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Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア)

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ブック・ラウンジ・アカデミアは人文学・社会科学の研究者の著作を、著者自らが語る音声メディアです。学生や研究者はもちろん、知の世界に関心を持つ一般の方々にも楽しんでいただける内容になっています。新しい知の世界をどうぞお楽しみください。

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第56回 保明綾さんインタビュー『Science for Governing Japan’s Population』

Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア)Apr 11, 2023

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第74回 楊佳嘉さんインタビュー『Women in Asia under the Japanese Empire』

第74回 楊佳嘉さんインタビュー『Women in Asia under the Japanese Empire』

今回は2023年にRoutledgeより出版された『Women in Asia under the Japanese Empire』の共編者である楊佳嘉さんにお話を伺いました。インタビュアーは同じくこの本の共編者、蔭木達也さんです。

【著作概要】アジア各地の女性の立場から日本の帝国主義を描く本書は、沖縄、台湾、朝鮮、満州はもちろん、汪兆銘政権下の広州から南洋までをも取り上げ、各地の女性たち(日本人も含む)がどのように帝国日本の植民地主義と向き合い、その影響を受け、あるいはそれと対抗したか、ということを論じています。

雑誌などのメディアを通じたプロパガンダ、旅行者や移民の目線、帝国・民族・ジェンダーの複合的にねじれた関係、画一的に喧伝される帝国の女性像と各地で芽生える独自のアイデンティティ、抑圧・抵抗・協調の諸相——読者は11章の充実した研究を辿っていくことで、「良妻賢母」が東アジア各地で形を変えながら展開していること、当時の一部の女性知識人たちには日本より中国の諸都市が「近代」的に見えていたことなどはもとより、理想とされる「帝国の日本人」イメージすら各地で大幅に異なり、外地日本人から内地が批判されていたりすることや、沖縄女性が置かれた特異かつ悲惨な歴史的位置など、興味深い論点に次々と行き当たることでしょう。


【ゲスト:楊佳嘉プロフィール】1990年中国山西省生まれ。専門は日本近現代文学、日中比較文学、女性文学 ·文化。名古屋大学文学博士。日本学術振興会特別研究員(DC2)、名古屋大学博士候補研究員を経て、現在は中国厦門大学外文学院助理教授。主な論文に「『輝ク』における日中女性の連帯とその変節 〜インターナショナル ·フェミニズムから帝国のフェミニズムへ」(『日本語·日本学研究』vol.14、2024.3)、「平林たい子と彼女の「満洲」体験物語 〜作品における空間の意味と機能をめぐって」(『北東アジア研究 』vol.32、2021.3)など。ジェンダー、戦争、植民地の問題に関心があり、特に近代日本女性文学、女性雑誌における中国表象の問題を中心に研究しています。近年は女性作家、女性文化人と戦争の関係から、日本帝国のフェミニズムの多様な系譜という問題を考えている。

【インタビュアー:蔭木達也プロフィール】非正規教員。高群逸枝を軸に、1920年代から30年代の日本に着目した社会思想史研究を行っている。論文に、「「分裂せざる」二者から始まるアナーキズム」(『社会文学』51号、2020年3月)、「「神」と対峙する「天皇」のイロニー」(『思想』1158号、2020年10月)、「高群逸枝の民衆哲学」(『国語と国文学』99巻第1号、2022年1月)、「社会運動のなかの報徳思想」(『報徳思想とその展開』不二出版、2023年)など。


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Apr 17, 202432:05
第73回 奈倉京子さんインタビュー『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』

第73回 奈倉京子さんインタビュー『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』

今回は2023年に東方書店より出版された『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』の筆者である奈倉京子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。

【著作概要】本書は、家族以外の多様な他者とのかかわりが必要とされる障害者とその家族を対象に、障害のある家族成員のケアは家族以外の社会関係(中間的領域/組織)に頼ることができるのか、あるいは家族へ全面的に依存せざるを得ない状況にあるのかといったことを考察する。

民間組織「機構」の役割を当事者の目線で検討し、また複数の障害者家族への聞き取りを通して、中国西北部に暮らす知的障害者とその家族の生の営みを記述したものである。

第一部では法整備や中間的領域/組織の成り立ちなど、社会の面から障害者家族とのかかわりを考察した。第二部は知的障害の子をもつ家族の聞き取りをもとに、個人の側から障害者とその家族の「新しい社会性」の内実を描き出した。

「新しい社会性」とは、家族もしくはその他の社会集団の代表ではない、一人の人間が、個人と個人の間で、社会における活動を通して互いに影響を与え合うことを特徴とする、新たな個人とその結びつきのありかたである。2000年代の中国は、中国共産党の管理と指示に従って行動する必要があり、かつ個人化という「新しい社会性」が生まれている〈ポスト社会主義的状況〉である。

これらの考察を通して(1)2000年代以降の中国のポスト社会主義的状況が、障害者とその家族にどのような影響をもたらしているのか、(2)中国の障害者とその家族の「新しい社会性」とは何か、について探究している。

更に、中国は、国連の障害者権利条約を批准しているが、依然として障害者の痛ましい事件が発生している。西側諸国の「普遍的価値観」を受け入れつつ、国内の伝統的価値観とどう折り合いをつけるのか。そのような問題も本書は問うている。

【ゲスト:奈倉京子プロフィール】1977年、静岡県生まれ。2007年、中国中山大学大学院人文学院(現社会学与人類学学院)博士課程修了・博士(法学、文化人類学専攻)。2022年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了・博士(社会学)。現在、静岡県立大学国際関係学部・教授。専攻は文化人類学、中国地域研究

主な著書に『帰国華僑〜華南移民の帰還体験と文化的適応』(風響社 2012年)、『中華世界を読む』(編著 東方書店 2020年)、『中国系新移民の新たな移動と経験〜世代差が照射する中国と移民ネットワークの関わり』(編著 明石書店 2018年)。

【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局

経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda


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Mar 12, 202447:15
第72回 岡野(葉)翔太さんインタビュー『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』

第72回 岡野(葉)翔太さんインタビュー『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』

今回は2023年に大阪大学出版会より出版された『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』の筆者である岡野(葉)翔太さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。

【著作概要】1949年以降、中華人民共和国と中華民国は互いに「中国」の正統政府であると主張し、海外在住の「華僑」をどちらの「国民」とするのか、熾烈な争奪戦を繰り広げた。

日本で暮らす台湾出身者や台湾に移転した中華民国と結びつく大陸出身者=「台湾系華僑」は、戦後東アジア地域秩序の再編によって迫られた「中華民国を支持するか」、「中華人民共和国を支持するか」、「台湾独立を支持するか」という政治選択に翻弄され、様々なカテゴライズやレッテルのもとで自己認識を問われてきた。

本書では、在日華僑研究のなかで明確に位置づけられてこなかった「台湾系華僑」の存在を歴史的変遷のもとで捉えなおし、地図上に引かれた境界の経緯と、それに基づく呼称や自己認識との関係のなかで再考する。

【ゲスト:岡野(葉)翔太プロフィール】1990年、神戸市生まれ。葉翔太(YEH, Hsiang-tai)は台湾名。

2015年、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程(東洋史)修了。2022 年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。中央研究院台湾史研究所訪問学員、大阪大学大学院言語文化研究科特任研究員などを経て、現在は大阪大学レーザー科学研究所特任研究員、大阪大学大学院人文学研究科招聘研究員。専門は華僑華人研究、現代台湾地域研究、中国近現代史。

主な論文に、岡野翔太「『存在しない国』と日本のはざまを生きる〜台湾出身ニューカマー第二世代の事例から」蘭信三ほか編『帝国のはざまを生きる〜交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』(みずき書林、2022年)など。

【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局

経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda


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Feb 20, 202437:43
第71回 大久保由理さんインタビュー『「大東亜共栄圏」における南方国策移民〜「南方雄飛」のゆくえ』

第71回 大久保由理さんインタビュー『「大東亜共栄圏」における南方国策移民〜「南方雄飛」のゆくえ』

今回は2023年に晃洋書房より出版された『「大東亜共栄圏」における南方国策移民〜「南方雄飛」のゆくえ』の筆者である大久保由理さんにお話を伺いました。インタビュアーは安岡健一さんです。

【著作概要】「大東亜共栄圏」を建設する使命を担った青年たちは、どのように養成され、現地でどのような現実に直面したのだろうか。この問いのもと、本書は1940年代に拓務省によって実施された南方移民政策に着目した最初の本格的研究である。

その政策の特徴は、10代の青年たちを「大東亜共栄圏」における模範民族としてふさわしい人格と、「南方開拓」のための実践的知識を持つ人材として訓練した点にあり、彼らは卒業後に東南アジア各地へ送出された。

本書では彼らを「南方国策移民」と定義し、拓務省管轄下にあった人材養成機関である、「拓南塾」(企業社員養成)と「拓南錬成所」(農業技術者養成)を取り上げた。また現地での活動として拓南塾卒業生のうちフィリピンへ送出された事例に焦点を当て、日記や書簡の分析や、国内外での聞き取り調査によってその実相に迫った。なお補論では、拓南錬成所卒業生のグアムでの活動が、現地社会ではどのように記憶されているかについても論じている。

このように本書は、南方国策移民を政策・教育・活動という三つの側面から再構成し、「大東亜共栄圏」の内実について「下から」の視点から迫ることを試みる。


【ゲスト:大久保由理プロフィール】1972年福岡県生まれ。専門は日本近現代史、民衆史、思想史。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程後期単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(PD)、日本女子大学人間社会学部助教を経て、現在は東京大学大学院経済学研究科附属日本経済国際共同研究センター特任研究員。主な論文に「移民史研究におけるジェンダー:南方国策移民を軸として」(鳴子博子編著『ジェンダー・暴力・権力』(晃洋書房、2020)など。戦争、ジェンダー、植民地の問題に関心があり、特に日本帝国における「南方・南洋」、つまり東南アジア・旧南洋群島のほか、近年は台湾・沖縄にも関心を拡げ、民衆の視点から帝国の問題を考えている。

【インタビュアー:安岡健一プロフィール】大阪大学大学院人文学研究科 現代日本学研究室 准教授。1979年生まれ、京都大学博士(農学)。日本学術振興会特別研究員、飯田市歴史研究所研究員を経て、2015年より大阪大学にて勤務。専門は日本近現代史。主な著書に『「他者」たちの農業史』(京都大学学術出版会、2014)。監修に『コロナ禍の声を聞く〜大学生とオーラルヒストリーの出会い』(大阪大学出版会、2023)。近現代の地域社会の歴史と、オーラルヒストリーという方法に関心がある。


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Feb 06, 202457:52
第70回 山口航さんインタビュー『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』

第70回 山口航さんインタビュー『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』

今回は2023年に吉川弘文館より出版された『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』の筆者である山口航さんにお話を伺いました。インタビュアーは渡邊康宏さんです。

【著作概要】1970年代末から80 年代にかけて、大平、鈴木、中曽根の三政権は、「総合安全保障」を掲げ続けた。新冷戦から冷戦の終焉へと国際情勢は変容し、米国でも民主党のカーターから共和党のレーガンへと政権が交代し、日米関係のあり方にも変化が見られた。そうであるにもかかわらず、なぜ総合安全保障という概念は引き継がれていったのか。これが本書の問いである。

本書は、総合安全保障論を「多様性」と「多層性」の2つの観点からとらえ直す。総合安全保障に関する先行研究は、主として安全保障の構成要素の多様性に注目し、多層性の観点は重視されない傾向がある。そこで本書は、「広義の安全保障」たる経済安全保障や食糧安全保障などの「多様性」に加え、同盟関係のレベルや国際環境のレベルから「多層的」に安全保障を捉える視角を提示する。

総合安全保障という用語は今日まで継承されている。本書が示す「多様性」と「多層性」の議論は、冷戦終焉期の日米関係を明らかにするだけでなく、今日における日本の外交・安全保障政策を考えるうえでも重要な視座を提供している。


【ゲスト:山口航プロフィール】神戸市生まれ。同志社大学法学部3年次退学(飛び級で同大学院入学)。同大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(政治学)。スタンフォード大学客員研究員、同志社大学アメリカ研究所助教などを経て、現在、帝京大学法学部専任講師。専門は日米関係史、安全保障論、国際政治学。著書に今回ご紹介した『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』(吉川弘文館、2023年、猪木正道賞正賞受賞)など。

【インタビュアー:渡邊康宏プロフィール】東京工業大学社会・環境理工学院博士後期課程在籍。

Jan 27, 202428:39
第69回 菅(七戸)美弥さんインタビュー『南北戦争を戦った日本人〜幕末の環太平洋移民史』

第69回 菅(七戸)美弥さんインタビュー『南北戦争を戦った日本人〜幕末の環太平洋移民史』

今回は2023年に筑摩書房より出版された『南北戦争を戦った日本人〜幕末の環太平洋移民史』(菅(七戸)美弥・北村新三著)の共著者のお一人である菅(七戸)美弥さんにお話を伺いました。インタビュアーは加藤(磯野)順子さんです。

【著作概要】本書は、アメリカの南北戦争に従軍した日本生まれの二人が誰であったのかを追究し、人々の移動・移住を通じて南北戦争の時代の日本史とアメリカ史をつなぎ、戦争とマイノリティについて、そして環太平洋の移民・移住史について包括的に描いたものである。

従軍史料、アメリカ・センサスの調査票、死亡記録、帰化申請記録、新聞記事等々の検証を通じて、南北戦争に従軍した可能性が高い人物として漂流者・密航者・使節団員からの脱落者を挙げた。また、南北戦争におけるマイノリティをめぐる問題の参照事例として、中国人兵士をはじめとするアジア太平洋系移民兵士の存在に社会史的な視座から光を当てている。

さらに本書では、従来別々に論じられる傾向にあった、幕末に海外にいた日本人について、彼らが遭遇したり、会おうと思っても会えなかったりしたこと、同じ場所で同じ景色を見た時があったことを具体的に検証した。

【ゲスト:菅(七戸)美弥プロフィール】東京学芸大学教授。博士・学術。専門はアメリカ史、移民・移住史、アメリカ・センサス。単著としては『アメリカ・センサスと「人種」をめぐる境界〜個票にみるマイノリティへの調査実態の歴史』(勁草書房、2020年)があり、本書は2021年アメリカ学会中原伸之賞を受賞した。そのほか「トランスナショナルな移住・移動と『移民』送り出しネットワーク〜会津若松・北海道・横浜・カリフォルニア」『遥かなる「ワカマツ・コロニー」 :〜トランスパシフィックな移動と記憶の形成』(彩流社、2019年)、「複数の移住・移動と『家族』からみるアメリカ・センサス〜1860年のサンフランシスコにおける諸史料の検証」(『JICA横浜 海外移住資料館 研究紀要』16号、2022年)等の論文がある。

【インタビュアー:加藤(磯野)順子プロフィール】早稲田大学国際教養学部教員。博士(コロンビア大学・歴史学)。アメリカ労働史・政治史。近著は『はじめて学ぶアメリカの歴史と文化』(ミネルヴァ書房、2023年、第6章担当)、 “Counting Diversity in an Attempt to Achieve Unity: How the Three-Fifths Clause United and Divided Americans” (Japanese Journal of American Studies, 2023), “Slaves and Education: Tennessee as a Slave State Where the Instruction of Slaves was Not Prohibited” (Tennessee Historical Quarterly, 2018).

Dec 19, 202330:37
第68回 成相肇さんインタビュー『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』

第68回 成相肇さんインタビュー『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』

今回は2023年にかたばみ書房より出版された『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』の著者である成相肇さんにお話を伺いました。インタビュアーは筒井宏樹さんです。

【著作概要】1950年代から80年代に花ひらいた雑誌、マンガ、広告、テレビ等の複製文化は、いかに美術界を魅了し、かき乱したか。パロディ裁判、ディスカバー・ジャパン論争、赤瀬川原平、岡本太郎、植田正治、いわさきちひろ、キッチュの紹介者・石子順造の思想、そして神農の教え。絵本、写真、前衛美術から文化人類学、医学にまで首をつっこみ、2次的で取るに足りないとされた「非芸術」を語ることで、硬化した「芸術」の境界をゆるがす、戦後日本の複製文化論。本邦初のパロディ辞典、石子順造辞典を付す。著作権をめぐる最重要判例であるパロディ裁判判決に果敢に挑んだ「二重の声を聞け」は、表現の自由が問われる今、法曹界での議論が待たれる。軽妙な口上から論文まで、様々な語り口を収めた本書は、40代の現役学芸員の単著という意味でも大変めずらしい、型破りな人文書であり、新たな批評の書でもある。

【ゲスト:成相肇プロフィール】1979年島根県生まれ。東京国立近代美術館主任研究員。一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修了。府中市美術館学芸員、東京ステーションギャラリー学芸員を経て2021年より現職。「石子順造的世界〜美術発・マンガ経由・キッチュ行」(第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」、「パロディ、二重の声〜日本の1970年代前後左右」など美術と雑種的な複製文化を混交させる企画展を手がけてきた。

【インタビュアー:筒井宏樹プロフィール】1978年愛知県生まれ。鳥取大学准教授。愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。専門は現代美術史。編著書に 『スペース・プラン〜鳥取の前衛芸術家集団1968-1977』(アートダイバー)、『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス)ほか。

Oct 10, 202334:24
第67回 土屋敦さんインタビュー『医学が子どもを見出すとき〜孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史』

第67回 土屋敦さんインタビュー『医学が子どもを見出すとき〜孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史』

今回は2023年に勁草書房より出版された『医学が子どもを見出すとき〜孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史』の編者のお一人である土屋敦さんにお話を伺いました。インタビュアーは野崎祐人さんです。

【著作概要】貧困階層における生殖・再生産への医療的介入、子ども司法や貧児、孤児などの処遇に医療はどのようにかかわってきたのか。フロイト派の展開や知能検査などの心理学・児童精神医学上のツールの展開は「逸脱児」のラベリングにどう寄与したのか ─ 子どもと発達に介在する医学のあり方の編年史を子ども史の視座から解き明かす。

【ゲスト:土屋敦プロフィール】関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、子ども社会学、家族社会学、福祉社会学。単著に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』(勁草書房)、『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』(青弓社)、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。

【インタビュアー:野崎祐人プロフィール】京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。家族社会学、歴史社会学。分担執筆に『社会的養護の社会学〜家庭と施設の間にたたずむ子どもたち』(青弓社)、論文に「草創期の近江学園における知能検査の実施とその影響 〜子ども観の社会史の視座から」(『フォーラム現代社会学』20号)、「<展望>日本の社会学領域における『代替養育』の研究状況と今後の展望」(『人間・環境学』31号)、「1970~90年代における養護施設の職員論の変遷〜保母・児童指導員自身による語りから」(『フォーラム現代社会学』22号)。

Sep 19, 202333:37
第66回 大澤傑さんインタビュー『「個人化」する権威主義体制〜侵攻決断と体制変動の条件』

第66回 大澤傑さんインタビュー『「個人化」する権威主義体制〜侵攻決断と体制変動の条件』

今回は2023年に明石書店より出版された『「個人化」する権威主義体制〜侵攻決断と体制変動の条件』の著者である大澤傑さんにお話を伺いました。インタビュアーは渡辺広樹さんです。

【著作概要】プーチン、習近平、金正恩―リーダーによる予測不能で「非合理」な意思決定が可能となる条件とは。考えうる結末は。新進気鋭の国際政治研究者がウクライナ侵攻で激震を与えたロシア、台湾有事が懸念される中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の3か国を分析。

【ゲスト:大澤傑プロフィール】1987年愛知県生まれ。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科修士課程修了。防衛大学校総合安全保障研究科博士課程修了。博士(安全保障学)。駿河台大学法学部助教を経て、2021年4月より愛知学院大学文学部講師。

主な著書・論文に『世界の基地問題と沖縄』(分担執筆、明石書店、2022年)、『よくわかる国際政治』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2021年)、『独裁が揺らぐとき〜個人支配体制の比較政治』(ラテン・アメリカ政経学会2021年度研究奨励賞、ミネルヴァ書房、2020年)、「台湾の二大政党制は揺らぐのか〜権威主義継承政党が政党システムに与える影響」(共著)『問題と研究』第51巻第2号(2022年)、「米比関係と非対称理論〜在比米軍基地を事例として」『コスモポリス』第16号(2022年)、「ニカラグアにおける個人化への過程〜内政・国際関係/短期・長期的要因分析」『国際政治』第207号(2022年)(日本国際政治学会2022年度奨励賞)。

【インタビュアー:渡辺広樹プロフィール】東京工業大学 博士後期課程 川名晋史研究室所属。

Sep 05, 202322:22
第65回 石岡丈昇さんインタビュー『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』

第65回 石岡丈昇さんインタビュー『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』

今回は2023年に青土社より出版された『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』の著者である石岡丈昇さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。

【著作概要】フィールドワークが世界の見方を変える。舞台は、マニラの貧困地区。突然試合が中止だと告げられるボクサー、自宅が急に目の前で破壊されるスラム街の住人、常に主人の顔色を窺う家事労働者…。何が起こるかわからない明日を待ち、絶えざる今を生きのびるとはどういうことか。かれらが生きる時間のディテールをともに目撃し、ともに書くための理論と思想。

【ゲスト:石岡丈昇プロフィール】1977年岡山県岡山市生まれ。日本大学文理学部社会学科教授・博士(学術)。

専門は、社会学、身体文化論。主な著書に『ローカルボクサーと貧困世界〜マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年)、『質的社会調査の方法〜他者の合理性の理解社会学』(共著、有斐閣、2016年)、The Bottom Worker in East Asia: Composition and Transformation under Neoliberal Globalization(編著、ブリル出版社、2023)。

【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。

専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書に『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)。

Aug 15, 202339:42
第64回 小磯隆広さんインタビュー『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』

第64回 小磯隆広さんインタビュー『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』

今回は2020年に錦正社より出版された『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』の著者である小磯隆広さんにお話を伺いました。インタビュアーは中立悠紀さんです。


【著作概要】本書は、昭和戦前期、日本陸軍と双璧をなす軍事組織であった日本海軍の満洲事変から日米開戦に至るまでの期間における、対英米観、対英米政策、そして戦略(作戦方針と用兵思想)を分析したものである。

1930年代政治外交史、国際政治史研究は非常に膨大な蓄積がされてきた。そのような研究領域において、本書は重要な歴史像を提示する成果である。

本書はタイトルの通り、東アジアの国際政治における日本海軍の位置を考察したものであり、従来、陸軍や外務省と比較して断片的な分析にとどまっていた海軍の対英米観とその政策・戦略を博捜した史資料を使って丹念に分析している。アメリカが提示した門戸開放・機会均等の理念に海軍がどのように対応・利用しようとしたのかといった問題や、また海南島問題と日米交渉の関係を取り上げることで、対米戦にいたるまでの海軍の戦略の重要性を浮き彫りにしている。

本書は、近年は必ずしも若手研究者人口が多いとは言えない1930年代政治外交史研究において、後進が読むべき本の一つである。


【ゲスト:小磯隆広プロフィール】1985年千葉県生まれ。2018年3月、明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。外務省外交史料館非常勤職員、明治大学文学部兼任講師を経て、2020年4月より防衛大学校人文社会科学群講師。

主要著作に『海洋政策研究所史料集成〜南方進出・国家総力戦関係』全4巻(監修・解題、ゆまに書房、2022年)、『陸軍大将奈良武次日記〜第一次世界大戦と日本陸軍』上下(共編、原書房、2020・21年)など。


【インタビュアー:中立悠紀プロフィール】1990年京都府生まれ。2018年3月、九州大学大学院地球社会統合科学府博士後期課程修了。博士(学術)。大韓民国・朝鮮大学校外国語大学助教授を経て、2022年4月より日本学術振興会特別研究員(PD)。

現在、『東京裁判・BC級戦犯裁判と帝国陸海軍軍人〜裁判対策、戦犯釈放運動、靖国戦犯合祀、歴史修正主義』と題した学術書の刊行を目指している。またアジア・太平洋戦争期の陸軍の対外政策について研究しており、1938年の東亜新秩序声明と汪兆銘工作が、陸軍内にあった対中政策の相違を収斂させるために打ち出された理念・和平かつ謀略工作だったという事実を明らかにしようとしている。

Aug 01, 202345:39
第63回 崎濱紗奈さんインタビュー『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』

第63回 崎濱紗奈さんインタビュー『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』

今回は2022年に法政大学出版局より出版された『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』の著者である崎濱紗奈さんにお話を伺いました。インタビュアーは二井彬緒さんです。


【著作概要】本書は、近代沖縄を代表する思想家・伊波普猷(1876-1947)のテクスト分析を通して、その「政治」と「哲学」の可能性と限界を明らかにするものである。

伊波の思想は「日琉同祖論」として知られ、これまで様々な解釈がなされてきた。大日本帝国が推進した同化主義を正当化する言説として厳しく批判されてきた一方で、帝国下における「琉球・沖縄」の個性を保つための戦略的同化主義として評価する読解も根強い。

これに対し本書は、先行研究が「日本」「琉球・沖縄」という二つの主体を前提として伊波の「日琉同祖論」を読解してきたことの限界を指摘し、<原日本>=<原沖縄>という全く別の場所を開くための試みとして、これを理解することを試みる。

伊波のこのような試みには、天皇を中心とする大日本帝国の国家主義を批判する回路が秘められていたが、同時にそれは、「政治」を徹底的に抹消しようとする「政治神学」としての側面も併せ持っていた。

本書は、このような伊波の思想的限界を指摘するとともに、伊波が消去しようとした「政治」が、実は伊波のテクストの内部に常に・既に書き込まれていたことを、脱構築的読解によって読者に提示することを試みる。


【ゲスト:崎濱紗奈プロフィール】1988年沖縄生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)博士課程単位取得退学。博士(学術)。東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任助教。専門領域は沖縄・日本近現代思想史、ポストコロニアル研究。主な論文に、「第三次反安保運動下的沖繩基地問題:從SEALDs談起」(馮啓斌・崎濱紗奈共著、『文化研究』第21期2015年秋季、交通大學出版社)、“‘Political Philosophy’ of Ifa Fuyū: the Limits of Identity Politics” (Identity and Movements, EAA Booklet No. 17, East Asian Academy for New Liberal Arts, the University of Tokyo)、「『東アジア』において理論を希求するということ〜沖縄の『復帰』をめぐる考察を出発点として」(『日本學論集』第44号、グローバル琉球沖縄研究所・慶煕大学大学院日本学研究会)などがある。


【インタビュアー:二井彬緒プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍(超域文化科学専攻表象文化論コース「人間の安全保障」プログラム所属)。専門は社会思想史、ハンナ・アーレント研究。関心は難民問題、ユダヤ人問題、イスラエル・パレスチナ紛争。主論文として「ハンナ・アーレントの『ユダヤ軍創設論』〜初期におけるシオニズム論と後年に対する影響」(『Arendt Platz』7号)。プロフィール詳細:https://researchmap.jp/akio-futai21

Jul 18, 202342:30
第62回 辻井敦大さんインタビュー『墓の建立と継承〜「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』
Jul 04, 202327:37
第61回 林凌さんインタビュー『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』

第61回 林凌さんインタビュー『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』

今回は2023年に以文社より出版された『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』の著者である林凌さんにお話を伺いました。インタビュアーは辻井敦大さんです。


【著作概要】戦後消費社会の出現とともに語られる〈消費者〉は、戦前期からすでに知識人の構想のなかに蠢いていた。戦後の生活協同組合を支える論理を生み出した賀川豊彦・奥むめお・本位田祥男、流通行政の礎を築いた向井鹿松・谷口吉彦・福田敬太郎らの戦前・戦中期の思想=活動に肉薄し、近代日本に通底する社会改良主体/庇護対象としての〈消費者〉像を掘り起こす。これまで黙殺されてきた/にも関わらず私たちの生を根底から規定する、消費者主権の思想史。


【ゲスト:林凌プロフィール】1991年生まれ。 東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学、博士(社会情報学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は消費社会論、歴史社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/hayashiryo


【インタビュアー: 辻井敦大プロフィール】1993年神奈川県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/A-TSUJII

Jun 20, 202330:56
第60回 松村淳さんインタビュー『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』

第60回 松村淳さんインタビュー『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』

今回は2023年に晃洋書房より出版された『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』の著者である松村淳さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。

【著作概要】本書は、コロナ禍によって人々が住宅の内と外の双方に居場所を失っているという状況を契機に、現代日本における身体と空間を問い直すことを目的とした。その際、排除/包摂という議論ではなく、「疎外」という視角から光を当てた。そうすることで、排除/包摂論からは見えてこない、人々と居場所の多様な状況を検討していくことが目的である。

公園や図書館等の公共空間は、リスク回避のために禁止事項が増え、気軽に利用することが難しくなっている。そうした公共空間の機能不全は、人々を住宅の中へと撤退させてしまう(住宅への疎外)。一方で、日本における住宅の大部分を占めるnLDKタイプの画一化された住宅は、自宅でのテレワーク、感染者の隔離といったコロナ禍による非常事態に対応できず、人々は住宅からも疎外されている。

このような状況にあって、「私的な空間へのコモンズ的な要素の埋め込み」という試みが各地で看取できる。こうした私的空間を公的にアップデートすることでコモンズをつくるというボトムアップ型の展開は、機能不全を起こしている公共空間としての機能を代替し、さらに、その限界が顕在化しつつある住宅の機能も補完していく契機を含むものである。


【ゲスト:松村淳プロフィール】関西学院大学・同志社大学非常勤講師。立命館大学客員研究員。神戸市地域協働局アドバイザー。1973年香川県生まれ。関西学院大学社会学部・京都造形芸術大学通信教育部建築デザインコース卒業。設計事務所勤務を経て、関西学院大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(社会学)、二級建築士、専門社会調査士。

専攻は労働社会学・都市社会学。現在、建築を社会学的に問うための視角としての建築社会学を構想中。2021年からは神戸市の山間部の休耕田を借りて里山環境の再生に資する農業を学生たちと実践中である。


【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】ブック・ラウンジ・アカデミア事務局。神戸学院大学教員。

学歴・経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda


Jun 06, 202335:47
第59回 相川裕亮さんインタビュー『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』

第59回 相川裕亮さんインタビュー『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』

今回は2022年に新教出版社より出版された『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』の著者である相川裕亮さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。


【著作概要】国葬にされた、ただ一人の牧師。アイゼンハワーからオバマに至る歴代大統領と親密な関係を結び、「アメリカの牧師」として彼らの政策に有形無形の影響を及ぼしたビリー・グラハムの、主に冷戦下70年代までの思想と行動を<福音伝道者>という観点から解明した俊英の力作。<預言者>でも<祭司>でもないこの独特な宗教者の類型は、いかなる意味をもつのか。


【ゲスト:相川裕亮プロフィール】1988年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。広島大学大学院人間社会科学研究科助教を経て、現在は、金城学院大学国際情報学部講師。主要論文に「冷たい戦争と魂の危機――大衆伝道者ビリー・グラハムの見た共産主義、自由、原罪」『アメリカ研究』50号(2016年)、共訳書にマイケル・ウォルツァー『アメリカ左派の外交政策』(風行社、2018年)などがある。


【インタビュアー: 倉本敬司プロフィール】広島大学大学院人間社会科学研究科博士前期課程2年。

May 23, 202322:37
第58回 湯川勇人さんインタビュー『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』

第58回 湯川勇人さんインタビュー『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』

今回は2022年に千倉書房より出版された『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』の著者である湯川勇人さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。


【著作概要】1930年代、東アジアの新秩序建設に邁進する日本で、それに強く反対する米国との関係維持を目標として外務官僚たちの苦闘と挫折の歴史を描く。第39回大平正芳記念賞〈正賞〉受賞(2023年2月)


【ゲスト:湯川勇人プロフィール】広島大学大学院社会科学研究科准教授。1988年生まれ。甲南大学卒業、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。アイオワ大学客員研究員、ひょうご震災記念21世紀研究機構研究戦略センター研究調査部主任研究員などを経て2019年より現職。2017年、本書の基礎となった論文「東アジア秩序をめぐる日米関係:1930年代の外務省による東亜新秩序の模索」で第16回アジア太平洋研究賞佳作を受賞。


【インタビュアー: 倉本敬司プロフィール】広島大学大学院人間社会科学研究科博士前期課程2年。


May 09, 202329:09
第57回 梁仁實さんインタビュー『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』

第57回 梁仁實さんインタビュー『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』

今回は2022年に法政大学出版局より出版された『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』の著者である梁仁實さんにお話を伺いました。インタビュアーは丁智恵さんです。


【著作概要】本著は植民地朝鮮で作られた映画が内地日本でどのように受容されていたのか、そして内地日本にて誰がどのようにそれらを観ていたのかについて考察したものである。さらに、内地日本で製作した朝鮮を映した映像も併せて、いかに朝鮮像が創り出されていたのか、に注目した。またその過程で在日朝鮮人が朝鮮映画を見る観客であり、製作者であったことも明らかにした。朝鮮映画やそれにかかわった人々は植民地政策と時には「協力」し、時には拮抗する形で新たな朝鮮像を創造していたのである。

【ゲスト:梁仁實プロフィール】韓国済州生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、岩手大学人文社会科学部准教授。専門は日韓の文化交流史、在日コリアン史。 主な業績は「1930年代京城と『女/性』表象-2010年代以降の韓国映画を中心に」(岩手大学人文社会科学部紀要『アルテス リベラレス』pp.145-156、2020)、「영화관객으로 재조일본인을 상상하기 일본어신문 『부산일보』를 중심으로[映画観客の在朝日本人を想像する 日本語新聞 『釜山日報』を 中心に]」(金孝順編『식민지 문화정치와 「경성일보」〜 월경적 일본문학・문화론의 가능성을 묻다[植民地の文化政治と「京城日 報」〜越境の日本文学・文化論の可能性を問う]』역락[ヨクラク]、pp. 339- 364、2020)、「복합영화상영관 메이지좌의 사회사[複合映画上映館 明治座の社会史]」(韓国学中央研究院編 『明洞〜街角の文化史』pp.37-55、2019)などがある。


【インタビュアー: 丁智恵プロフィール】兵庫県生まれ。京都大学総合人間学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程満期退学、博士(学術)。2017年から東京工芸大学芸術学部映像学科助教、2022年から准教授。専門は映像メディア史、在日コリアン研究。主な論文に「越境する左派的映画人と在日朝鮮人のネットワーク」(崔銀姫編『東アジアと朝鮮戦争七〇年〜メディア・思想・日本』2022年、明石書店)、「朝鮮戦争報道と占領期日本〜映像メディアの分析を中心に」(『帝国のはざまを生きる〜交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』2022年、みずき書林)など。


Apr 25, 202342:57
第56回 保明綾さんインタビュー『Science for Governing Japan’s Population』

第56回 保明綾さんインタビュー『Science for Governing Japan’s Population』

今回は2023年にCambridge University Pressより出版された『Science for Governing Japan’s Population』の著者である保明綾さんにお話を伺いました。インタビュアーは藤本大士さんです。


【著作概要】現在の日本は「2040年問題」等の言葉にもあるように「人口危機」に晒されていると言われており、政府はこれら人口問題に関し何らかの措置を施すことを期待されている。しかし、そもそも「人口」がなぜ「危機」として捉えられるようになったのだろうか。また、なぜ政府に人口危機を解決することを求めるのだろうか。

本書は、明治期以降に新たに出現した「人口」という概念をめぐる科学と国家の営みを歴史的に検証し、「人口」を科学する学術領域の形成と明治期から近代統治国家として日本が変貌することは共生関係にあったことを示す。さらに、その共生関係がうまれる過程で、「人口」が国家の管理の対象となった結果、現在の人口をめぐる言説が当然のこととして人々に受け入れられていると論じる。

【ゲスト:保明綾プロフィール】2003年マンチェスター大学科学技術史・医学史研究所(Centre for the History of Science, Technology and Medicine)博士課程修了(科学技術史・医学史)、Ph.D。2004〜2008年、同研究所でポスト・ドクター・リサーチフェロー、2008〜2009年、ケンブリッジ大学・ニーダム研究所でリサーチ・アンド・ティーチング・フェロー、2009〜2015年、マンチェスター大学でウェルカム財団ユニバーシティ・アワード研究員を経た後、現在、マンチェスター大学人文言語文化学科(School of Arts, Languages and Cultures)で講師を務める。2023年3月現在、立命館大学で客員研究員。専門は近代日本医学史・科学史で、主に生殖や人口をめぐる政策や力学の社会史を研究。主要著書に、今回紹介したScience for Governing Japan’s Population (Cambridge: Cambridge University Press, 2023)。

【インタビュアー: 藤本大士プロフィール】2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。

Apr 11, 202335:59
第55回 外村大さんインタビュー『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』

第55回 外村大さんインタビュー『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』

今回は2022年に明石書店より出版された『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』の編者である外村大さんにお話を伺いました。インタビュアーは木下直子さんです。

【著作概要】戦争・植民地支配、内乱等の過程で発生した人権被害はしばしば、被害それ自体を語ることもできないままとなる。その史実を掘り起こし、被害者の尊厳回復、関係者間の葛藤を解きほぐしていくうえで、重要な役割を果たすのは市民の自発的な活動である。日本と近隣諸国、あるいはそれぞれの国内で起きた様々な事例についての市民運動を事例に、歴史学・社会学・政治学の研究者がそれを跡付けるとともに、分析を加えている。そこからは、国家レベルでの外交的解決や司法判断、行政施策では生み出さしえない、市民レベルの共感や相互理解を含む和解の可能性を見出すことができる。と同時に、それを実現する条件が何であるのかや現実に立ちはだかる障害や限界についても考えさせることになっている。

【ゲスト:外村大プロフィール】1966年、北海道で生まれる。1984年早稲田大学入学、学部卒業後、同大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻で学ぶ。その後、早稲田大学社会科学研究所助手、韓国高麗大学外国人研究員、一橋大学非常勤講師などを経て、2007年より東京大学大学院総合文化研究科准教授、2015年より同教授。専門は日本近現代史、日本と朝鮮との関係についての研究。著書に、『在日朝鮮人社会の歴史学的研究〜形成・構造・変容』(緑蔭書房、2004年)、『朝鮮人強制連行』(岩波書店、2012年)。

【インタビュアー: 木下直子プロフィール】山口県生まれ。2012年、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学。2013年、博士(比較社会文化)。2016〜2018年度、日本学術振興会特別研究員PD(大阪大学)。2013年から現在まで、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。専門は社会学、ジェンダー研究。著書に『「慰安婦」問題の言説空間〜日本人「慰安婦」の不可視化と現前』(2017年、勉誠出版)。

Mar 28, 202333:08
第54回 林英一さんインタビュー『残留兵士の群像〜彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』

第54回 林英一さんインタビュー『残留兵士の群像〜彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』

今回は2023年に新曜社より出版された『残留兵士の群像〜彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』の著者である林英一さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。

【著作概要】本書が対象とするのは、大日本帝国崩壊後もアジア各地に一定期間にわたって留まり、日本に帰国した/しなかった日本軍兵士の歴史と記憶である。とくに従来の研究が等閑視してきたドキュメンタリーや映画などの映像作品に着目し、各地域の残留兵士の実像と表象のせめぎあいを記述した上で、典型的な残留兵士の在り方と表象の時期的変遷を明らかにしている。1万人規模にのぼると推定される残留兵士の全体像に迫った包括的な研究書である。

【ゲスト:林英一プロフィール】1984年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。一橋大学博士(社会学)。現在、二松学舎大学文学部歴史文化学科准教授。インドネシア残留日本兵の社会史研究で日本学術振興会育志賞受賞。著書に『残留日本兵の真実』(作品社)、『東部ジャワの日本人部隊』(作品社)、『皇軍兵士とインドネシア独立戦争』(吉川弘文館)、『残留日本兵』(中央公論新社)、『戦犯の孫』(新潮社)、『南方の志士と日本人』(筑摩書房)などがある。

【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学専任教員・ブックラウンジアカデミア事務局
経歴はこちらから→
https://researchmap.jp/hirokomatsuda

Mar 14, 202327:31
第53回 長史隆さんインタビュー『「地球社会」時代の日米関係〜「友好的競争」から「同盟」へ 1970-1980年』

第53回 長史隆さんインタビュー『「地球社会」時代の日米関係〜「友好的競争」から「同盟」へ 1970-1980年』

今回は2022年に有志舎より出版された『「地球社会」時代の日米関係〜「友好的競争」から「同盟」へ 1970-1980年』の著者である長史隆さんにお話を伺いました。インタビュアーは髙橋茜さんです。

【著作概要】本書は、これまで安全保障を軸とした2国間関係として捉えられることの多かった1970年代の日米関係を、先進民主主義諸国間関係の一翼として位置づけ、また新たな国境横断的課題の噴出によって「地球」を1つの単位と捉える世界認識が高まるなかでの両国関係の変化をたどることで、1970年代の国際関係の変容の一端を捉えようとする試みである。安全保障問題を中心とする伝統的な2国間の政治・外交関係にとどまらず、グローバルな視座に立ち、難民問題、文化摩擦、動物の命をめぐる問題といった日米関係の社会・文化的な側面をも重視することで、新たな国際関係史のあり方を提示する。

【ゲスト:長史隆プロフィール】1986年奈良県生まれ。2010年中央大学法学部卒業。2016〜2017年ジョージワシントン大学シグールアジア研究所客員研究員。2019年3月立教大学法学研究科博士課程後期課程単位取得退学。2019〜2021年度は立教大学法学部助教。2021年9月立教大学法学研究科より博士(政治学)を取得。2022年度は立教大学兼任講師および立教大学アメリカ研究所特任研究員。2023年4月より広島市立大学国際学部講師。本著作が第39回・大平正芳記念賞を受賞。

【インタビュアー: 髙橋茜プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程・日本学術振興会特別研究員 (DC1)。アメリカ合衆国でメキシコ系の人びとと生活した経験や、メキシコシティで中米移民等の自立生活支援に携わった経験から、西半球の人の移動や労働をとりまく諸課題に継続的に関心を抱いている。現在のおもな研究分野はアメリカ現代史・労働史・移民史で、20世紀前半のアメリカ合衆国で農場や食品加工工場の労働者が参画したマルチエスニック労働組合について調査・研究を行っている。

Feb 28, 202339:38
第52回 【BLA2周年 特別編】石塚輝紀さん・松田ヒロ子さん対談〜BLA開設の経緯、魅力、そしてこれから

第52回 【BLA2周年 特別編】石塚輝紀さん・松田ヒロ子さん対談〜BLA開設の経緯、魅力、そしてこれから

Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア)開設2周年を迎えて、特別編をお送りします。

開設当初からBook Lounge Academiaの運営に関わり、サイトの構築などを担当している石塚輝紀さんをお迎えして、立ち上げから関わる松田ヒロ子さんとの対談形式のインタビュー。Book Lounge Academiaの立ち上げの経緯や、その魅力、そして「これから」について語りました。

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【ゲスト:石塚輝紀プロフィール】2006年からミクル株式会社に所属し、SEOを軸としたウェブマーケティングを専門とする。2002年に中央大学大学院 博士前期課程を修了し、その後、ジャーナリスト協会のスタッフや、株式会社サイバーエージェントでのブログサービス プロデューサーを経て現職。2022年より、複業プロジェクトで長崎県移住推進のSEO/SXO担当のデジタルコーディネーターとして委嘱を受け活動中。知識や情報を媒介に、思いを伝える人たちの伴走者として成長していくことが目標。

【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学専任教員
経歴はこちらから→https://researchmap.jp/hirokomatsuda



Feb 07, 202325:47
第51回 洪里奈さんインタビュー『「ルーツのある」子どもたち〜民族学級という場所で』

第51回 洪里奈さんインタビュー『「ルーツのある」子どもたち〜民族学級という場所で』

今回は2022年にクレインより出版された『「ルーツのある」子どもたち〜民族学級という場所で』の著者である洪里奈さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。

【著作概要】朝鮮半島に「ルーツのある」、公立学校に通う子どもたちが、放課後の時間に「韓国・朝鮮」の言葉や文化などを学ぶ「民族学級」。在日韓国・朝鮮人の民族教育の場としては朝鮮学校、韓国学校が知られているが、民族学級についてはこれまでほとんど紹介されてこなかった。本書は、現場フィールドワークを通して、この場所に集う子どもたちと彼ら彼女らを取り巻く人びとの相互作用をエスノグラフィーとして描く。教育の意義、自己を肯定する「場所」としての「民族学級」の機能と実践について明らかにしながら、今日的な「民族教育」の意義や、マイノリティへの教育、人が人としてある為の場の必要性についての議論を試みている。

【ゲスト:洪里奈プロフィール】1987年大阪府八尾市生まれ。文化人類学、朝鮮半島地域研究。立命館大学を卒業後、韓国へ留学。韓国学中央研究院韓国学大学院人類学専攻修了。2016年、韓国外交部・在外同胞財団学位論文賞にて最優秀賞受賞。現在、同志社大学大学院グローバル•スタディーズ研究科博士後期課程在籍中。

【インタビュアー: 鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)


Jan 24, 202336:32
第50回 山本芳美さんインタビュー『身体を彫る、世界を印す〜イレズミ・タトゥーの人類学』

第50回 山本芳美さんインタビュー『身体を彫る、世界を印す〜イレズミ・タトゥーの人類学』

今回は2022年に春風社より出版された『身体を彫る、世界を印す〜イレズミ・タトゥーの人類学』の著者である山本芳美さんにお話を伺いました。インタビュアーは山本和行さんです。

【著作概要】文化人類学、芸術学、医学などの観点から、総勢11名の専門家が各地で調査・経験したイレズミ・タトゥーについて論じた本。書中で取り上げているのは、マルケサス諸島のテ・パトゥ・ティキ/ニュージーランド・マオリのタ・モコ/タイのサックヤン/カメルーン・狩猟採集民バカのテレ/インド・バイガのイレズミ/台湾原住民のイレズミ/日本土産としてのイレズミ/沖縄のハジチ/千葉のヒップホップファッション・ストア店員のスミ/消えるタトゥー、ジャグア/医学から見たイレズミ/アイヌのシヌイェ。イレズミに興味はあるがどう調べたらよいかわからない初学者に向けて調べ方や研究方法を紹介したコラム付き。

【ゲスト:山本芳美プロフィール】本作品の3名の編著者の一人。1968年生まれ。都留文科大学教授。文化人類学・化粧文化学専攻。跡見学園女子大学で「身体変工」の卒論を書いたのち、明治大学大学院政治経済学研究科博士前期課程に進学する。1992年から98年にかけて、沖縄県内の各島において女性のイレズミ(針突・ハジチ)の調査をおこなう。95年頃から台湾原住民族についての調査・研究を開始し、2000年に近代日本のイレズミに対する法的規制についての学位論文を昭和女子大学大学院に提出した(学術博士・論文)。2000年から2003年にかけて台湾・中央研究院民族学研究所に訪問学員として留学。2003年4月より都留文科大学文学部に専任講師として着任する。現在は、19世紀後半より世界各地で活動した日本人彫師、沖縄戦後タトゥー史、台湾原住民族のイレズミと文化復興についての調査と研究をおこなっている。主著に『イレズミの世界』(2005年、河出書房新社)、『イレズミと日本人』(2016年、平凡社)ほか。

【インタビュアー: 山本和行プロフィール】天理大学在学中に台湾へ留学し、台湾の友人たちと交流を深めるなかで日本と台湾の歴史的な接点に興味を持ち、旅行会社などに就職後、あらためて大学時代の興味関心を深めたいと思い、京都大学大学院教育学研究科に進学し、日本による台湾の植民地統治、およびそこで形成・展開される教育制度の形成・展開過程を研究テーマに選びました。

BLAでインタビューしていただいた本を出版してからは、植民地期の学校教員の歴史的位置や、教員を取りまく社会的状況、あるいは現代的な課題として、今の台湾の学校に残されている植民地統治期の学校関連資料の所在などに関心を持っています。

また、教職課程の教員として天理大学に職を得てからは、教員養成をめぐる歴史的・社会的な課題や、歴史的な視点から考える大学教育の方向性、あるいはICTを活用した授業方法の検討などにも関心を持つようになりました。

Jan 10, 202341:57
第49回 川名晋史さんインタビュー『基地はなぜ沖縄でなければいけないのか』
Dec 27, 202225:26
第48回 吉原真里さんインタビュー『親愛なるレニー〜レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』

第48回 吉原真里さんインタビュー『親愛なるレニー〜レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』

今回は2022年にアルテスパブリッシングより出版された『親愛なるレニー〜レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』の著者である吉原真里さんにお話を伺いました。インタビュアーは関口洋平さんです。

【著作概要】作曲家、指揮者、ピアニスト、教育者、社会活動家など、実に多彩で精力的な活動を続けた巨匠、レナード・バーンスタイン(1918−1990)。そのバーンスタインと長年にわたって親密な交友関係をもったふたりの日本人がいる。そのふたりがバーンスタインに当てて送った手紙の数々を読み解きながら、ふたりとバーンスタインのあいだに育まれた愛情についてのミクロの物語と、日本とアメリカ、国家と文化、芸術と産業、性と家族といったマクロの力学の分析を織り交ぜて、バーンスタインが20世紀を代表するマエストロになっていった過程を綴る。

【著者:吉原真里プロフィール】ハワイ大学アメリカ研究学部教授。東京大学教養学部教養学科卒業後、米国ブラウン大学にてアメリカ研究修士号・博士号取得。専門はアメリカ文化史、アメリカ=アジア関係史、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズなど。著書にDearest Lenny: Letters from Japan and the Making of the World Maestro (Oxford University Press, 2019)、『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?〜人種・ジェンダー・文化資本』(アルテスパブリッシング、2013)、『ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール〜市民が育む芸術イヴェント』(アルテスパブリッシング、2010)、『ドット・コム・ラヴァーズ〜ネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書 2008)など。共著に『私たちが声を上げるとき〜アメリカを変えた10の問い』(集英社新書、2022)。

【インタビュアー: 関口洋平プロフィール】フェリス女学院大学文学部英語英米文学科助教。東京大学大学院人文社会系研究科英語英米文学専修課程にて修士号取得後、ハワイ大学マノア校アメリカ研究科博士課程にて博士号取得。専門はアメリカ研究、ジェンダー研究。主要論文に「『イクメン』の誕生と新自由主義〜20世紀後半アメリカにおける白人中流階級の父親の表象について」『アメリカ研究』51 (2017年)。

Dec 13, 202239:18
第47回 宇田川幸大さんインタビュー『東京裁判研究〜何が裁かれ、何が遺されたのか』

第47回 宇田川幸大さんインタビュー『東京裁判研究〜何が裁かれ、何が遺されたのか』

今回は2022年に岩波書店より出版された『東京裁判研究〜何が裁かれ、何が遺されたのか』の著者である宇田川幸大さんにお話を伺いました。インタビュアーは中立悠紀さんです。

【著作概要】本書は、日本敗戦後1946年5月から1948年11月まで、日本の戦争指導者層・いわゆるA級戦犯を裁くために実施された国際裁判・極東国際軍事裁判(東京裁判)に対する歴史学的研究である。

従来、東京裁判に関する研究は、裁判の前史や、水面下における戦争犯罪の免責過程、裁判をとりまいた国際関係について重厚な研究蓄積がされてきた。しかしながら、東京裁判の審理過程自体に関する検討は、大きく遅れている状況にあった。

本書は、東京裁判を審理として捉え、裁判記録などを用いて審理の実態について論証したものである。その分析対象は広く、アジア・太平洋戦争で日本の指導的な地位にあった人物・統治機関(陸軍・海軍、外務省、大蔵省、内大臣)に対する審理実態を網羅している。

また、A級戦犯の戦犯裁判観・戦争観、戦後観について分析し、さらに新聞や国会議事録を用いて戦後日本社会における東京裁判観を分析した。

東京裁判の審理の諸相を明らかにし、同時に戦後の日本人がどのように裁判を捉えてきたのかに迫った本書は、戦犯裁判研究や、歴史認識研究、1930・40年代の政治外交史研究を行う者にとって、読むべき本の一つである。

【著者:宇田川幸大プロフィール】1985年、神奈川県生まれ。2015年 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学・一橋大学)。一橋大学大学院社会学研究科特任講師を経て、現在、中央大学商学部准教授。専門は歴史学、日本現代史。主要著作に『考証東京裁判〜戦争と戦後を読み解く』(吉川弘文館 2018年)、『東京裁判〜捕虜関係資料』(全3巻、共編、現代史料出版 2012年)、『東京裁判〜性暴力関係資料』(共編、現代史料出版 2011年)、主論文に「オランダ裁判と被告人」(『商学論纂』60巻 2019年)など。

【インタビュアー: 中立悠紀プロフィール】1990年、京都府生まれ。2018年 九州大学大学院地球社会統合科学府博士後期課程修了。博士(学術・九州大学)。大韓民国・朝鮮大学校外国語大学助教授を経て、現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は歴史学、日本現代史。主論文に「愛の運動戦犯受刑者助命減刑内還嘆願署名運動〜戦犯釈放運動の実態についての一考察」(『同時代史研究』第8巻 2015年)、「旧帝国陸海軍軍人と靖国戦犯合祀の関係〜BC級戦犯合祀の経緯」(『史学雑誌』第128編7号 2019年)、「占領体制と戦争責任論の形成 (特集 占領とは何か : 日本戦後史の出発点を問う)」(『歴史評論』868号 2022年)など。

Nov 22, 202241:25
第46回 大野光明さんインタビュー『越境と連帯(社会運動史研究4)』

第46回 大野光明さんインタビュー『越境と連帯(社会運動史研究4)』

今回は2022年に新曜社より出版された『社会運動史研究』第4号『越境と連帯』の編著者である大野光明さんにお話を伺いました。インタビュアーは櫻井すみれさんです。

【著作概要】苛烈な戦争や継続する植民地主義に抗議の声をあげ、国家・民族・人種・ジェンダーなどの分断に向きあい、連帯を目指した人びとがいた。本書では、「戦後」=冷戦期の日本におけるベトナム反戦運動、英文インディペンデント・メディア『AMPO』、反アパルトヘイト運動、京都・ウトロにおける在日コリアンの居住権をめぐる運動、入管闘争、日本からドイツへと渡った女性たちの運動などに関する論考とインタビューを多数収録。社会運動アーカイブズの一つ「アナキズム文献センター」へのインタビュー記録や魅力的な運動史書籍の書評も掲載。

「戦後」日本の平和と民主主義、経済的な豊かさや成長がさまざまな暴力や差別、植民地主義の忘却と密接不可分であることが、これらの運動研究から明らかにされている。昨今、日本の排外主義やナショナリズムが問題となり、内向きで閉鎖的な社会のありようが指摘され、コロナ禍ではさまざまな分断と壁がよりいっそう顕在化するなかにあって、越境と連帯の運動史から現在をとらえなおすことを目指す。『社会運動史研究』のバックナンバーについてはウェブサイトを参照。

【著者:大野光明プロフィール】1979年、千葉県生まれ。2012年、立命館大学先端総合学術研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、滋賀県立大学人間文化学部教員。専門は歴史社会学、社会運動論。著書に『沖縄闘争の時代 1960/1970〜分断を乗り越える思想と実践』(人文書院、2014年)、共著に、『差異の繋争点』(ハーベスト社、2012年)、『燃ゆる海峡』(インパクト出版会、2013年)、『戦後史再考』(平凡社、2014年)、『シリーズ戦争と社会1「戦争と社会」という問い』(岩波書店、2021年)など。

【インタビュアー: 櫻井すみれプロフィール】1990年、神奈川県生まれ。韓国外国語大学中国語学部卒業(中国文学専攻)。現在、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程。共著に、『내파하는 국민국가 가교하는 동아시아(内破する国民国家、架橋する東アジア)』(学古房、2022年・韓国語)

Sep 20, 202237:49
第45回 金耿昊さんインタビュー『積み重なる差別と貧困〜在日朝鮮人と生活保護』

第45回 金耿昊さんインタビュー『積み重なる差別と貧困〜在日朝鮮人と生活保護』

今回は2022年に法政大学出版局より『積み重なる差別と貧困〜在日朝鮮人と生活保護』を出版された金耿昊さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは橋本みゆきさんです。

【著作概要】 在日朝鮮人と生活保護の問題は、戦後日本における排外主義の標的となってきた。はたしてそれは「不適正」な「特権」なのだろうか。さまざまな歴史資料から在日朝鮮人の苦難に満ちた暮らしを描きだし、生活保護制度からも排除されていった事実を明らかにする。南北分断、朝鮮戦争、北朝鮮への帰国、高齢者の無年金問題などを経て、現在まで続く民族差別と貧困の道のりをたどる。


この本は、私の博士論文を大幅に改稿して出版したものです。具体的には、戦後日本における在日朝鮮人の歴史を、生活に困窮していく人々の存在を中心にしてとりあげました。研究書ではありますが、多くの人に読んでもらえるように努力したつもりです。どうかよろしくお願いいたします。


【著者:金耿昊プロフィール】 1984年、神奈川県生まれの在日朝鮮人3世。在日大韓基督教会横須賀教会執事。東京学芸大学教育学部を卒業後、東京大学大学院総合研究科でながく院生生活を送る。専門は日本・朝鮮近現代史、在日朝鮮人史。主に在日朝鮮人運動と貧困問題についての歴史研究を続け、研究を始めてからほぼ10年かけて博士論文を書く。さらにそのあと5年かけてようやく『積み重なる差別と貧困〜在日朝鮮人と生活保護』(法政大学出版局、2022年)の出版に至る。現在は、横浜市史資料室調査研究員、東京学芸大学非常勤講師。


【インタビュアー: 橋本みゆきプロフィール】 1970年、福島県生まれ。立教大学ほか兼任講師。専門は在日コリアンを対象とする社会学的エスニシティ研究。著書に『在日韓国・朝鮮人の親密圏〜配偶者選択の語りからみる〈民族〉の現在』(2010)、共編著に『二世に聴く在日コリアンの生活文化〜「継承」の語り』(2021、どちらも社会評論社刊)。

Sep 06, 202232:49
第44回 土井智義さんインタビュー『米国の沖縄統治と「外国人」管理〜強制送還の系譜』

第44回 土井智義さんインタビュー『米国の沖縄統治と「外国人」管理〜強制送還の系譜』

今回は2022年に法政大学出版局より『米国の沖縄統治と「外国人」管理〜強制送還の系譜』を出版された土井智義さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。


【著作概要】
1945~72年まで沖縄は米国の統治下にあった。時に武力を伴うその強引な支配は、「銃剣とブルドーザー」という言葉でも有名である。しかし、米国が人々を戸籍で琉球住民と非琉球人に区分したことは知られていない。非琉球人は現在の外国人と同様に扱われ、入管制度に違反すれば日本本土に強制送還された。非琉球人管理制度がつくられた歴史的背景を考究する。


【著者:土井智義プロフィール】
沖縄大学等非常勤講師、琉球大学島嶼地域科学研究所客員研究員、大阪大学招へい研究員。
琉球大学法文学部卒業。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。沖縄県公文書館非常勤職員、日本学術振興会特別研究員(PD)、琉球大学島嶼地域科学研究所PD研究員を経て、現職。
専門は、歴史社会学(沖縄近現代史)、移民研究。
主な論文に、「1950年前後の沖縄社会における「無籍者問題」と「在沖奄美人」〜「南北琉球」のなかの奄美群島と強制送還について」(『PRIME』42号、明治学院大学国際平和研究所、2019年)、「〈別の戦後日本〉としての琉球列島〜非琉球人管理制度の成立過程を通して考える」(『歴史学研究』1015号、2021年10月増刊)がある。


【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】
神戸学院大学専任教員
経歴はこちらから→
https://researchmap.jp/hirokomatsuda


Aug 23, 202230:46
第43回 湯澤規子さんインタビュー『胃袋の近代〜食と人びとの日常史』

第43回 湯澤規子さんインタビュー『胃袋の近代〜食と人びとの日常史』

今回は2018年に名古屋大学出版会より『胃袋の近代〜食と人びとの日常史』を出版された湯澤規子さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは伊藤洋志さんです。

【著作概要】
人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換える。

【著者:湯澤規子 プロフィール】
筑波大学歴史・人類学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。明治大学経営学部専任講師、筑波大学生命環境系准教授を経て現職。「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワークを重ねている。主な著書に『胃袋の近代〜食と人びとの日常史』(名古屋大学出版会)、『7袋のポテトチップス〜食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社)、『食べものがたりのすすめ〜「食」から広がるワークショップ入門』(農山漁村文化協会)、『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』(ちくま新書)、絵本シリーズ『うんこでつながる世界とわたし』(農山漁村文化協会)、『ウン小話〜世界一たのしくてまじめでちょっとクサい授業』(ホーム社)、『ウンコの教室〜環境と社会の未来を考える』(ちくまプリマ―新書)がある。

【インタビュアー:伊藤洋志 プロフィール】
ナリワイ代表。京都大学農学研究科森林科学専攻修士課程修了。ベンチャー企業を退職後に増刊現代農業(農文協)などで執筆活動を開始、2007年より生活の中から生み出す頭と体が鍛えられる仕事をテーマにナリワイづくりを開始。「モンゴル武者修行」「遊撃農家」「次世代型ゲルの販売・建築」などのナリワイに加え、野良着メーカーSAGYOのディレクターを務めるほか、「全国床張り協会」といった、ナリワイのギルド的団体運営等の活動も行う。 著作『ナリワイをつくる』(2012)は韓国でも翻訳出版された。ほか『小商いのはじめかた』(2014)『フルサトをつくる』(2014)。最新刊は「イドコロををつくる」(2021) ※いずれも東京書籍

Aug 09, 202233:23
第42回 福間良明さんインタビュー『戦後日本、記憶の力学〜「継承という断絶」と無難さの政治学』

第42回 福間良明さんインタビュー『戦後日本、記憶の力学〜「継承という断絶」と無難さの政治学』

今回は2020年に作品社より『戦後日本、記憶の力学〜「継承という断絶」と無難さの政治学』を出版された福間良明さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは津田壮章さんです。

【著作概要】
毎年夏になると、「戦争の記憶」の継承が叫ばれる。だが、そこでは「継承の欲望」は語ってはいても、そこ自体に内在する「風化」「断絶」が見落とされてはいないだろうか。戦争映画や戦跡観光と いったポピュラー文化のなかで、調和的な「継承」が麗しく語られる一方、軍内部の組織病理や暴力に着目されることは、総じて少ない。体験や記憶の「継承」の美名に浸ること自体が、じつは見るべきものから目を背け、「風化」「断絶」を進行させているのではないか。本書はこうした観点から、戦跡・モニュメント・新聞・映画・小説・手記などを見渡し、さまざまなメディアをとおして、戦争記憶の「継承という断絶」が生み出される社会背景やメカニズムを解明する。

【著者プロフィール】
福間良明
1969年、熊本市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は歴史社会学・メディア史。出版社勤務、香川大学経済学部准教授を経て、現在、立命館大学産業社会学部教授。著書に『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中公新書)、『「戦跡」の戦後史――せめぎあう遺構とモニュメント』(岩波現代全書)、『「働く青年」と教養の戦後史――「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩選書、サントリー学芸賞受賞)、『「勤労青年」の教養文化史』(岩波新書)など。


【インタビュアープロフィール】
津田壮章
1988年、京都府生まれ。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程院生、日本学術振興会特別研究員DC。主論文に「戦後日本の政軍関係と自衛隊出身政治家の消長――隊友会機関紙『隊友』の言説分析を中心に」(『戦争社会学研究』第5巻)、「自由な校風という教育実践――京都府立鴨沂高等学校の学校行事「仰げば尊し」から」(『人間・環境学』第29巻)など。

Jul 26, 202241:25
第41回 福本拓さんインタビュー『大阪のエスニック・バイタリティ〜近現代・在日朝鮮人の社会地理』

第41回 福本拓さんインタビュー『大阪のエスニック・バイタリティ〜近現代・在日朝鮮人の社会地理』

今回は、2022年に京都大学学術出版会より『大阪のエスニック・バイタリティ〜近現代・在日朝鮮人の社会地理』を出版された福本拓さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは仙波希望さんです。


【著作概要】
福本拓
在日朝鮮人最大の集住地区である大阪・猪飼野は,詩人の金時鐘がヴィヴィッドに描き出したように,移住者が困難な状況の下でも活気ある生活状況を呈し,それでいて「地図にない」「日本でない」と称される場所であった。本書は,この「見ようとしなければ見えない」集住地区を大阪という都市のバイタリティを体現する空間と捉え,その歴史的変遷を明らかにする。

分析に際しては、多種の統計を用いつつ、土地と資本との関係にも焦点を当てている。戦前に形成された集住地区は、戦中・戦後の再編を通じて現在の形態に近づくが、戦後はそれが空間的に固定化されていく過程があった。そこには、戦後日本における排除・差別の中で形成された,自営業を中心とするエスニック経済の諸特性が強く影響している。

1980年代以降、在日朝鮮人の社会経済的地位の向上によって集住は弱化していくが、次の段階として、既存の集住地区での「ニューカマー」韓国人の増加やそれに伴う景観変容も見られた。ここからは、植民地主義下で形成された集住地区が、現代の国際人口移動の結節点としても機能していることが看取できる。さらには、韓流ブームというグローバルな文化消費によって、旧来のコリアタウンは観光地として大きく変貌を遂げつつある。

こうした,衰退局面においても次の活性化の兆しが生じるダイナミズムを集住地区は有しており,そのバイタリティが大阪という都市を特徴付けてきたといえる。


【著者プロフィール】
福本拓
南山大学人文学部日本文化学科准教授。1978年大阪市生まれ。2007年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員、三重大学人文学部特別研究員、宮崎産業経営大学法学部講師、同准教授を経て、2019年より現職。博士(文学)。専門・関心は、都市社会地理学、多文化共生論。

第7回地理空間学会奨励賞を受賞。

主要編著:『都市の包容カ―セーフティネットシティを構想する』(共編、法律文化社、2017年)、Diversities of urban inclusivity: Perspectives beyond gentrification in developed city-regions (共編、Springer、 近刊).


【インタビュアープロフィール】
仙波希望
1987年生まれ。専門は都市研究、カルチュラル・スタディーズ。博士(学術)。現在、広島文教大学人間科学部准教授。主な著書に『惑星都市理論』(編著、以文社、2021)、『忘却の記憶』(編著、月曜社、2018)など。

Jul 12, 202235:44
第40回 岡部芳彦さんインタビュー『日本・ウクライナ交流史1937-1953』

第40回 岡部芳彦さんインタビュー『日本・ウクライナ交流史1937-1953』

今回は、2022年に神戸学院大学出版会より『日本・ウクライナ交流史1937-1953』を出版された岡部芳彦さんをゲストにお迎えしました。本書の内容だけでなく、ウクライナに関わるきっかけについても語っていただきました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。(収録@神戸学院大学ポートアイランドキャンパス)

【著作概要】
アメリカ各地、フスト、ジュネーブ、東京、ハルビン、ノリリスク・・・
カルパト・ウクライナやウクライナ亡命政府との接触、ウクライナ民族主義者組織と日本の関係、幻のウクライナ語=日本語辞典、シベリアの極北の地における日本人とウクライナ人の邂逅まで、知られざる日・宇の人的交流を解き明かす待望の第2巻。

【著者プロフィール】
岡部芳彦
1973年9月9日、兵庫県生まれ。
神戸学院大学経済学部教授、同国際交流センター所長、 博士(歴史学)[中部大学:2021年]、博士(経済学)[神戸学院大学:2015年] 。
ウクライナ国立農業科学アカデミー外国人会員
ウクライナ研究会(国際ウクライナ学会日本支部)会長
主な受賞歴:ウクライナ内閣名誉章(2021年)、ウクライナ最高会議章(2019年)、ウクライナ大統領付属国家行政アカデミー名誉教授(2019年)、ウクライナ国立農業科学アカデミー名誉章(2017年)、名誉博士(ウクライナ国立農業科学アカデミー・アグロエコロジー環境マネジメント研究所第68号、2013年)

【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学現代社会学部教授。
経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda


Jun 28, 202220:38
第39回 清水亮さんインタビュー『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』

第39回 清水亮さんインタビュー『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』

今回は、2022年に新曜社より『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』を出版された清水亮さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは『〈趣味〉としての戦争』を出版された佐藤彰宣さんです。


【著作概要】
特攻など悲壮なイメージただよう少年航空兵「予科練」。戦後、学歴やレッテルに悩みつつ中年となった彼らは、ユニークな慰霊碑・記念館をつくりだす。その陰には、孤立していたはずの戦友会をとりまく婦人会・政財界・自衛隊のネットワークがあった。
*戦争体験者集団を、エリート、メディア、地域、集合的記憶、アソシエーションの切り口から捉え直す戦争社会学のチャレンジ。

序章 元兵士たちが遺した記憶のかたち
第1章 戦争・集団・記憶――社会形態学へ向けて
第2章 準エリートたちの軌跡――学歴と予科練
第3章 メディアを介した戦友会の統合
第4章 地域婦人会の記憶と行動――軍隊と地域の歴史的文脈から
第5章 戦後社会の戦友会支援ネットワーク――元軍人・自衛隊から政財界まで
終章 戦争をめぐるつながりとかたち

【著者プロフィール】
清水亮
1991年東京都新宿区生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(早稲田大学)。戦争博物館や語り部、自衛隊・旧軍と地域社会に関する研究にも取り組む。共著に、『社会の解読力〈歴史編〉』、『社会のなかの軍隊/軍隊という社会』、『なぜ戦争体験を継承するのか』、『社会学で読み解く文化遺産』。その他詳細は、https://researchmap.jp/smzr/

【インタビュアープロフィール】
佐藤彰宣
1989年、兵庫県神戸市生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、流通科学大学人間社会学部講師。専門は文化社会学、メディア史。著書に『〈趣味〉としての戦争』(創元社、2021年)、『スポーツ雑誌のメディア史』(勉誠出版、2018年)、共著に『「知覧」の誕生』(柏書房、2015年)、『趣味とジェンダー』(青弓社、2019年)、『近頃なぜか岡本喜八』(みずき書林、2020年)、『楽しみの技法』(ナカニシヤ出版、2021年)など。

Jun 21, 202228:22
第38回 小田ならさんインタビュー『〈伝統医学〉が創られるとき〜ベトナム医療政策史』

第38回 小田ならさんインタビュー『〈伝統医学〉が創られるとき〜ベトナム医療政策史』

今回は2022年に京都大学学術出版会より『〈伝統医学〉が創られるとき〜ベトナム医療政策史』を出版された小田ならさんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは藤本大士さんです。


【著作概要】

建国の理念を体現し,「われわれの医学」(ホー・チ・ミン)として息づくベトナムの伝統医療。しかし,その「北ベトナム」中心のナショナリズムの物語を離れて歴史を辿ると,さまざまな権力作用,概念のもつポリティクス,実際の治療行為が結実した複雑な「伝統医学」像が顕れる。独立・分断・統一のなかで,近代国家はいかに医療の知識を制度に組み込んだのか。それは担い手たちにとって,いかなる経験だったのか。公定の「伝統医学」をめぐるダイナミズムを描く。


【著者プロフィール】

小田なら

同志社大学文学部文化学科文化史学専攻卒業、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学、博士(地域研究)。現在、東京外国語大学世界言語社会教育センター講師。専門は東南アジア地域研究、ベトナム現代史。主要著作に、“Traditional Medicine in the Mekong Region,” From Mekong Commons to Mekong Community: An Interdisciplinary Approach to Transboundary Challenges (Routledge, 2021)、「ベトナムは『性的少数者に寛容』なのか?:同性婚と性別変更にみる政策変容と社会規範」『東南アジアと「LGBT」の政治:性的少数者をめぐって何が争われているのか』(明石書店、2021年)。

【インタビュアープロフィール】

藤本大士

2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。







Jun 07, 202231:11
第37回 山本かほりさんインタビュー『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』

第37回 山本かほりさんインタビュー『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』

今回は2022年に三一書房より『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』を出版された山本かほりさんをゲストにお迎えしました。


【著作概要】
本書は二部で構成される。第Ⅰ部では筆者がこの10年関わってきた朝鮮学校「支援」活動に参加しつつ、考察してきたことをまとめた。まず、朝鮮学校での営みを記述し、その学びが生徒たちにとってどのような意味を持つのかについて考察した。さらには、「朝鮮学校にとっての<祖国>とは何か」という問いに迫るべく、愛知朝鮮高校の生徒たちの朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への修学旅行の同行調査を行い、記録した。2週間にわたるフィールドワークを6度行い、かれらが朝鮮で何を見て、感じ、考え、そして、朝鮮をどのように捉えるのかについて考えた。そのうえで、朝鮮学校に「好意的」なリベラル言説が、朝鮮学校と朝鮮の関係を無化し、結果として他者理解の姿勢を手放してしまっていることについて批判的に考察した。

第Ⅱ部は、30年間にわたる在日朝鮮人の家族親族の生活史調査からの知見をまとめたものである。対象親族は3世世代に医師をはじめとする多くの高学歴者・専門職従事者を輩出した親族である。強固な家族ネットワークのもとで、日本社会を生き抜くために上昇移動を志向したかれらは、近年は一見すると日本社会に「同化」しているようにみえるが、それでもなお「民族」を完全に手放そうとはしないのはなぜなのかについて、その結婚観やチェサ(法事)観、朝鮮総聯との関係や朝鮮学校での経験などに関する語りを通じて考察した。

また、筆者が17回訪朝するなかで経験した朝鮮を紹介した8本のエッセイも掲載している。


【著者プロフィール】
山本かほり
1965年生まれ。愛知県立大学社会福祉学科教員(社会学)。著書に、谷富夫・稲月正・高畑幸編著 『社会再構築の挑戦〜地域・多様性・未来』(共著、ミネルヴァ書房 2020年)、有田伸・山本かほり・西原和久編著 『国際移動と移民政策〜日韓の事例と多文化主義再考』(共編著、国際社会学ブックレット2 東信堂 2016年)、平田雅己・菊地夏野編著 『ナゴヤ・ピース・ストーリーズ:ほんとうの平和を地域から』(共著、風媒社 2015年)等。

【インタビュアープロフィール】
李洪章
1982年生まれ。神戸学院大学現代社会学部教員。専門はエスニシティ、ナショナリティ、在日朝鮮人。著書に、『在日朝鮮人という民族経験〜個人に立脚した共同性の再考へ』(単著、生活書院 2016年)、『帝国のはざまを生きる〜交錯する国家、人の移動、アイデンティティ』(共編著、みずき書林 2022年)、『日常的実践の社会人間学〜都市・抵抗・共同性』(共著、山代印刷株式会社出版部 2021年)等。


May 17, 202224:39
第36回 濱田麻矢さんインタビュー『少女中国〜書かれた女学生と書く女学生の百年』

第36回 濱田麻矢さんインタビュー『少女中国〜書かれた女学生と書く女学生の百年』

BLA36回目のゲストは2021年に岩波書店より出版された『少女中国〜書かれた女学生と書く女学生の百年』の著者、濱田麻矢さんです。インタビュアーは田村容子さんです。

【著作概要】
国家増強のため、青年を重視しはじめた近代中国。「中国少年」や「新青年」は新しい中国を描くために欠かせない合言葉となり、1920年代以降、青年の成長を描く中国式のビルドゥングスロマンが盛んに書かれてゆくことになった。しかしこれらの「少年」や「青年」とは潜在的に男性を指していた。少女たちはある時には有為の人材となるべく叱咤激励され、またある時には家に戻って家族を後方支援するよう要請されたのである。

近代以降に開始された女子教育によって、少女たちは生家を離れ、自分で次の生き方を決めようと模索する時間を持てることになった。本書はさまざまな文学テクストに沿いながら、生家を離れた娘たちがどのように自分の着地点を見つけようとしたのか、また彼女たちの奮闘を男性作家がどのように眺めたのかについて、五四運動期直前から天安門事件後までの百年をたどりながら検証付けてゆく。

【ゲストプロフィール】
濱田麻矢
1969年、兵庫県生まれ。神戸大学大学院人文学研究科教授。京都大学大学院博士後期課程中途退学。著書に『漂泊の叙事〜一九四〇年代東アジアにおける分裂と接触』(共編、勉誠出版)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい〜乳房の図像と記憶』(共著、岩波書店)、訳書に『中国が愛を知ったころ〜張愛玲短篇選』(岩波書店)、『覚醒するシスターフッド』(共訳、河出書房新社)等。研究テーマは中国現代文学、特に民国期小説の性別表象に興味を持つ。目下の関心は文学テクストに描かれた「だめんず(不実な男性)」像と産み手としての女性の売買。

【インタビュアー】
田村容子
1975年、愛知県生まれ。北海道大学大学院文学研究院准教授。神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『男旦(おんながた)とモダンガール 二〇世紀中国における京劇の現代化』(単著、中国文庫)、『中国文学をつまみ食い』(共編著、ミネルヴァ書房)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい〜乳房の図像と記憶』(共著、岩波書店)等。研究テーマは中国演劇・文学。特に演劇における性別表象、プロパガンダ芸術にみられる身体表象に関心を持つ。

Apr 19, 202228:13
第35回 松方冬子さんインタビュー『洋学史研究事典』

第35回 松方冬子さんインタビュー『洋学史研究事典』

BLA35回目のゲストは2021年に思文閣出版より出版された『洋学史研究事典』の編者のお一人、松方冬子さんです。インタビュアーは『医学とキリスト教』の著者で、第28回のBLAゲストでもある藤本大士さんです。

【著作概要】
洋学史研究は、内外の史料に恵まれ、大きな蓄積を持つが、とくに地域洋学史研究の進展が内外に十分発信されていなかった。そこで、現状の打破と現段階までの研究成果を反映させた新たな研究指針となるような事典として『洋学史研究事典』が編集された。本事典では、洋学史研究を研究篇(グローバル)と地域篇(ローカル)に分けて執筆し、地域篇では47都道府県の洋学史研究の現状と成果を一堂にみることが初めてできるようになった。研究篇では、人・モノ・情報の交流を意識して、洋学研究に重要な人物・項目を網羅したほか、従来扱われなかった項目もあげた。通覧することで、様々な国際交流があったことがみえてくるだろう。

【ゲストプロフィール】
松方冬子
1993年、東京大学大学大学院(国史学専攻)単位取得退学。東京大学史料編纂所助手、同助教授、同准教授を経て、同教授。博士(文学)(2008年、東京大学)。主要著作に、松方冬子『オランダ風説書と近世日本』(東京大学出版会、2007年)、松方冬子『オランダ風説書:「鎖国」日本に語られた「世界」』(中公新書、2010年)、松方冬子ほか編、日蘭交渉史研究会訳『一九世紀のオランダ商館』(上・下)(東京大学出版会、2021年)、松方冬子編『オランダ語史料入門:日本史を複眼的にみるために』(東京大学出版会、2022年)など。

【インタビュアー】
藤本大士
2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。

Apr 05, 202219:58
第34回 熊本理抄さんインタビュー『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』

第34回 熊本理抄さんインタビュー『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』

今回は2020年に解放出版社より『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』を出版されました熊本理抄さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。

【本書概要】
本書は三部から構成される。第一は、部落女性90人の聞き取り分析だ。部落民であること、女性であることを部落女性がいかに認識し位置づけているか、その認識になにがどのように影響しているか、その位置づけをどう変容しようとしているかを明らかにする。第二は、部落解放運動の資料分析である。部落解放運動が部落女性の主体性形成をいかに支援あるいは阻害したのか、そのなかでみずからの主体性形成を追究しつづける部落女性の思考と実践はいかなるものだったのかを考察する。第三は、ブラック・フェミニズム思想と国際人権言説が提起するインターセクショナリティ概念と部落女性が解放運動で定着させた複合差別概念の共通性と相違性を見出し、それら概念の理論的、実践的有効性を検証する。

【著者プロフィール】
熊本理抄
1972年福岡県生まれ。近畿大学人権問題研究所教員。博士(人間科学)。
幼少期を被差別部落で過ごし、部落解放運動に参加する。留学先で先住民族や性的マイノリティの人権運動に出会ったことをきっかけに、大学卒業後、反差別国際運動(IMADR)で働く。反差別国際運動は、世界中で差別と闘っている人たちとつながりたいという思いから、1988年に部落解放運動など国内外のマイノリティ当事者団体がつくった国際人権NGO。2002年4月から現職。現在は、被差別部落女性の解放運動およびインドやネパールのダリット女性による解放運動、世系に基づく差別とジェンダーの複合差別、レイシズム・スタディーズとダリット・スタディーズの連携、教育と福祉のまちづくりを研究テーマとしている。

【インタビュアープロフィール】
鶴見太郎
1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)
専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)

Mar 22, 202239:51
第33回 土屋敦さんインタビュー『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』

第33回 土屋敦さんインタビュー『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』

【著作概要】
第2次世界大戦で親を失った戦災孤児・戦争孤児は、戦後70年にあたる2015年まで多くを語らず、「沈黙の70年」を生きてきた。彼・彼女たちはなぜ沈黙してきたのか。これまでの人生で何を経験してきたのか。当事者たちにロングインタビューをおこない、これまで歩んだ生活実態を明らかにする。

【著者プロフィール】
土屋敦
関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、福祉社会学、子ども社会学、家族社会学。著書に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(ともに勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。

【インタビュアープロフィール】
三品拓人
日本学術振興会特別研究員(PD)。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。家族社会学、子ども社会学。論文に「児童養護施設で暮らす小学生男子たちにとっての〈友人〉〜子ども同士の関係の質的な違いに着目して」(『ソシオロジ』64巻3号)、「児童養護施設における子ども間の身体的な暴力の社会学的検討〜施設内における「男子性」の凝縮に着目して」(『フォーラム現代社会学』18号)、「児童養護施設に住まう子ども間の「差」と職員の葛藤〜子どもの多層性に着眼して」(『社会的養護研究』1号)など。

Mar 15, 202229:24
第32回 石田智恵さんインタビュー『同定の政治、転覆する声〜アルゼンチンの「失踪者」と日系人』

第32回 石田智恵さんインタビュー『同定の政治、転覆する声〜アルゼンチンの「失踪者」と日系人』

【著作概要】
1970年代、アルゼンチン軍事政権による反政府活動家の弾圧が生み出した大量の「失踪者」、その中には日本人移民の子どもたちがいた—死体なき「強制失踪」という国家テロリズムと、日常的な人種主義、両者を転覆しようとする、日系失踪者とその親族たちの闘いを文化人類学的視点から描く。

【著者プロフィール】
石田智恵
早稲田大学法学学術院准教授。立命館大学大学院先端総合学術研究科修了。アルゼンチンにおけるナショナリティ/人種に関する人類学的研究。近年は20世紀後半独裁体制下の国家暴力に関する「記憶」、「正義」を問う市民運動に関心を持ち、ブエノスアイレスで調査をしている。共編著に『異貌の同時代〜人類・学・の外へ』(以文社、2017年、収録論文「個人の登録・消去・回復〜アルゼンチンと同一性の問題」)など。

【インタビュアープロフィール】
北田依利
米国ラトガーズ大学・歴史学研究科・博士課程在籍。歴史学、とくに米国内およびアジア太平洋地域のジェンダー/セクシュアリティ・人種と、脱植民地主義的な歴史叙述の方法論を勉強している。主要業績に『多様性を読み解くために』(エスニック・マイノリティ研究会編、2020年)、“Japanese Mixed-Race Children in the Philippines, Then and Now!” (Immigration and Ethnic History Society Online, 2021)、などがある。シノドスやWashington Postにも寄稿している。

Mar 08, 202240:42
第31回 坂井めぐみさんインタビュー『「患者」の生成と変容〜日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』

第31回 坂井めぐみさんインタビュー『「患者」の生成と変容〜日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』

今回は2019年、晃洋書房より出版された『「患者」の生成と変容〜日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』の著者坂井めぐみさんがゲストです。研究の背景やご自身の経験、さらにはご自身の出身である立命館大学先端総合学術研究科の環境に至るまで、この本の魅力を語っていただいています。インタビュアーは、以前、ご自身の著書も語っていただいたことのある藤本大士さんです。


【著作概要】
幕末期には、治ることのない身体として見放されていた脊髄損傷者は、戦後の軍事医療の一環で「患者」として扱われるようになり、その後リハビリを通した社会復帰が望まれるようになった。そして今、再生医療の進展により、脊髄損傷者に新たな視線が注がれている。社会情勢、医療制度、患者の生活などから「患者像」の変容を示した医療の歴史をたどる。

【著者プロフィール】
坂井めぐみ
2009年、立命館大学産業社会学部卒業。一般企業勤務を経て、2018年、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了、博士(学術)。現在、立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は医学史。主要著作に、『「患者」の生成と変容:日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』(晃洋書房、2019年)。共著に、​​『現代のバベルの塔:反オリンピック・反万博』(新教出版社、2020年)。

【インタビュアープロフィール】
藤本大士
2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。

Mar 01, 202218:26
第30回 謝花直美さんインタビュー『戦後沖縄と復興の「異音」〜米軍占領下 復興を求めた人々の生存と希望』

第30回 謝花直美さんインタビュー『戦後沖縄と復興の「異音」〜米軍占領下 復興を求めた人々の生存と希望』

今回は『〈戦後沖縄と復興の「異音」』を出版された、沖縄大学地域研究所特別研究員で、沖縄タイムスで記者をされている謝花直美さんにゲストとしてお越しいただきました。インタビュアーは松田ヒロ子さん。

【著作概要】
沖縄の人々は沖縄戦から米軍占領下の戦後にかけて、戦場での彷徨・避難、収容所への移動から帰還、さらに海外からの引揚げなど、生活を破壊され移動に次ぐ移動を強いられた。本書は、これまでの歴史叙述が取りこぼしていた人々の生活の場(生活圏)に注目し、米軍占領下の復興というものがいかなるものであり、ある復興が別の復興を妨げてしまうという「復興の異音」に耳を傾けながら、戦後沖縄の原風景を生身の人間の姿に即して描き出す。巧妙に占領への協力が作り出され、窒息しそうな社会の中でも、希望の兆しを人々は生活の場からいかにして創り出していったのか。

【著者プロフィール】
謝花直美
1962年生まれ。沖縄タイムス記者・沖縄大学地域研究所特別研究員

【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学専任教員。オーストラリア国立大学Ph.D (History)

Feb 22, 202232:16
第33回 土屋敦さんインタビュー『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』

第33回 土屋敦さんインタビュー『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』

【著作概要】
第2次世界大戦で親を失った戦災孤児・戦争孤児は、戦後70年にあたる2015年まで多くを語らず、「沈黙の70年」を生きてきた。彼・彼女たちはなぜ沈黙してきたのか。これまでの人生で何を経験してきたのか。当事者たちにロングインタビューをおこない、これまで歩んだ生活実態を明らかにする。

【著者プロフィール】
土屋敦
関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、福祉社会学、子ども社会学、家族社会学。著書に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(ともに勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。

【インタビュアープロフィール】
三品拓人
日本学術振興会特別研究員(PD)。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。家族社会学、子ども社会学。論文に「児童養護施設で暮らす小学生男子たちにとっての〈友人〉〜子ども同士の関係の質的な違いに着目して」(『ソシオロジ』64巻3号)、「児童養護施設における子ども間の身体的な暴力の社会学的検討〜施設内における「男子性」の凝縮に着目して」(『フォーラム現代社会学』18号)、「児童養護施設に住まう子ども間の「差」と職員の葛藤〜子どもの多層性に着眼して」(『社会的養護研究』1号)など。

Feb 15, 202229:24
第29回 佐藤彰宣さんインタビュー『〈趣味〉としての戦争〜戦記雑誌「丸」の文化史』

第29回 佐藤彰宣さんインタビュー『〈趣味〉としての戦争〜戦記雑誌「丸」の文化史』

2021年に創元社より『〈趣味〉としての戦争〜戦記雑誌「丸」の文化史』を出版された歴史学者の佐藤彰宣にお越しいただき、その著作について語っていただきました。インタビュアーは松田ヒロ子さん。

【著作概要】
「『丸』を読まずして、平和を語るなかれ!」を標題に掲げた戦記雑誌『丸』は、ミリタリー雑誌界のなかでも最も歴史のある長寿雑誌である。敗戦後の日本社会において、人々は戦争や軍事、平和にどのように触れてきたのか。政治や教育といった硬派な領域とは異なる、趣味としての戦争・平和認識の変遷を、戦記雑誌の誌面から読み解く。

【著者プロフィール】
佐藤彰宣
1989年、兵庫県神戸市生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、流通科学大学人間社会学部講師。専門は文化社会学、メディア史。著書に『スポーツ雑誌のメディア史』(勉誠出版、2018年)、共著に『「知覧」の誕生』(柏書房、2015年)、『趣味とジェンダー』(青弓社、2019年)、『近頃なぜか岡本喜八』(みずき書林、2020年)、『楽しみの技法』(ナカニシヤ出版、2021年)など。

【インタビュアープロフィール】
松田ヒロ子
神戸学院大学教員。オーストラリア国立大学Ph.D
経歴の詳細→
http://www.researchmap.jp/hirokomatsuda


Feb 01, 202225:26
第28回 藤本大士さんインタビュー『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』

第28回 藤本大士さんインタビュー『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』

2021年8月に法政大学出版局より『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』を出版された歴史学者の藤本大士にお越しいただき、その著作について語っていただきました。各種資料を用いて、幕末からアジア太平洋戦争後に至るまで日本におけるアメリカ人医療宣教師の活動と変遷を描いた作品です。インタビュアーは石井紀子さん。

【著作概要】
幕末からアジア・太平洋戦争後に至るまで、多くの医師資格をもつプロテスタント宣教師がアメリカより日本に派遣され、医療を通じて人々にキリスト教を広めていった。ドイツの強い影響下にあった明治期以降の日本医学界において、アメリカ人医療宣教師たちはいかにその活動を拡大していったか。日々の診療のみならず、医学・看護教育、慈善事業・公衆衛生事業など多岐にわたる彼らの活動とその変遷を検証する。


【著者プロフィール】
藤本大士
1987年生まれ、福岡県鞍手町出身。2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(DC1)、イェール大学、ハーバード・イェンチン研究所、ベルリン自由大学フリードリッヒ・マイネッケ研究所、シンガポール国立大学など客員研究員、名古屋経済大学非常勤講師を経て、2021年4月より日本学術振興会特別研究員(PD)(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。主要著作に、“Women, Missionaries, and Medical Professions: The History of Overseas Female Students in Meiji Japan,” in Meiji Japan in Global History, ed. Catherine L. Phipps (Oxford and New York: Routledge, 2021) など。


【インタビュアープロフィール】
石井紀子
上智大学外国語学部教授。Ph.D.(ジョージ・ワシントン大学)。専門はアメリカ女性史、社会史、日米関係史、トランスナショナル・ヒストリー(女性史)など。著書にAmerican Women Missionaries at Kobe College, 1873-1909: New Dimensions in Gender (Routledge, 2004)。論文に “Imagining an Anti-Racist Cosmopolitanism: Localization, Imperialism and Transnational Women’s Activism in Interwar Japan,” Journal of Colonialism and Colonial History 22:3 (Winter 2021),  「東アジアの女性宣教師とグローバル・ヒストリー」上智大学アメリカ・カナダ研究所他編『グローバル・ヒストリーズ「ナショナル」を越えて』上智大学出版、2018年, “Difficult Conversations across Religions, Race and Empires: American Women Missionaries and Japanese Christian Women during the 1930s and 1940s,” The Journal of American-East Asian Relations 24:4 (2017) など。 


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Jan 18, 202234:26
第27回 元森絵里子さんインタビュー『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』

第27回 元森絵里子さんインタビュー『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』

青弓社より『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』を出版された元森絵里子さんをお迎えし、著書についてお話しいただきました。インタビュアーは坪井瞳さん。

【著作概要】
フィリップ・アリエス『〈子供〉の誕生』は、子どもを保護し教育すべきと見なす感覚が歴史的なものだと明らかにした。戦前期日本の年少者の生とそれを取り巻く言説や制度を掘り起こし、「誕生」という単純な図式では捉えられない、多様な子どもの近代に光を当てる


【著者プロフィール】
元森絵里子
明治学院大学社会学部教授。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。歴史社会学、子ども社会学。著書に『「子ども」語りの社会学』(勁草書房、2009年)、『語られない「子ども」の近代』(勁草書房、2009年)、共編著に『子どもへの視角』(新曜社、2020年)、訳書にアラン・プラウト『これからの子ども社会学』(新曜社、2017年)など。

【インタビュアープロフィール】
坪井瞳
東京成徳大学子ども学部准教授。大妻女子大学大学院家政学研究科博士後期課程単位取得退学。幼児教育学、子ども社会学、教育社会学。共著に『保育・幼児教育・子ども家庭福祉辞典』(ミネルヴァ書房、2021年)、『児童相談所の役割と課題』(東京大学出版会、2020年)、『子どもへの視角』(新曜社、2020年)、『子どもの生活を支える家庭支援論』(ミネルヴァ書房、2014年)、など。

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Jan 04, 202258:33
第26回 岡崎弘樹さんインタビュー『アラブ近代思想家の専制批判〜オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』

第26回 岡崎弘樹さんインタビュー『アラブ近代思想家の専制批判〜オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』

東京大学出版会より『アラブ近代思想家の専制批判〜オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』を出版された岡崎弘樹さんをお迎えし、著書についてお話しいただきました。インタビュアーは鶴見太郎さん。

【著作概要】
アラブ・イスラームにおける専制主義をめぐってナフダ(復興)第二世代と呼ばれる思想家たちは,近代を模索するアラブ世界をいかにとらえていたのか。自由や民主主義を希求し,現在にも連なる開かれた知を求める思想の展開を明らかにする。

【著者プロフィール】
岡崎弘樹
1975年生まれ。専門は、アラブ近代政治思想、および現代シリア文化研究。2003年から2009年にかけて仏研究所研究員や日本大使館の政務アタッシェとしてダマスカスに滞在。元政治囚の作家たちと付き合う中で、彼らの生命力と知的誠実さに感銘するとともに、19世紀以来のアラブ人思想家による自己批判の精神史の解明を志す。2016年にパリ第3大学アラブ研究科で社会学博士号を取得。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学や大阪大学ほかで非常勤講師。著書に『アラブ近代思想家の専制批判―オリエンタリズムと〈裏返しのオリエンタリズム〉の間』(東京大学出版会、2021)、伊藤邦武ほか編集『世界哲学史VI 近代① 啓蒙と人間感情論』(第8章「イスラームの啓蒙思想」を分担執筆、筑摩書房、2020)。訳書にヤシーン・ハージュ・サーレハ著『シリア獄中獄外』(みすず書房、2020)など。

【インタビュアープロフィール】
鶴見太郎
1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)
専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)


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Dec 21, 202131:59