「失踪者」と日系人』
【著作概要】
1970年代、アルゼンチン軍事政権による反政府活動家の弾圧が生み出した大量の「失踪者」、その中には日本人移民の子どもたちがいた—死体なき「強制失踪」という国家テロリズムと、日常的な人種主義、両者を転覆しようとする、日系失踪者とその親族たちの闘いを文化人類学的視点から描く。
【著者プロフィール】
石田智恵
早稲田大学法学学術院准教授。立命館大学大学院先端総合学術研究科修了。アルゼンチンにおけるナショナリティ/人種に関する人類学的研究。近年は20世紀後半独裁体制下の国家暴力に関する「記憶」、「正義」を問う市民運動に関心を持ち、ブエノスアイレスで調査をしている。共編著に『異貌の同時代〜人類・学・の外へ』(以文社、2017年、収録論文「個人の登録・消去・回復〜アルゼンチンと同一性の問題」)など。
【インタビュアープロフィール】
北田依利
米国ラトガーズ大学・歴史学研究科・博士課程在籍。歴史学、とくに米国内およびアジア太平洋地域のジェンダー/セクシュアリティ・人種と、脱植民地主義的な歴史叙述の方法論を勉強している。主要業績に『多様性を読み解くために』(エスニック・マイノリティ研究会編、2020年)、“Japanese Mixed-Race Children in the Philippines, Then and Now!” (Immigration and Ethnic History Society Online, 2021)、などがある。シノドスやWashington Postにも寄稿している。
40:42
March 08, 2022

第31回 坂井めぐみさんインタビュー『「患者」の生成と変容〜日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』
今回は2019年、晃洋書房より出版された『「患者」の生成と変容〜日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』の著者坂井めぐみさんがゲストです。研究の背景やご自身の経験、さらにはご自身の出身である立命館大学先端総合学術研究科の環境に至るまで、この本の魅力を語っていただいています。インタビュアーは、以前、ご自身の著書も語っていただいたことのある藤本大士さんです。
【著作概要】
幕末期には、治ることのない身体として見放されていた脊髄損傷者は、戦後の軍事医療の一環で「患者」として扱われるようになり、その後リハビリを通した社会復帰が望まれるようになった。そして今、再生医療の進展により、脊髄損傷者に新たな視線が注がれている。社会情勢、医療制度、患者の生活などから「患者像」の変容を示した医療の歴史をたどる。
【著者プロフィール】
坂井めぐみ
2009年、立命館大学産業社会学部卒業。一般企業勤務を経て、2018年、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了、博士(学術)。現在、立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は医学史。主要著作に、『「患者」の生成と変容:日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』(晃洋書房、2019年)。共著に、『現代のバベルの塔:反オリンピック・反万博』(新教出版社、2020年)。
【インタビュアープロフィール】
藤本大士
2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。
18:26
March 01, 2022

第30回 謝花直美さんインタビュー『戦後沖縄と復興の「異音」〜米軍占領下 復興を求めた人々の生存と希望』
今回は『〈戦後沖縄と復興の「異音」』を出版された、沖縄大学地域研究所特別研究員で、沖縄タイムスで記者をされている謝花直美さんにゲストとしてお越しいただきました。インタビュアーは松田ヒロ子さん。
【著作概要】
沖縄の人々は沖縄戦から米軍占領下の戦後にかけて、戦場での彷徨・避難、収容所への移動から帰還、さらに海外からの引揚げなど、生活を破壊され移動に次ぐ移動を強いられた。本書は、これまでの歴史叙述が取りこぼしていた人々の生活の場(生活圏)に注目し、米軍占領下の復興というものがいかなるものであり、ある復興が別の復興を妨げてしまうという「復興の異音」に耳を傾けながら、戦後沖縄の原風景を生身の人間の姿に即して描き出す。巧妙に占領への協力が作り出され、窒息しそうな社会の中でも、希望の兆しを人々は生活の場からいかにして創り出していったのか。
【著者プロフィール】
謝花直美
1962年生まれ。沖縄タイムス記者・沖縄大学地域研究所特別研究員
【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学専任教員。オーストラリア国立大学Ph.D (History)
32:16
February 22, 2022

第33回 土屋敦さんインタビュー『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』
【著作概要】
第2次世界大戦で親を失った戦災孤児・戦争孤児は、戦後70年にあたる2015年まで多くを語らず、「沈黙の70年」を生きてきた。彼・彼女たちはなぜ沈黙してきたのか。これまでの人生で何を経験してきたのか。当事者たちにロングインタビューをおこない、これまで歩んだ生活実態を明らかにする。
【著者プロフィール】
土屋敦
関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、福祉社会学、子ども社会学、家族社会学。著書に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(ともに勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。
【インタビュアープロフィール】
三品拓人
日本学術振興会特別研究員(PD)。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。家族社会学、子ども社会学。論文に「児童養護施設で暮らす小学生男子たちにとっての〈友人〉〜子ども同士の関係の質的な違いに着目して」(『ソシオロジ』64巻3号)、「児童養護施設における子ども間の身体的な暴力の社会学的検討〜施設内における「男子性」の凝縮に着目して」(『フォーラム現代社会学』18号)、「児童養護施設に住まう子ども間の「差」と職員の葛藤〜子どもの多層性に着眼して」(『社会的養護研究』1号)など。
29:24
February 15, 2022

第29回 佐藤彰宣さんインタビュー『〈趣味〉としての戦争〜戦記雑誌「丸」の文化史』
2021年に創元社より『〈趣味〉としての戦争〜戦記雑誌「丸」の文化史』を出版された歴史学者の佐藤彰宣にお越しいただき、その著作について語っていただきました。インタビュアーは松田ヒロ子さん。
【著作概要】
「『丸』を読まずして、平和を語るなかれ!」を標題に掲げた戦記雑誌『丸』は、ミリタリー雑誌界のなかでも最も歴史のある長寿雑誌である。敗戦後の日本社会において、人々は戦争や軍事、平和にどのように触れてきたのか。政治や教育といった硬派な領域とは異なる、趣味としての戦争・平和認識の変遷を、戦記雑誌の誌面から読み解く。
【著者プロフィール】
佐藤彰宣
1989年、兵庫県神戸市生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、流通科学大学人間社会学部講師。専門は文化社会学、メディア史。著書に『スポーツ雑誌のメディア史』(勉誠出版、2018年)、共著に『「知覧」の誕生』(柏書房、2015年)、『趣味とジェンダー』(青弓社、2019年)、『近頃なぜか岡本喜八』(みずき書林、2020年)、『楽しみの技法』(ナカニシヤ出版、2021年)など。
【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学教員。オーストラリア国立大学Ph.D
経歴の詳細→http://www.researchmap.jp/hirokomatsuda
25:26
February 01, 2022

第28回 藤本大士さんインタビュー『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』
2021年8月に法政大学出版局より『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』を出版された歴史学者の藤本大士にお越しいただき、その著作について語っていただきました。各種資料を用いて、幕末からアジア太平洋戦争後に至るまで日本におけるアメリカ人医療宣教師の活動と変遷を描いた作品です。インタビュアーは石井紀子さん。
【著作概要】
幕末からアジア・太平洋戦争後に至るまで、多くの医師資格をもつプロテスタント宣教師がアメリカより日本に派遣され、医療を通じて人々にキリスト教を広めていった。ドイツの強い影響下にあった明治期以降の日本医学界において、アメリカ人医療宣教師たちはいかにその活動を拡大していったか。日々の診療のみならず、医学・看護教育、慈善事業・公衆衛生事業など多岐にわたる彼らの活動とその変遷を検証する。
【著者プロフィール】
藤本大士
1987年生まれ、福岡県鞍手町出身。2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(DC1)、イェール大学、ハーバード・イェンチン研究所、ベルリン自由大学フリードリッヒ・マイネッケ研究所、シンガポール国立大学など客員研究員、名古屋経済大学非常勤講師を経て、2021年4月より日本学術振興会特別研究員(PD)(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。主要著作に、“Women, Missionaries, and Medical Professions: The History of Overseas Female Students in Meiji Japan,” in Meiji Japan in Global History, ed. Catherine L. Phipps (Oxford and New York: Routledge, 2021) など。
【インタビュアープロフィール】
石井紀子
上智大学外国語学部教授。Ph.D.(ジョージ・ワシントン大学)。専門はアメリカ女性史、社会史、日米関係史、トランスナショナル・ヒストリー(女性史)など。著書にAmerican Women Missionaries at Kobe College, 1873-1909: New Dimensions in Gender (Routledge, 2004)。論文に “Imagining an Anti-Racist Cosmopolitanism: Localization, Imperialism and Transnational Women’s Activism in Interwar Japan,” Journal of Colonialism and Colonial History 22:3 (Winter 2021), 「東アジアの女性宣教師とグローバル・ヒストリー」上智大学アメリカ・カナダ研究所他編『グローバル・ヒストリーズ「ナショナル」を越えて』上智大学出版、2018年, “Difficult Conversations across Religions, Race and Empires: American Women Missionaries and Japanese Christian Women during the 1930s and 1940s,” The Journal of American-East Asian Relations 24:4 (2017) など。
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34:26
January 18, 2022

第27回 元森絵里子さんインタビュー『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』
青弓社より『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』を出版された元森絵里子さんをお迎えし、著書についてお話しいただきました。インタビュアーは坪井瞳さん。
【著作概要】
フィリップ・アリエス『〈子供〉の誕生』は、子どもを保護し教育すべきと見なす感覚が歴史的なものだと明らかにした。戦前期日本の年少者の生とそれを取り巻く言説や制度を掘り起こし、「誕生」という単純な図式では捉えられない、多様な子どもの近代に光を当てる
【著者プロフィール】
元森絵里子
明治学院大学社会学部教授。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。歴史社会学、子ども社会学。著書に『「子ども」語りの社会学』(勁草書房、2009年)、『語られない「子ども」の近代』(勁草書房、2009年)、共編著に『子どもへの視角』(新曜社、2020年)、訳書にアラン・プラウト『これからの子ども社会学』(新曜社、2017年)など。
【インタビュアープロフィール】
坪井瞳
東京成徳大学子ども学部准教授。大妻女子大学大学院家政学研究科博士後期課程単位取得退学。幼児教育学、子ども社会学、教育社会学。共著に『保育・幼児教育・子ども家庭福祉辞典』(ミネルヴァ書房、2021年)、『児童相談所の役割と課題』(東京大学出版会、2020年)、『子どもへの視角』(新曜社、2020年)、『子どもの生活を支える家庭支援論』(ミネルヴァ書房、2014年)、など。
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58:33
January 04, 2022

第26回 岡崎弘樹さんインタビュー『アラブ近代思想家の専制批判〜オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』
東京大学出版会より『アラブ近代思想家の専制批判〜オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』を出版された岡崎弘樹さんをお迎えし、著書についてお話しいただきました。インタビュアーは鶴見太郎さん。
【著作概要】
アラブ・イスラームにおける専制主義をめぐってナフダ(復興)第二世代と呼ばれる思想家たちは,近代を模索するアラブ世界をいかにとらえていたのか。自由や民主主義を希求し,現在にも連なる開かれた知を求める思想の展開を明らかにする。
【著者プロフィール】
岡崎弘樹
1975年生まれ。専門は、アラブ近代政治思想、および現代シリア文化研究。2003年から2009年にかけて仏研究所研究員や日本大使館の政務アタッシェとしてダマスカスに滞在。元政治囚の作家たちと付き合う中で、彼らの生命力と知的誠実さに感銘するとともに、19世紀以来のアラブ人思想家による自己批判の精神史の解明を志す。2016年にパリ第3大学アラブ研究科で社会学博士号を取得。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学や大阪大学ほかで非常勤講師。著書に『アラブ近代思想家の専制批判―オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』(東京大学出版会、2021)、伊藤邦武ほか編集『世界哲学史VI 近代① 啓蒙と人間感情論』(第8章「イスラームの啓蒙思想」を分担執筆、筑摩書房、2020)。訳書にヤシーン・ハージュ・サーレハ著『シリア獄中獄外』(みすず書房、2020)など。
【インタビュアープロフィール】
鶴見太郎
1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)
専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)
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31:59
December 21, 2021

第25回 浜井和史さんインタビュー『戦没者遺骨収集と戦後日本』
吉川弘文館より『戦没者遺骨収集と戦後日本』を出版された浜井和史さんをお迎えしました。
【著作概要】
アジア・太平洋戦争における海外戦没者約240万人のうち、100万を超える遺骨が今なお現地に残る。戦後の日本は、海外戦没者の処理問題に真摯に向き合ってきたといえるのか。「遺骨収集事業」をめぐる諸外国との交渉や政策決定過程、国内の議論を分析し、歴史的に考察。靖国問題にとどまらない戦没者と国家の関係をめぐる研究に新たな視座を示す。
【著者プロフィール】
浜井和史
1975年、北海道函館市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。博士(文学)。外務省外交史料館『日本外交文書』編纂室勤務を経て、現在、帝京大学共通教育センター准教授。専門は日本近現代史、日本外交史。主要著書に『戦没者遺骨収集と戦後日本』(吉川弘文館、2021年)、『海外戦没者の戦後史――遺骨帰還と慰霊』(吉川弘文館、2014年)、編著に『復員関係史料集成』全12巻(ゆまに書房、2009--2010年)など。
【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学現代社会学部・准教授。オーストラリア国立大学Ph.D
経歴、業績の詳細は https://researchmap.jp/hirokomatsuda
31:36
December 07, 2021

第24回 田中輝美さんインタビュー『関係人口の社会学〜人口減少時代の地域再生』
住む人が減ったら、地域は再生できないのか? 関係人口を社会学の見地から定義し、その役割を論じた本邦初の「関係人口の研究書」。各地の事例と新たな理論の枠組みによって関係人口を位置づけ直し、人口減少時代の地域再生の方向性を示す。
「関係人口」とは、「定住人口」(移住)でもなく、「交流人口」(観光)でもない特定の地域に様々なかたちで関わる人々を指す語で、地域社会の課題解決につながる新たな地域外の主体として近年脚光を浴びている。本書では、関係人口という新たな主体の存在と、関係人口が地域の再生に果たす役割を明らかにすることで、これからの人口減少時代における地域再生の在り方と、再生に向けた具体的な方法論を示す。新型コロナウイルスの影響を踏まえて今後の地域と関係人口を検討する補論も付している。
【著者プロフィール】
田中輝美
島根県浜田市生まれ。大阪大学文学部卒。山陰中央新報社記者として、琉球新報社との合同企画「環(めぐ)りの海−竹島と尖閣」で2013年新聞協会賞を受賞。2014年、同社を退職し、フリーのローカルジャーナリストとして、変わらず島根に暮らしながら、地域のニュースを記録している。主な著書に『関係人口をつくる―定住でも交流でもないローカルイノベーション』(2017年、木楽舎)、『ローカル鉄道という希望―新しい地域再生、はじまる』(2016年、河出書房新社)など。2018年度総務省ふるさとづくり大賞奨励賞受賞。2020年、大阪大学大学院人間科学研究科後期課程修了。博士(人間科学)。2021年4月、島根県立大学地域政策学部准教授に着任。また、過疎の発祥地から「過疎は終わった! 」と問い、百年続けることを掲げる新しいかたちの年刊誌『みんなでつくる中国山地』も仲間と創刊した。
【インタビュアー プロフィール】
佐藤達郎
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。学会活動として、日本広告学会常任理事、日本広報学会理事、日本マーケティング学会ブランドマネージャー制度研究会リーダー、WOMJ(クチコミ・マーケティング協議会)理事<前理事長>等を努める。ビジネスの世界では、小田急エージェンシー社外アドバイザー、古河電池社外取締役など。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。著書に『「これからの広告」の教科書』、『自分を広告する技術』、『教えて!カンヌ国際広告祭』等がある。
30:42
November 09, 2021

第23回 洪郁如さんインタビュー『誰の日本時代〜ジェンダー・階層・帝国の台湾史』
【著作概要】
「日本時代」とは何か。印象論的な「親日台湾」を乗り越え、台湾のいまを知るためには、とりわけ日本が深く関わった時代に正面から向き合う作業が避けて通れない。植民地統治は、当時の台湾の人々の生活とその戦後をどのように規定していったのか。本書は語られなかった、書かれなかった日本時代にフォーカスし、個人史と家族史を中心に新たな視座を提供する。
【著者プロフィール】
洪郁如
台湾彰化県生まれ。台湾大学法学院政治学系卒業,東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了,博士(学術)。現在,一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は近現代台湾史。日本台湾修学旅行支援研究者ネットワーク(SNET台湾)共同代表。
主要業績:著書に『近代台湾女性史―日本の植民統治と「新女性」の誕生』勁草書房,2001年。編著に『性別與権力』国立台湾大学出版中心,2020年。論文に「フェミニズム運動,政党,キャンパス――近現代台湾政治と女性」『言語文化』(52),2015年,「植民地台湾の〈モダンガール〉現象とファッションの政治化」タニ・バーロウ/伊藤るり/坂元ひろ子編『モダンガールと植民地的近代――東アジアにおける帝国・資本・ジェンダー』岩波書店,2010年,「女子高等教育の植民地的展開――私立台北女子高等学院を中心に」香川せつ子/河村貞枝編『女性と高等教育――機会拡張と社会的相克』昭和堂,2008年など。
【インタビュアー プロフィール】
赤松美和子
大妻女子大学比較文化学部准教授。2008年、お茶の水女子大学人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人文科学)。専門は台湾文学。日本台湾修学旅行支援研究者ネットワーク(SNET台湾)共同代表。主要著作に『台湾文学と文学キャンプー読者と作家のインタラクティブな創造空間』(東方書店、2012年)、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)など。
28:39
October 26, 2021

第22回 今井宏昌さんインタビュー『暴力の経験史〜第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918〜1923』
【著作概要】
暴力の経験は「政治の野蛮化」にどのような影響を及ぼすのか。義勇軍という同じ経験をもちながら、その後はナチ、共和派、コミュニストと別々の政治的道程を歩んだ3名を検討対象に、彼らの経験がもつ歴史的意味を問う。
※博士論文「第一次世界大戦後ドイツにおける義勇軍経験の史的分析」(東京大学、2016年) に若干の加筆・修正を加えたもの
【著者プロフィール】
今井宏昌
1987年大分県日田市生まれ。福岡大学卒業、福岡大学大学院博士課程前期修了、東京大学大学院博士課程修了。日本学術振興会特別研究員DC2(2012〜2013年度)ならびにPD(九州大学大学院比較社会文化研究院・2014〜2016年度)を歴任したのち、現在、九州大学大学院人文科学研究院歴史学部門西洋史学講座講師。今回紹介した単著以外の主な業績として、『教育が開く新しい歴史学(史学会125 周年リレーシンポジウム 2014〈1〉)』(共著、山川出版社、2015 年)、J・ハーフ『ナチのプロパガンダとアラブ世界』(共訳、岩波書店、2013 年)、T・キューネ/B・ツィーマン編『軍事史とは何か』(共訳、原書房、2017年)、A・ヴィルシング/B・コーラー/U・ヴィルヘルム編『ナチズムは再来するのか?:民主主義をめぐるヴァイマル共和国の教訓』(共訳、慶應義塾大学出版会、2019年)がある。
【インタビュアー プロフィール】
鶴見太郎
1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)
専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)
47:32
October 12, 2021

第21回 田中智晃さんインタビュー『ピアノの日本史〜楽器産業と消費者の形成』
【著作概要】
富裕層の専有物であったピアノが人々に親しまれるようになった由来を、明治~現代の歴史からたどり、その普及を可能にした原動力を経営学・マーケティングの観点から明らかにした。斜陽産業化の危機を超えるメカニズムを分析し、音楽教室とともに世界へと拡がった日本の鍵盤楽器産業の全体像を描いた。
【著者プロフィール】
田中智晃
東京大学大学院経済学研究科博士課程を満期退学後、同大学特任研究員を経て、2011年に東京経済大学経営学部専任講師に着任。現在、同大学准教授。2018年に東京大学より経済学博士号を取得。ピアノをはじめとする楽器産業の歴史や流通、マーケティングに関心がある。これまで楽器小売店の伊藤楽器(千葉県)、三木楽器(大阪府)、電子楽器メーカーのコルグ(東京都)の社史を執筆し、その過程で得た内部資料を基に論文を執筆してきた。2020年には一般社団法人全国楽器協会の依頼を受け、日本の楽器市場規模に関する大規模な統計調査を行った。趣味でヤマハのシンセサイザー(DX-7、EOS)を愛用。学生時代はヤマハ音楽教室でフルートを習っていた。
【インタビュアープロフィール】
吉原真里
ハワイ大学アメリカ研究学部教授。東京大学教養学部教養学科卒業後、米国ブラウン大学にてアメリカ研究修士号・博士号取得。専門はアメリカ文化史、アメリカ=アジア関係史、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズなど。著書にDearest Lenny: Letters from Japan and the Making of the World Maestro (Oxford, 2019), 『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか? 人種・ジェンダー・文化資本』(アルテスパブリッシング、2013)『ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 市民が育む芸術イヴェント』(アルテスパブリッシング、2010)『ドット・コム・ラヴァーズ ネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008)など。
35:10
October 05, 2021

第20回 松崎寛子さんインタビュー『鄭清文とその時代〜郷土を愛したある台湾作家の生涯と台湾アイデンティティの変容』
【著作概要】
日本統治時代に生まれ、終戦・旧国民党独裁時代・民主化と進む激動の戦後台湾を生きた作家鄭清文。2017年に逝去すると当時の台湾文化部部長であった鄭麗君は彼を悼んで「国宝」級作家と称えた。彼の作品は台湾の「国文」教科書にも掲載され、台湾の若者の間で知名度が高い彼の作品の多くは日本統治時代や都市と地方の関係、環境問題などに触れる。そして彼の作品の主要登場人物はスティグマ――一般と異なることから差別を受けがちな属性――を持つ。本書では彼が登場人物にスティグマを持たせた理由や彼の生い立ちなどを通じて、彼の作品に込められた心や寓意を読み解く。
【著者プロフィール】
松崎寛子
神奈川県生まれ。東京外国語大学外国学部中国語専攻卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は台湾文学、華語文学、台湾児童文学、台湾における国語教育、日台比較文学など。国立台湾大学台湾文学研究所交換留学、ハーバード大学イェンチン研究所訪問研究員・カリフォルニア大学サンタバーバラ校台湾研究センターポスドク研究員を経て、現在日本学術振興会特別研究員、日本大学特別研究員。華語圏、日本、英語圏で台湾文学がどのように研究されているかの比較もしています。
著書に『鄭清文とその時代:郷土を愛したある台湾作家の生涯と台湾アイデンティティの変容』 (東方書店、2020年)、『越境する中国文学』(共著、東方書店、2018年)、《동아시아의 일본어 문학과 집단의 기억, 개인의 기억》 (共著、역락、2018)。論考に“Dis-/Re-Connecting Japan to Taiwan: The Complex Feelings of Different Japanese Generations toward Taiwan in Yoshida Shūichi’s Road”, Electric Journal of Contemporary Japanese Studies (2018年12月)など。
現在二児育児中。
【インタビュアープロフィール】
明田川聡士
1981年、千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は台湾文学・台湾映画。大学院在籍中の2011年に国立台湾大学台湾文学研究所に交換留学。留学直後に東日本大震災を経験し、それを機に台湾人による対日感情の歴史的変遷にも関心を寄せるようになりました。現在、獨協大学国際教養学部専任講師。同学部中国研究科目群の教員として、台湾文学・台湾映画などの授業を担当しています。
著書に『戦後台湾の文学と歴史・社会』(単著、関西学院大学出版会、2021年12月予定)、『越境する中国文学』(共著、東方書店、2018年)、『台湾研究新視界』(共著、台北・麦田出版、2012年)。翻訳に黄崇凱『冥王星より遠いところ』(単訳、書肆侃侃房、2021年9月)、李喬『藍彩霞の春』(単訳、未知谷、2018年)、李喬『曠野にひとり』(共訳、研文出版、2014年)。論考に「台湾文学と台湾ニューシネマ」『ユリイカ』(単著、2021年8月)など。
36:25
September 28, 2021

第19回 川瀬由高さんインタビュー『共同体なき社会の韻律〜中国南京市郊外農村における「非境界的集合」の民族誌』
【著作概要】
ふらりと集まり、すっと立ち去る。明確な境界を有する「コミュニティ」の発想では捉えきれない、中国農村社会で見られる何気ない交流のしくみを描いた民族誌。
【著者プロフィール】
川瀬由高
1986年北海道生まれ。専門は社会人類学、中国民族誌学。北海道大学(文学部)卒業。首都大学東京大学院(人文科学研究科)博士前期課程を経て、同大学院(人文科学研究科)博士後期課程満期退学。博士(社会人類学)。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)を経て、現在、江戸川大学(社会学部)専任講師。
【インタビュアープロフィール】
川口幸大
東北大学大学院文学研究科・文学部 教授(広域文化学専攻 域際文化学講座 文化人類学分野)。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
46:09
September 14, 2021

第18回 今野泰三さんインタビュー『ナショナリズムの空間〜イスラエルにおける死者の記念と表象』
【著作概要】
本書は、パレスチナに入植したシオニスト達が、どのように自らの歴史的正統性と政治的権利を主張する手段としてユダヤ人/教徒の死者とその死を利用し、パレスチナの景観の改変を行ってきたかを明らかにした研究書である。
特に、本書では、シオニスト入植者達がパレスチナ各地に建設した記念碑や記念空間に注目し、「ユダヤ民族」とその「祖国」というシオニズムのイデオロギーの創造と維持のための手段として死/死者が利用され、「新しいユダヤ人」の創造と祖国の回復というシオニズムのナラティブを正統化する役割が死/死者に与えられてきたことを明らかにしている。さらに本書からは、イスラエル建国以降、世俗的要素が強かった死者を記念するナラティブや儀式が次第に宗教的要素と融合され、民族と国家が神と結び付けられ、神聖化されていった過程をも知ることができる。
本書後半は、イスラエルが1967年戦争においてヨルダン川西岸地区等を占領し、入植地を建設していった過程とその政治的背景を考察する。さらに、シオニズム運動とユダヤ教を同一視する民族宗教派と呼ばれるユダヤ系イスラエル人達が、どのようにシオニズム運動内の独自組織として登場し、イスラエルのナショナリズムにおける世俗的性格と宗教的要素の融合状態を一層強めながら、ヨルダン川西岸地区等の占領地でのイスラエル人入植地建設の先頭に立ってきたかを明らかにする。そして、フィールドワークの成果に基づき、これら民族宗教派の入植者たちが、占領地で殺された仲間や親族とその死について、贖いのプロセスの前進を証明し、新たな生命と建設に繋がるものとして、さらに、生者に新たな力を与え、アラブ人の「残虐性」や「反ユダヤ主義」を証明するものとして語り、記念し、入植地建設を進めるための政治的手段として利用してきたと論じる。
【著者プロフィール】
今野泰三
1980年、東京都生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ事業現地代表等を経て、現在、中京大学教養教育研究院准教授。専門は、中東地域研究、平和学、政治地理学。パレスチナ/イスラエルにおいて、植民地主義と宗教とナショナリズムがいかに相互作用しながら、民族意識や社会経済構造を作ってきたかということに関心がある。主な著作に、『ナショナリズムの空間――イスラエルにおける死者の記念と表象』(春風社、2021)、「宗教的シオニズムの構造的基盤に関する歴史的考察――ハ・ミズラヒとハ・ポエル・ハ・ミズラヒの多元的・状況対応的性格――」(『ユダヤ・イスラエル研究』第34号、2021年)がある。
【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学准教授。PhD(History, オーストラリア国立大学)
学歴・経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda
34:18
September 01, 2021

第17回 川上桃子さんインタビュー『中国(チャイナ)ファクターの政治社会学〜台湾への影響力の浸透』(川上桃子・呉介民編)
台湾の日常生活のいたるところに現れていながら、その実態が捉えにくい中国の影響力。本書はこれを「チャイナファクター」という視点からとらえ、中国による団体観光ツアーの送り出し、民間宗教交流、歴史教科書問題、中国企業の台湾進出、メディア報道への影響力の浸透といった多様な事例分析を通じて、中国による台湾への影響力の行使と、これに対する市民社会の側からの対抗のダイナミズムを描き出す。社会学者たちによる論考集。
【編者プロフィール】
川上桃子
アジア経済研究所地域研究センター長。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。専門は、台湾を中心とする東アジアの経済発展論、産業論。最近の主な研究テーマは台湾ハイテク産業の発展史、シリコンバレー・台湾リンケージ史、中台関係等。1995-97年(台北・中華経済研究院)、2012-14年(台北・中央研究院、カリフォルニア大学バークレー校)で在外研究を行う。
近年の主要著作に『圧縮された産業発展 台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム』名古屋大学出版会 2012年 (第29回大平正芳記念賞受賞)、川上桃子・松本はる香編『中台関係のダイナミズムと台湾』アジア経済研究所 2019年、「米中ハイテク覇権競争と台湾半導体産業――『二つの磁場』のもとで」川島真・森聡編『アフターコロナ時代の米中関係と世界秩序』東京大学出版会 2020年 他多数。
【インタビュアープロフィール】
田畠真弓
専修大学商学部教授。国立台湾大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。専門は経済社会学。主な研究テーマは、東アジア資本主義の発展と人材の国際間移動、地政学リスクと産業発展、民主化と社会組織等。2008年より国立東華大学社会学部専任講師、2017年より国立台北大学社会学部准教授を経て現在に至る。主要論文に、Mayumi Tabata. 2012. "The Absorption of Japanese Engineers into Taiwan's TFT-LCD Industry." Asian Survey 52(3) 571-594、Mayumi Tabata. 2016. " The Collapse of Japanese Companyist Regulation and Survival of the Upstream Industry." Evolutionary and Institutional Economics Review 13 (1) 151-163。近刊論文として、Mayumi Tabata. 2021. "The Risk of Upgrading Strategy." Journal of Asian Sociology 50(1) 117-142。
25:23
August 17, 2021

第16回 横田祥子さんインタビュー『家族を生み出す〜台湾をめぐる国際結婚の民族誌』
『家族を生み出す〜台湾をめぐる国際結婚の民族誌』(春風社)を出版された横田祥子さんをお迎えしてご自身の著作について語っていただきました。
【著作概要】
台湾では1980年代以降、仲介業者の斡旋による国際結婚が2000年代後半まで一大社会現象となってきた。「人身売買」と非難された国際結婚は、どのような社会背景や仕組みの下で成立してきたのか。当事者たちは何を求めて結婚・移住に踏み切るのか。台湾と女性の出身地の一つであるインドネシアでのフィールドワークに基づき、結婚移民と家族を描く。
【著者プロフィール】
横田祥子
滋賀県立大学人間文化学部准教授。専門は社会人類学、地域研究。主な著書に『歴史家の案内する滋賀』(共著、文理閣、2021年)、『社会問題と出会う』(共著、古今書院、2017年)、『交錯する台湾認識:見え隠れする「国家」と「人びと」』(共著、勉誠出版、2016年)などがある。
【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学現代社会学部准教授。Ph.D in History (オーストラリア国立大学)
学歴・経歴の詳細はhttps://researchmap.jp/hirokomatsuda
24:36
August 03, 2021

第15回 中村江里さんインタビュー『戦争とトラウマ〜不可視化された日本兵の戦争神経症』
『戦争とトラウマ〜不可視化された日本兵の戦争神経症』を出版された中村江里さんをお迎えしてご自身の著作について語っていただきました。
【著作概要】
アジア・太平洋戦争期に軍部の関心を集めた戦争神経症。恐怖を言語化することが憚られた社会で患者はどのような処遇を受けたのか。また、この病の問題はなぜ戦後長らく忘却されてきたのか。さまざまな医療アーカイブズや医師への聞き取りから忘却されたトラウマを浮かび上がらせ、自衛隊のメンタルヘルスなど現代的課題の視座も示す注目の一冊。
【著者プロフィール】
中村江里
1982年山梨県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。2020年10月より広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。主要著作に、『戦争とトラウマ―不可視化された日本兵の戦争神経症』(吉川弘文館、2018年)、「アジア・太平洋戦争と軍事精神医療」『日本史研究』(691号、2020年3月)。近刊論文として、“Male Hysteria in Modern Japan: Trauma, Masculinity, and Military Psychiatry during the Asia-Pacific War” in Traumatic Pasts in Asia edited by Mark S. Micale and Hans Pols (New York: Berghahn Books)。
【インタビュアープロフィール】
藤本大士
2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。
22:26
July 21, 2021

第14回 平野恵美子さんインタビュー『帝室劇場とバレエ・リュス〜マリウス・プティパからミハイル・フォーキンへ』
『帝室劇場とバレエ・リュス〜マリウス・プティパからミハイル・フォーキンへ』を出版された平野恵美子さんにお越しいただき、ご自身の著作について語っていただきました。この著書で第71回芸術選奨「評論等部門」文部科学大臣新人賞を受賞されました。(インタビューアー:山本和行さん)
【著作概要】
バレエ王国ロシアで生まれたチャイコフスキー作曲の三大バレエ、20世紀の「バレエ・リュス」、19世紀以前のロシア・バレエ史の流れを、政治や歴史的な事象の反映として捉え直そうと試みた。特にバレエにおけるロシア的なものへの回帰としての《火の鳥》の誕生に注目した。また、当時のオペラとバレエのレパートリーと上演回数を集計し、上演作品の傾向などを客観的に知ることのできる資料を添付した。
【著者プロフィール】
平野恵美子
東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒業。東京大学大学院で博士(文学)の学位を取得。バレエを中心とするロシア芸術文化の研究・執筆に携わる。ワルシャワ大学客員講師、東京大学助教等を経て、現在、中京大学教養教育研究院特定任用教授、神戸市外国語大学客員研究員、洗足学園音楽大学非常勤講師、日本アレンスキー協会会員ほか。共訳『ラフマニノフの想い出』(水声社、2017)。『帝室劇場とバレエ・リュス』(未知谷、2020年)で第71回芸術選奨「評論等部門」文部科学大臣新人賞受賞。
【インタビュアープロフィール】
山本和行
インタビュアープロフィール
天理大学在学中に台湾へ留学し、台湾の友人たちと交流を深めるなかで日本と台湾の歴史的な接点に興味を持ち、旅行会社などに就職後、あらためて大学時代の興味関心を深めたいと思い、京都大学大学院教育学研究科に進学し、日本による台湾の植民地統治、およびそこで形成・展開される教育制度の形成・展開過程を研究テーマに選びました。
BLAでインタビューしていただいた本を出版してからは、植民地期の学校教員の歴史的位置や、教員を取りまく社会的状況、あるいは現代的な課題として、今の台湾の学校に残されている植民地統治期の学校関連資料の所在などに関心を持っています。
また、教職課程の教員として天理大学に職を得てからは、教員養成をめぐる歴史的・社会的な課題や、歴史的な視点から考える大学教育の方向性、あるいはICTを活用した授業方法の検討などにも関心を持つようになりました。
28:02
July 06, 2021

第13回 吉田裕さんインタビュー『持たざる者たちの文学史〜群衆と帝国の近代』
ブック・ラウンジ・アカデミア、第13回のゲストは2021年、月曜社より『持たざる者たちの文学史〜群衆と帝国の近代』を出版された吉田裕さんです。
過去のインタビューはホームページでも公開中
https://www.bookloungeacademia.com/
【著書概要】
世界文学と民衆史の交点から紡ぐ群衆論の新地平――なぜデモや抗議活動の参加者は群衆や暴徒と名指されるのか。なぜ人が集まると危険とみなされるのか。本書ではこれらの眼差しの起源を植民地統治にみる。英米文学からカリブ/アフリカ文学までを扱い、植民地出身の知識人が、否定的な群衆像をいかにして大衆や人民、民衆という主体へと肯定的に読み替えたかをたどる。ジョウゼフ・コンラッド、C・L・R・ジェームズ、リチャード・ライト、ジョージ・ラミング、グギ・ワ・ジオンゴらをめぐる、新たな第三世界文学論。
【著者:吉田裕 プロフィール】
1980年生。東京理科大学准教授。一橋大学言語社会研究科博士課程後期修了。専門はカリブ文学および思想、文化研究。共著に『国民国家と文学―植民地主義からグローバリゼーションまで』(作品社、2019年)など。訳書にジョージ・ラミング『私の肌の砦のなかで』(月曜社、2019年)、ノーム・チョムスキー『複雑化する世界、単純化する欲望―核戦争と破滅に向かう環境世界』(花伝社、2014年)、ニコラス・ロイル『デリダと文学』(共訳、月曜社、2014年)、ポール・ビュール『革命の芸術家―C・L・R・ジェームズの肖像』(共訳、こぶし書房、2014年)など。
【インタビュアー:松田ヒロ子 プロフィール】
神戸学院大学現代社会学部准教授。オーストラリア国立大学Ph.D (History)。 経歴の詳細 https://researchmap.jp/hirokomatsuda
58:06
June 22, 2021

第12回 李里花さんインタビュー『朝鮮籍とは何か〜トランスナショナルの視点から』
【著作概要】
朝鮮籍とは、植民地期朝鮮から日本に「移住した」朝鮮人とその子孫を分類するために、戦後の日本で創り出されたカテゴリーである。朝鮮民主主義人民共和国の国籍を意味するかのように使われることがあるが、これはまちがいである。本書『朝鮮籍とは何か』は、朝鮮籍をめぐる歴史的変遷をたどりながら、朝鮮籍の人が直面したリアリティにも焦点を当てることで、その実像に迫ろうとするものである。
【著者プロフィール】
李里花
中央大学総合政策学部准教授。社会学博士。専門は、歴史社会学、移民研究、環太平洋地域研究。
私自身は朝鮮籍ではなく、在日コリアンの母とコリアン・アメリカンの父の間で日米を往来しながら育ちました。本書の「あとがき」にも書いたように、大学を卒業してから「世の中の仕組みがわからないと先に進むことができない」という漠然とした不安感から大学院に進学しました。
そしてそこでアメリカや東アジアの人種エスニシティ研究やナショナリズム研究を学んでいく中で、誰にとっても自由で平等な社会を目指していきたいと思うようになりました。
これまで日本とアメリカ、ハワイで調査を実施し、移民やマイノリティのアイデンティティやナショナリズム、トランスナショナリズムについて研究してきました。最近はマイノリティ文化の表象をめぐる問題や「自国民/外国人」の枠組みを超える研究等に取り組んでいます。
◎プロフィール詳細(researchmap)
◎自国民/外国人という発想を超えて―
SDGsゴール10「人や国の不平等をなくそう」達成に向けて(ChuoOnline)
【インタビュアープロフィール】
山本和行
天理大学在学中に台湾へ留学し、台湾の友人たちと交流を深めるなかで日本と台湾の歴史的な接点に興味を持ち、旅行会社などに就職後、あらためて大学時代の興味関心を深めたいと思い、京都大学大学院教育学研究科に進学し、日本による台湾の植民地統治、およびそこで形成・展開される教育制度の形成・展開過程を研究テーマに選びました。
BLAでインタビューしていただいた本を出版してからは、植民地期の学校教員の歴史的位置や、教員を取りまく社会的状況、あるいは現代的な課題として、今の台湾の学校に残されている植民地統治期の学校関連資料の所在などに関心を持っています。
また、教職課程の教員として天理大学に職を得てからは、教員養成をめぐる歴史的・社会的な課題や、歴史的な視点から考える大学教育の方向性、あるいはICTを活用した授業方法の検討などにも関心を持つようになりました。
36:16
June 15, 2021

第11回 越智郁乃さんインタビュー『動く墓〜沖縄の都市移住者と祖先祭祀』
ブック・ラウンジ・アカデミア、第11回目は越智郁乃さんに著書『動く墓〜沖縄の都市移住者と祖先祭祀』(2018年 森話社)について語っていただきました。
【著作概要】
「家より先に墓を建てろ」「人は借家住まいもできるが、死人の借り墓はできない」などといわれる沖縄で、人の移動に伴い墓はどのように動くのか?沖縄戦、米軍統治、本土復帰を経て、なお変容し続ける現代沖縄の生と死のリアリティに、墓の移動からせまる。
【著者プロフィール】
越智郁乃
2010年広島大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(学術)。広島大学大学院総合科学研究科特別研究員、京都大学文学研究科 GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」研究員、福井大学産学官連携本部機関研究員、兵庫県立大学地域創造機構特任助教、立教大学観光学部助教を経て、2020年より東北大学大学院文学研究科広域文化学専攻域際文化学講座文化人類学分野准教授。
【インタビュアープロフィール】
石橋正孝
2007年パリ第八大学大学院修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、立教大学観光学部交流文化学科助教を経て、2018年より立教大学観光学部交流文化学科准教授。
42:12
June 01, 2021

第10回 堀田あゆみさんインタビュー『交渉の民族誌〜モンゴル遊牧民のモノをめぐる情報戦』
ブック・ラウンジ・アカデミア、第10回目は堀田あゆみさんに著書『交渉の民族誌〜モンゴル遊牧民のモノをめぐる情報戦』について語っていただきました。
【著作概要】
移動生活のため必要最低限のモノしか持たないといわれてきたモンゴル遊牧民のくらし。しかし実際は、目新しいモノに目敏く反応、入手経緯を逐一尋ね、欲しいモノなら即座にかけ合う交渉社会であった。モノに関する情報はそれ自体が交換財的価値を帯び、各世帯で秘匿・公開を戦略的に管理する。「情報性」という新たな観点からモンゴル遊牧民の物質文化を読み解くと、ゲル(移動式住居)が整然としているのも、情報管理の結果であることが見えてくる。モノが交渉によって移動し、モノの情報分配によって社会関係さえも操作されるモンゴル遊牧社会が、ある種の「情報社会」であることを提示する。
【著者プロフィール】
堀田あゆみ
大阪府出身。高校卒業後、モンゴル国へ語学留学。総合研究大学院大学文化科学研究科地域文化学専攻で、モンゴル遊牧民のモノの情報をめぐる交渉を研究し、博士(学術)号を修得。現在は大学共同利用機関法人人間文化研究機構特任助教。
著書にNomadic Life in Mongolia : Stories of the Enkhbat Family and Their Belongings(2021,TEXNAI)、『モンゴル遊牧民 エンフバト一家のモノ語り』(2020[2015],TEXNAI)などがある。
【インタビュアープロフィール】
伊藤洋志
京都大学農学研究科修士課程修了。遊びと仕事の一体化をテーマに、小さな元手で個人がはじめられ、頭と体が鍛えられる仕事をナリワイと定義し、複数の仕事を持つ働き方の研究と実践を行う。遊撃農家、モンゴル武者修行などの個人のナリワイのほか、シェアアトリエや「全国床張り協会」などギルド的団体の運営も行う。著作は「イドコロをつくる」、「ナリワイをつくる」(いずれも東京書籍)。
50:45
May 18, 2021

第9回 塩川伸明さんインタビュー『国家の解体〜ペレストロイカとソ連の最期』
第9回目のゲストは東京大学名誉教授の塩川伸明さんです。
2400ページを超える大著『国家の解体〜ペレストロイカとソ連の最期』について、語っていただきました。
著者自ら本書の読みどころ、今後の旧ソ連・東欧地域研究の課題等についてお話し頂きました。
【著書概要】
1985年のゴルバチョフの書記長就任に始まるペレストロイカとグラスノスチ(情報公開)を契機として、1991年12月までに、15共和国、2.9億人からなるソ連という巨大な国家が解体していく政治過程を描き出す。15の共和国のみならず、下位の単位である自治共和国やのちに未承認国家となるような地域の情勢にも目を配り、ソ連中央や各共和国トップの発言や動き、知識人や報道の様子などを重層的に生き生きと記述することで、なぜ解体が不可避になっていったのか、しかしそれにもかかわらず、共和国間の暴力が最低限に収まり、あっけなく最期を迎えることになったのかを3巻約2400頁にわたって詳細かつ立体的に提示する。
【著者:塩川伸明】
東京大学名誉教授 専門はソ連及びロシアを中心とした旧ソ連地域の歴史と比較政治。 主な著書に、『ソヴェト社会政策史研究―ネップ・スターリン時代・ペレストロイカ』(東京大学出版会、1991年)、『現存した社会主義―リヴァイアサンの素顔』(勁草書房、1999年)、『多民族国家ソ連の興亡』(計3巻、岩波書店、2004-2007年)、『民族とネイション―ナショナリズムという難問』(岩波新書、2008年)、『歴史の中のロシア革命とソ連』(有志舎、2020年)
【インタビュアー:鶴見太郎】
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術) 専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)
32:55
May 11, 2021

第8回 橋本みゆきさんインタビュー『二世に聴く在日コリアンの生活文化〜「継承」の語り』
ブックラウンジアカデミア 第8回目のゲストは『二世に聴く在日コリアンの生活文化〜「継承」の語り』の編者 橋本みゆきさんです。
【著書概要】
在日2世の生活文化の実践や意味づけの語りを通じて、在日コリアンの世代間関係およびエスニシティの動態に迫る。3つのインタビュー事例を読み物風に編集した「生活文化ものがたり」(第1部)と、社会学、社会言語学、文化人類学といった各領域の編著者らの論考(第2部)を1冊にまとめ、2世の生活文化の「継承」の幅広いあり方や規定要因の絡み合いを多角的に描いた。
出版社:https://www.shahyo.com/?p=8563
Amazon:https://amzn.to/3xJzJeo
【ゲストプロフィール】
橋本みゆき
大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、立教大学ほか兼任講師。専門は在日韓国・朝鮮人を対象とする社会学的エスニシティ研究。
【著者プロフィール】
猿橋順子
青山学院大学国際政治経済学部教授。専門は社会言語学、異文化間コミュニケーション、言語政策研究。
髙正子
神戸大学ほか非常勤講師。在日コリアンの生活史の研究(主に生活文化を中心に)。
柳蓮淑
大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、獨協大学ほか兼任講師。在日韓国・朝鮮人、朝鮮族を対象とするジェンダー・エスニシティ研究 。
【インタビュアー プロフィール】
李洪章
神戸学院大学現代社会学部准教授。専門は社会学、エスニシティ/ナショナリティ論、在日朝鮮人研究。在日朝鮮人3・4世の若い世代の「民族」や「国家」をめぐる経験について聞き取り調査をしてきましたが、最近は、70年代から現在にかけての、留学や研修、親族訪問、結婚、ビジネスなどによる朝鮮半島への「帰還移動」に着目して研究しています。
31:38
May 04, 2021

第7回 廣野美和さんインタビュー『一帯一路は何をもたらしたのか〜中国問題と投資のジレンマ』
Book Lounge Academia第7回のゲストは『一帯一路は何をもたらしたのか〜中国問題と投資のジレンマ』の編者 廣野美和さんです。
【著作概要】
公共施設に投資して経済を活発化させる構想として注目を浴びている中国の一帯一路構想。しかしこの構想は、既存の国際秩序を揺るがし、投資先で債務の罠を生じさせるのではないかと懸念を呼んでいる。本書では、これらの問題は、どの程度、中国の国内問題の延長線上にあり、そして投資先の国々では一帯一路が現地の文脈に取り込まれ、国内問題としてどのように変遷を遂げているのかを分析する。
【ゲストプロフィール】
廣野美和
立命館大学グローバル教養学部准教授。オーストラリア国立大学(ANU)国際関係学科でPhD(国際関係学)を取得後、ノッティンガム大学英国研究理事会研究員、およびアジア太平洋研究所副所長などを経て、現職。カンタベリー大学(2007)、ANU(2008)、ケンブリッジ大学(2011)、同志社大学(2016)でも教鞭をとり、中国社会科学院民族人類学研究所(2003-2004)、北京大学(2003-2004)で訪問研究員、ハーバードケネディースクールでフルブライト研究員(2018-2019)を務める。専門は国際関係論、中国外交など。主な著書に、Civilizing Missions: International Religious Agencies in China (Palgrave MacMillan, 2008), China’s Evolving Approach to Peacekeeping (Routledge 2012), Cultures of Humanitarianism: Perspectives from the Asia-Pacific (The Australian National University, 2012)など。
【インタビュアー】
松田ヒロ子
神戸学院大学現代社会学部准教授。Ph.D(オーストラリア国立大学)
経歴の詳細はhttps://researchmap.jp/hirokomatsudaを参照。
31:17
April 27, 2021

第6回 中山大将さんインタビュー『サハリン残留日本人と戦後日本〜樺太住民の境界地域史』
ブック・ラウンジ・アカデミア 第6回目のゲストは釧路公立大学准教授の中山大将さん。2019年に国際書院より出版された『サハリン残留日本人と戦後日本〜樺太住民の境界地域史』について語っていただきます(インタビュアー:ジョナサン・ブルさん)
【著作概要】
サハリン残留日本人とはいかなる経験をした人々なのか。境界変動は住民にいかなる影響を与えるのか。外交文書、市民団体資料、聞き取り調査を基に〈国境と国民の時代〉を境界変動・住民移動・国民再編という観点から考えます。
【ゲスト】
中山 大将
〈歴史は未来である〉という考えのもと、境界変動・住民移動・国民再編・記憶構築という現象の連動性に着目した普遍的な歴史研究・叙述方法として〈境界地域史〉を模索中。
日本領樺太の米食撤廃論を主題とした農業社会史研究により京都大学博士(農学)を取得、同研究を基に『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成』(京都大学学術出版会)を執筆(日本農業史学会賞)、第二次世界大戦後のサハリン島史研究としてサハリン残留日本人研究を始め、その成果として本書を執筆(地域研究コンソーシアム登竜賞)、また本書を基に北海道大学博士(文学)を取得。高校生・大学生向けに、サハリン島の歴史をたどりながら国境とは何かを考える『国境は誰のためにある?――境界地域サハリン・樺太』(清水書院)も執筆。
1980年、北海道生まれ、京都大学東南アジア地域研究研究所助教(本書出版時)、釧路公立大学准教授(インタビュー時)。
研究紹介サイト:https://nakayamataisho.wordpress.com/
【インタビュアー】
ジョナサン・ブル
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院講師(インタビュー時)。日本帝国崩壊後の社会文化史を専門とし、Asia-Pacific Journal: Japan FocusやJapan Forum、Journal of Contemporary Historyなどの学術誌に論文を発表している。オックスフォード大学を卒業、東洋アフリカ研究学院(SOAS)で修士号を取得、北海道大学大学院法学研究科で博士号(政治学)を取得。”20th Century Japan Research Award for Gordon W. Prange Collection, University of Maryland”を受賞。
ブック・ラウンジ・アカデミア:https://www.bookloungeacademia.com/
34:20
April 13, 2021

第5回 鶴見太郎『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人が作った国』
ブック・ラウンジ・アカデミア 第5回目はゲストに鶴見太郎さんをお招きし、2020年に講談社から出版した『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人が作った国』ついて語っていただきました。インタビュアーは宇田川彩さん。
【著作概要】
ホロコーストのあとの1948年にイスラエルは建国されたが、ホロコースト以前から、ユダヤ人国家を作ろうとするシオニストの動きは活発化していた。その基盤となったのは、旧ロシア帝国出身のユダヤ人だった。
ポグロムというユダヤ人に対する迫害事件をはじめとして、反ユダヤ的な動きは19世紀末から激化していた。だが、それにもかかわらずロシアに残り続けようとするユダヤ人は、シオニストのなかにさえいた。
そのなかでついにロシアを離れる決断をしたシオニストは、ユダヤ人と非ユダヤ人の関係性について、ある特定の考え方を持つようになっていた。それがイスラエルの軍事主義を規定し、また、パレスチナ人との関係も規定することになった。
本書は、こうした、イスラエルの起源となった歴史、特にそれを大きく左右した民族間関係に、自己複雑性理論を参照しつつ、ミクロなレベルから迫っていく。
【著者】
鶴見太郎(つるみ・たろう)
1982年、岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。
【インタビュアー】
宇田川彩(うだがわ・あや)
1984年、横浜市生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、日本学術振興会海外特別研究員。文化人類学を専門として、アルゼンチンとイスラエルを中心に現代のユダヤ人にかんする研究を行ってきた。
主な著作に『それでもなおユダヤ人であること――ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』(世界思想社、2020年)、『アルゼンチンのユダヤ人――食からみた暮らしと文化』(風響社、2015年)がある。
29:14
March 30, 2021

第4回 宇田川彩著『それでもなおユダヤ人であること〜ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』
ブック・ラウンジ・アカデミア 第4回目はゲストに宇田川彩さんをお招きし、2020年に世界思想社から出版した『それでもなおユダヤ人であること〜ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』ついて語っていただきました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。
【著作概要】
重いリュックを背負って、しなやかに歩む!
旧約聖書の時代からディアスポラとして暮らしてきた彼らが、今もユダヤ人であり続けるのはなぜか?
ある場所からの出立は、ユダヤ史において繰り返されてきた光景であった。出エジプト、バビロニア軍による追放(第二次バビロン捕囚)、ローマ軍の侵攻で第二神殿が崩壊した後の各地への離散(ディアスポラ)、レコンキスタ後のイベリア半島からのユダヤ人追放、ナチスのホロコーストからの逃亡……。
ユダヤ人の歴史の長さと重みに比して、文化人類学者である著者がアルゼンチンで出会ったユダヤ人は、ブエノスアイレスの自由な空気を享受し軽やかに生きているように見えた。
きわめて厳格な宗教法にもほとんど拘束されない。
それでもなおユダヤ人であるのは、なぜ・どのようにしてなのか。
きわめて曖昧ながらもたしかに存在する、現代に生きるユダヤ人の生き方を描く。
【著者紹介】
宇田川彩
1984年、横浜市生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、日本学術振興会海外特別研究員。文化人類学を専門として、アルゼンチンとイスラエルを中心に現代のユダヤ人にかんする研究を行ってきた。主な著作に『それでもなおユダヤ人であること――ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』(世界思想社、2020)、『アルゼンチンのユダヤ人――食からみた暮らしと文化』(風響社、2015)がある。
『それでもなおユダヤ人であること〜ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』 https://amzn.to/3qknHU0
【インタビュアー紹介】
鶴見太郎 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)
専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)
25:08
March 16, 2021

第3回 植野弘子、上水流久彦編『帝国日本における越境・断絶・残像〜人の移動』『帝国日本における越境・断絶・残像〜モノの移動』
ブック・ラウンジ・アカデミア第3回目は上水流久彦さんをお招きし、植野弘子・上水流久彦編『帝国日本における越境・断絶・残像〜人の移動』『帝国日本における越境・断絶・残像〜モノの移動』。インタビュアーは冨田哲さんです。
[人の移動]
国境なき越境、その実像を「人」から探る。内地と外地を厳しく分けながらも一体化をはかる強大な国家権力。複雑な境界線が入り混じる中で、統治下の台湾・朝鮮そして満洲まで軽々と渡りゆく人々もいた。かつての大東亜「グローバリズム」の実態を、人の側面から克明にたどる。
[モノの移動]
国境なき越境、その実像をモノから探る。日式表札やモダン建築、石垣のパイナップルや職人の道具など、いまもなお痕跡を残す統治時代のモノたち。その素性をたどると、支配というタテ軸の奥にさまざまな利害関係や深い交流があった。モノから見えてくる文化の複雑な位相。
植野弘子、上水流久彦編『帝国日本における越境・断絶・残像〜人の移動』『帝国日本における越境・断絶・残像〜モノの移動』
https://amzn.to/3egjHkW
27:01
March 09, 2021

第2回 佐々木一惠著『Redemption and Revolution - American and Chinese New Women in the Early Twentieth Century』
ブック・ラウンジ・アカデミア 第2回目は佐々木一惠著『Redemption and Revolution - American and Chinese New Women in the Early Twentieth Century』です。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。
【著作概要】20世紀初頭、アメリカ合衆国が帝国主義勢力として台頭していく中、大学教育を受けたプロテスタントのアメリカ人女性たちが次々と宣教師として海を渡りました。その主要な目的地の一つが中国でした。彼女たちはいわゆる「新しい女」の教育者として、中国において自分たちと同じ自律した中産階級の専門職女性を中国で育成することを試みていきました。
彼女たち試みは、中国の「新しい女」たちと連帯を形成する一方、反発や離反も生み出していきました。その背景にあったのが、この時期、世界各地で出現した「新しい女」という歴史主体に内在する問題でした。「新しい女」は、ジェンダーにおける進歩ビジョンを表現するグローバル・モダニティの要素であったと同時に、国民国家の歴史的進歩ビジョンとも密接に絡み合っていました。アメリカと中国の「新しい女」は、近代的進歩の歴史的エージェンシーとして行動する個人の自律性に基づく主体である一方、双方の国の歴史的進歩イデオロギーとも密接に結びついていました。この本は、「新しい女」のトランスナショナル・ヒストリーとして、アメリカと中国の「新しい女」の相互の関わりや影響の変遷をたどりながら、「世界史」というパラダイムにおける、ジェンダー、モダニティ、ナショナル・アイデンティティの交錯を探っていきます。
32:24
March 02, 2021

第1回 山本和行『自由・平等・植民地性〜台湾における植民地教育制度の形成』
ブック・ラウンジ・アカデミア 第一回目は山本和行著『自由・平等・植民地性〜台湾における植民地教育制度の形成』です。インタビュアーは冨田哲さんです。
【著作概要】台湾の近代的教育制度は、いかなる歴史的条件に規定され、「植民地性」を帯びたものとして形成されるに至ったのか。本書では、台湾が日本の植民地となった1890年代に日本「内地」の教育界で議論されていた、教育の「自由と平等」、「国家と地域」をめぐる議論に注目し、1890年代における「内地」日本と「外地」台湾の双方における教育制度形成の展開過程について検討する。そのうえで、台湾の教育制度がさまざまな時代要因のなかで、結果として「植民地性」を付与されるに至るプロセスを、具体的・実証的な視点から明らかにする。
29:03
February 23, 2021