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アワノトモキの「読書の時間」

アワノトモキの「読書の時間」

By 粟野友樹,星野良太,Work-Teller

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに
独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。

扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。
20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から
今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。


【profile】
リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者
累計約600本以上の記事を監修
next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/

筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと
20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。

◎注目している分野
・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤
・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性
・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育
・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用
・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線
※上記分野のお話が多くなると思います。


★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、
こちらまでDMをお寄せください。
twitter.com/Tomoki_Awano
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ep25-2「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

アワノトモキの「読書の時間」May 10, 2023

00:00
38:48
ep37-2「ふつうの相談」(東畑開人さん)-相対化してお互いを理解し合う、球体の臨床学、ふつうの相談

ep37-2「ふつうの相談」(東畑開人さん)-相対化してお互いを理解し合う、球体の臨床学、ふつうの相談

37冊目「ふつうの相談」、著者は東畑開人さん。

⁠https://amzn.asia/d/5Aqtjix⁠


粟野さんではなく星野による読書の時間2回目です。


今回から3回にわたり、下記キーワードに沿って読書の感想をお伝えします。


【37冊目「普通の相談」のキーワード】

1.相対化してお互いを理解し合うこと

2.星野は預かりたい

3.横道の意義とは?



今回は「1.相対化してお互いを理解し合うこと」についてです。

まずは星野なりに、本の概要をまとめていこうと試みました。

シンプルに説明できてはおりませんが、皆さまの読書の助けになりましたら…!!



世の中には、専門家ではなく名もなき方々による心のケアがたくさんあります。

研究などで扱われることはなくとも、実際に人を助けている。

そのケア活動を「ふつうの相談」と名付け、あらゆるケア活動の中心に置いています。

東畑さん自身も、カウンセリングルームへの来訪者に対して精神分析的アプローチではなく、「ふつうの相談」で対応することもあるようです。


「ふつうの相談」では、各人がその日常から得た「世間知」と相談者に対する周辺情報に対する「熟知性」を活用します。


他にも、無数の「ふつうの相談」から抽出された理論をまとめた「学派知」、ケアが行われている現場ならではのノウハウ「現場知」があります。


いわば、それぞれの立場による偏りが存在し、それにより「心のケア」界隈が協働しづらくなっているのでは?という東畑さんの課題感がありました。


そこで東畑さんはこの本の中で「球体の臨床学」という捉え方を提示したのです。

球体の中心に「ふつうの相談」を置き、「学派知」・「専門知」・「世間知」・「現場知」などをそれぞれ球体上に配置できる捉え方です。

これにより、各自が相互を相対的に認識できるので、お互いの理解が進み、協働に進めるのではないか、というアイデアです。


この捉え方は、心のケア界隈だけでなく、他の世界すべてに対して活かせそうだと感じました。

普段、意識していないと自分の視点を中心に考えてしまいがちですが、ある種メタ視点で捉えることの重要性を再認識できました。



…と、まずはある程度本の趣旨に沿ったお話からさせていただきました。

次回からはもう少し星野の興味をベースにお話していきたいと思います。


May 16, 202425:51
ep37-1 「ふつうの相談」(東畑開人さん)-星野良太の読書の時間、心のケア世界のナウシカ、大仏次郎賞誤読事件

ep37-1 「ふつうの相談」(東畑開人さん)-星野良太の読書の時間、心のケア世界のナウシカ、大仏次郎賞誤読事件

37冊目は、粟野さんではなく星野による読書の時間です。

扱う本は「ふつうの相談」、著者は東畑開人さん。

https://amzn.asia/d/5Aqtjix


白金高輪カウンセリングルームを主催されている方です。


2024年の紀伊国屋人文大賞で16位になっていたのを見て、興味を持ち読んだのでした。

大学時代にカウンセリングを学ぼうとしていた身としては、再度今の業界動向を知ってみたいという気持ちがあり、この機会に手に取った次第です。


読後のファーストインプレッションは「読者へのケアがある本だな」という印象。

また、本自体の構成に意図があり、そこに惹かれました。


実際本がかかれた背景としては、心のケアに関わる方々をつなぐための新しい相対的な見方を提示しよう、というもの。

いわば心のケア世界のナウシカです。

失われた人と大地の絆を結びなおそうとされています。


本を読みながら感じたことを、次回以降、下記3つのキーワードに沿ってお話していこうと思います。


1.相対化してお互いを理解し合うこと

2.星野は預かりたい

3.横道の意義とは?


------

※ちなみに途中、「大佛次郎賞」を「だいぶつじろう」と呼んでいる個所がありますが、正しくは「おさらぎじろう」ですね。無知をぶっこきまして大変失礼いたしました!皆さまお気を付けを!

May 10, 202420:25
ep36-5 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-小さな表現者たち・誤配と連帯・おぼっちゃまくん-

ep36-5 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-小さな表現者たち・誤配と連帯・おぼっちゃまくん-

読書の時間36冊目、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、

「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」

を扱う5話目、こぼれ話の回。


www.amazon.co.jp/dp/4334100910


「日本企業が逆襲」するにあたって重要となる、コンセプト化・文脈依存度の話から、

本・ZINEを作る個人が増えている今いま、文芸フリマの盛況ぶり(東京は2024年5月で38回目)、

星野さんが感銘を受けた「陶器市@栃木県・益子」でのストーリーを感じる陶器との出会い、

などなど・・・


より小さな範囲の自分・自分たちを「表現する」流れが来ているのではないか?


小さな、もしかしたら取るに足らないかもしれない表現と、

それに偶然出会った受け手との間にこそ、

何か大切なものがあるのかも知れません。


益子の陶器市での陶器との出会いを熱く語る星野さんの話を聴きながら、

小さな表現者である作陶者やそれを代弁するお店の方、

受け手の星野さんの間に小さいけれど、確かなつながり「連帯」が生じている。


ふとそこから連想するのは、

読書の時間31冊目で扱った、東浩紀さん「「観光客の哲学 増強版」の、

「誤配・観光・憐れみ」。

「分断ではなく連帯」を社会に作っていく上で重要なキーワードでした。

www.amazon.co.jp/dp/4907188498


ep31-1「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-訂正可能性・偶然性/無責任性/曖昧性・人間っぽさ-

https://spotifyanchor-web.app.link/e/fz7Z1B9t5Ib


それはつまり、偉い誰かに「皆、連帯しましょう」と掛け声をかけられても、内心は白けてしまう。

けれども、たまたま偶然の出会いによって生じてしまった愛着や思い出からは、

簡単には消えない連帯が生まれるのではないだろうか、というような話でした。


そんな話もしながら、

終盤はドラゴンボールの作者、鳥山明さんの訃報に触れた世界中からの

リスペクト溢れる様々な反応からまざまざと感じる、漫画の持つ影響力の話へ。


作者の超個人的な想いやイメージからスタートした作品が、勝手に、そして何ら反発をされずに世界中へ広がっていく。

(逆襲とか、売り込むとか、他国の文化に自国が乗っ取られるとか、そういった発想が生まれることもなく)


最後はこぼれ話らしく、コロコロコミックで1990年前後に連載されていた、昭和の名作漫画「おぼっちゃまくん(小林よしのりさん作)」へ着地。


経営・グローバル競争から、陶器、おぼっちゃまくんまで。


書籍の内容をそのまま扱うのではなく、

ある程度は実直に読み解きながらも、

同時に受け手の我々が誤読をしつつ、発想を展開していく。

その中にこそ、その書籍との忘れがたいつながり・連帯が生じたり、

聴いていただいている皆さんと「アワノトモキの読書の時間」との何らかのつながりになるのかもしれません。


***********************************

さて、次回37冊目は星野さん選書「ホシノリョウタの読書の時間」です。


どんな本になるのかも含め、楽しみにお待ちいただければと思っています。

Apr 30, 202419:04
ep36-4 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-幼馴染とアイドル・強い文脈と弱い文脈・開かれる儚さ-

ep36-4 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-幼馴染とアイドル・強い文脈と弱い文脈・開かれる儚さ-

読書の時間36冊目、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」を扱う4話目。

www.amazon.co.jp/dp/4334100910


キーワード3つ目は、

「文脈依存度を下げるべきなのか」


『日本”式”経営の逆襲』を企図する著者としては、

日本の優れた経営技術(ノウハウ)をグローバルに輸出していきたい。


それはつまり、

日本企業の現場で日々行われるノウハウの抽象度を上げて=文脈依存度を下げ、コンセプト化し、

「サムライ・スピリット」

「wabi-sabi(侘び寂び)」

のような日本風のプロダクト名をつけ、

世界に広め、日本企業・日本式の実力を知らしめる、ということだと解釈しました。


「確かに!元々いい経営技術を持っている日本企業が同じものを逆輸入させられて、良さを失う状態は変えたいよね」とまさに正しい方向性だと思う一方で、

私(粟野)としては、強いプロダクトをぶつけ合ってシェア競争・輸出と逆輸入をやり合う、

永遠に続く戦いの円環の中に入っていくだけのような、

そんな印象も受けたというのが正直な感想です。


同時に、星野さん曰くの「世に開かれる故の儚さ」という必然性にも思いが至ります。


文脈依存度を下げてコンセプト化した経営技術プロダクトを世界に出す、ということは、

つまり同時に他国(他者)にそのコンセプトなりを書き換えられる・再解釈される可能性に開かれるということ。


「仲の良かった幼馴染が、人気アイドルになり、遠い存在になってしまった。

もう俺の知ってる幼馴染じゃない・・・。嬉しいけれど、寂しい。」


その寂しさに似た儚さを感じて違和感を持った私がいたのかもしれませんが、最近流行りのアメリカの哲学者・リチャード・ローティ的にみると、「再解釈され続けることに開かれる」という態度が必要なのかもしれません。

一度出したプロダクトがずっと勝ち続けるという不可能な期待はしない。

幼馴染もステージや環境によって、変化していくことが自然である。


※この文脈(コンテクスト)やコンセプトの話にご興味ある方は、ぜひTAKRAM・渡邉康太郎さんの「コンテクスト デザイン」の”強い文脈・弱い文脈”の話もご覧いただけると面白いかと思います。

https://aoyamabc.jp/products/context-design


読書の時間 ep01-1/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/ep01-1-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3-takram%E6%B8%A1%E9%82%89%E5%BA%B7%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%81%95%E3%82%93/id1574537184?i=1000527397958


さて、次回は36冊目の5話目、こぼれ話の回になります。

ざっくばらんな展開になると思いますが、次回もお聴きいただければと思っています。

Apr 23, 202414:52
ep36-3 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-カイゼン・オープンイノベーション・ティール組織-

ep36-3 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-カイゼン・オープンイノベーション・ティール組織-

引き続き、読書の時間36冊目は、

慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、

日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」を扱う3話目。

www.amazon.co.jp/dp/4334100910

キーワード2つ目は、

「逆輸入される日本の経営技術」

まず著者は、曖昧模糊とした解釈をされがちな「経営」という言葉を、

3つに分解した理解を提案します。


・経営成績・・・株式時価総額、売上高、など

・経営学・・・・世の主流とされるアメリカ式経営学、ドイツ経営学など

・経営技術・・・企業経営の現場にある技術、ノウハウ、フレームワークなど


もし「経営」を上記3つを分解せずに解釈している場合、


「日本企業の時価総額ランキングは、失われた30年で凋落した。だから日本企業はだめだ」

「経営学の最先端はアメリカで、日本の経営学は遅れている。キャッチアップが必要だ」

「◯◯というGAFAMの最新フレームワークを導入して、日本企業の経営をアップデートしなければならない」


といった表現をされながら、日本企業の劣位が解説される場面が多いように感じます。


しかし、著者曰く、「経営」を3つに分解して捉え直した時、

こと経営技術に関しては日本企業にもともと素晴らしいものがある。

なのに、同じもの(経営技術)をカタカナ語に変換されただけで欧米から逆輸入してしまうことで、

本来持っていた日本企業の経営技術が消され、

日本企業の弱体化を招いているのではないか、と指摘されます。


その具体例として、

両利きの経営、オープンイノベーション、ティール組織、リーン・スタートアップ、

アジャイル開発、スクラム開発、ボトルネック、コンカレント・エンジニアリングなどが

本書では挙げられています。


この読書の時間では、そのうち3つ経営技術用語を取り上げました。


▼両利きの経営(既存事業=知の深化+新規事業=知の探索、その両方やっていくことが大事ですよ)


素朴な疑問;

トヨタ生産方式のカイゼンのように、デンソーが既存の生産ラインを動かしながらも、

新しく製造指示書(カンバン)を効率的に処理する新しい方法として「QRコード(クイック・レスポンス)」を

生み出したように、日本企業でも普通にやっていることなのでは?

改めて、欧米から「両利きの経営が大事ですよ」と言われて、改めてやることなのだろうか。


▼オープンイノベーション(企業の内と外の技術をうまく活用して新しいよきものを生み出していきましょうね)


素朴な疑問:

日本企業の「ケイレツ」は、1企業で製品を完成するのではなく、複数の企業がそれぞれの知見を活かしており、

オープンイノベーションのわかりやすい事例として、ずっと存在しつづけているのではないか。

今更、カタカナ語で啓蒙される必要は無いのでは?


▼ティール組織(組織が1つの生命体のように自然に機能し、人がその人全体として受け入れられている)


素朴な疑問:

(問題箇所はありつつも)日本企業の特徴とされた、終身雇用・年功序列・企業別労働組合だったり、

メンバーシップ型雇用(職務、場所、時間が無限定だと、ジョブ型雇用の対で批判されましたが)だったり、

日本企業はもともと、ティール組織の多くの要素を自然に持っていたのでは?

(読書の時間4冊目「日本社会の仕組み/小熊英二」でも扱ったように)

日本企業といっても、大企業以外は終身雇用ではなかったにせよ、

その企業に入って、自分も家族などもまとめて面倒を見てもらえる(ホールネス)、

だからこそ安心して仲間に貢献しようと仕事に取り組め、

個人の損得勘定だけではない取り組みもできるのではないか。

Ep04-1「日本社会のしくみ」 https://podcasters.spotify.com/pod/show/tomoki-readingtimes/episodes/Ep04-1-e18j4sv/a-a6m5e4v

www.amazon.co.jp/dp/4065154294

私(粟野)は、まさにこういったカタカナ経営ワードになんとなく新しさを感じてしまい、

「逆輸入」されていることに無自覚な人間でした。


著者も仰るように、「だから日本企業は過去のやり方にもどればいいんだ」とは違いますが、

ワーディングがかっこいいしなんとなく新しくて良さそう

経営成績が圧倒的に高い欧米企業がやっていることだからいいに決まっている

などのミーハーな感覚で、それを取り入れたり、周囲に喧伝したりすることは

全くよろしく無いことだなと強く感じます。


収録では、時間制限も気にしながらやや駆け足で興奮気味にまくし立ててしまいましたが、

普段何気なく使っている言葉を、違った側面から見てみる機会になればと思っております。


次回、36冊目の4話目は、キーワード3つ目

「文脈依存度を下げるべきなのか」を扱っていきます。

それではまたお会いできることを楽しみにしています。

Apr 17, 202423:01
ep36-2 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-デフレとインフレ・時代のメカニズム・カネで人材を釣る-

ep36-2 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-デフレとインフレ・時代のメカニズム・カネで人材を釣る-

読書の時間36冊目は、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」です。


なお、この36冊目の2話目から放送形態を変更し、

1キーワード=1話、というスタイルになります。

これまではキーワード3つを一気に1話分として放送していたので、45分以上の長時間放送回も多数・・・。


これからは、1話15分程度に短縮化されるので、

よりご負担なく、より身近にお聴きいただけるのでは、と思っております。


さて、本題のキーワード1つ目は「カネ優位・ヒト軽視のデフレ時代」です。


戦後から続いた「インフレの時代=カネの価値が低く、ヒトに価値がある」状況から、

平成のあたりを転換点に「デフレ=カネの価値が高く、人の価値が相対的に下がる」流れになり、そして現在に至る日本。


「昭和の時代は、今みたいに物質的に豊かではなく大変だったけど、みんな仕事を一生懸命やって会社に貢献し、会社も家族のような存在で従業員に報いてくれた。いい時代だった。


それに比べて、今の時代は賃金は上がらないし、会社は従業員の面倒を見てくれないし、非正規労働の問題もある。

やれキャリアオーナーシップだ、リスキリングだ、雇用の流動性を上げるべきだ、人的資本経営だとか、生産性・投資対効果といったカネ勘定が物差しになり、ヒトを大事にしない世の中になった」


ちょっと極端な表現をしてみましたが、

こういった、ある種の本音的な感想を持つ方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。


こう考えていくと、一般的に日本型雇用の特徴として一時期称賛された、終身雇用・年功序列・企業別労働組合、

それらさえも、日本企業の経営者がヒトを大事にしようとして取り組んだからそうなったというよりも、「カネよりヒトの価値が高い」から、力学的にそうせざるを得なかっただけなのではないか。


1990年代に規制緩和で非正規雇用が拡大したことも、一言で言ってしまえば、「ヒトを大事にするより、カネを重視したほうが合理的だよね」と状況変化に対応しただけなのかもしれません。


多くの人には当たり前の知識なのかもしれませんが、

我々的には未知の情報であり、時代の裏側にあるメカニズムの1つを教えていただいた、そんな学び多き内容でした。


次回、36冊目の3話目は、キーワードの2つ目「逆輸入される日本の経営技術」を扱います。

「経営技術」という、聞き慣れない用語・概念も出てきますが、ぜひ楽しみにしていただければと思っています。

Apr 09, 202416:18
ep36-1 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-日本式・カネかヒトか・構造改革-

ep36-1 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-日本式・カネかヒトか・構造改革-

読書の時間36冊目は、やや趣向を変えてビジネス・経営よりの本をチョイスしました。

「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」という、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書です。

www.amazon.co.jp/dp/4334100910


1話目は、岩尾俊兵さんの30数年の数奇な人生に少し触れていきます。

幼少期の名門経営者一族としての生活から、中卒自衛官・各種アルバイト生活を経て大検を取得。最終的には東京大学初の経営学博士号まで、といった波乱万丈な歩み。興味深い方です。


従来と異なる選書のきっかけは、岩尾俊兵さんのネットの記事を見かけたこと。

「経営者が、ヒトを大事にするか、カネを重視するか。それは経済環境に多分に影響される」

という話で、金融・経済に疎い粟野は、なるほど!と、また1つ新たな視点を得た感がありました。


さて、Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Tellerの放送形態ですが、36冊目から少しだけ構造改革を行っていきます。

これまではキーワード3つを1話にまとめて放送していましたが、時間が40~50分と長くなりがち。

そこで、1キーワードで1話放送に分割し、

1冊の本で全5話というスタイルにさせていただきます。

(少しでもお聴きいただいている方の負担やハードルが下がればと思っています)


この新しいスタイルで放送する、

2話目~5話目で取り上げるキーワードは以下の3つになります。


1.カネ優位・ヒト軽視のデフレ時代

2.逆輸入される日本の経営技術

3.文脈依存度を下げるべきなのか


それでは、読書の時間 36冊目の2話目でもお会いできることを楽しみにしています。

Apr 02, 202415:38
ep35-3 「共感という病」(永井陽右さん)-学びの時差・山伏修行と直感・more than language-

ep35-3 「共感という病」(永井陽右さん)-学びの時差・山伏修行と直感・more than language-

読書の時間35冊目 「共感という病」(永井陽右さん)の3週目は、

本から得た着想を元にフリートークを展開するこぼれ話の回。


永井陽右さんと内田樹さんの対談を勝手な推測にしながら、

学びには、教える側と教わる側の間にある様々な格差があるのではないか。

それは時差だったり、視座の違いだったり。


粟野個人的には、10代・20代のときによく理解できなかった先人のアドバイスの、言わんとすることが40代になってなんとなくわかる、ことがあります。


また、読書の時間34冊目「自由が上演される(渡辺健一朗さん)に続き、

西洋風の研修などではない、日本独自の手法という話の流れから、

粟野が2023年夏に参加した山伏修行に関する話題へ。


言語、時間、ネット、世俗とのつながり、スケジュールなどを絶った環境下で、

論理や感情のみの生き方ではなく、感じること・直感を取り戻す場でもありました。

more than language


最後は、星野さんから「社会貢献を当たり前に実行する企業」を紹介してもらいながら、

「満員電車で目の前に小学生がいたら、どうする?席を譲る?」という問いをいただきました。

不肖・粟野は(論理・感情で判断して)「席を譲らないかもしれない」と回答してしまいましたが、

ここはもちろん、惻隠の情を発揮し、自然な直感の発露の結果として、気づいたら勝手に小学生に席を譲るなどの対応ができるようになりたいものです。


それでは、また読書の時間36冊目でお会いできることを楽しみにしております。

Mar 26, 202424:12
ep35-2 「共感という病」(永井陽右さん)-第三者・同情するなら金をくれ・宇宙兄弟-

ep35-2 「共感という病」(永井陽右さん)-第三者・同情するなら金をくれ・宇宙兄弟-

読書の時間35冊目 「共感という病」(永井陽右さん)の2週目は、

3つのキーワードについて対話を重ねていきます。

www.amazon.co.jp/dp/476127560X

1.共感が生む対立・争い

テロや紛争の場面、ビジネス、日常生活など、多くのシーンで共感は利用されています。


BML運動然り、共感は大きな力を持つ一方で、同時に敵との埋めがたい壁を作り出す場合もあり、

共感が大きな対立を生む弊害もあるのではないか。


永井陽右さん曰く、「共感しすぎない、無関係な第三者」がいることで、

問題が解決することが多いという言葉。

まさにそうだと思います。我々は過度な共感を求めすぎているのかもしれません。


2.共感(empathy)と同情(sympathy)

「公園で転んで泣いている子どもがいたら、どう声をかけるか。」

共感か、同情か。そんな話題からスタートしました。

よく、コーチングやキャリアカウンセリングの研修場面では、

共感は良いが、同情はだめ(同情は個人のマスターベーションだから)、とされます。


しかし、粟野個人としては、

「その相手を大事に思う心があれば、リアクションは、同情でも共感でも、無言でもよい」

のではないかと考えています。

また、星野さん曰くの「表出した言動や形式に焦点をあててしまい、

”あいだ”が抜けてしまうことに、我々は抵抗を感じるのでは」

という話には、同意する方も多いのではないでしょうか。


3.知性と集団

最後は、この本の巻末にある、内田樹さん(思想家)と永井陽右さんとの師匠と弟子のような対談から。


「個人が専門性を高めて強くなることは、知性ではない」

「むしろ、その人がいることで、周囲の沢山の人が力を発揮できるようになることが知性である」


という内田樹さんの言葉があり、粟野個人としては自分の考える知性の定義を改めざるを得ない、気づき・学びとなりました。


ちょうどアニメの「宇宙兄弟」にハマっていたタイミングだったので、

この意味での知性は、キレキレな人物ではないけれど、

周りを活かしつつ、物事を成し遂げていく六太(お兄ちゃん側)のような存在を知性がある人というのかもしれません。


さて、3週目は、共感や感じること、学びなどについてざっくばらんに話を展開するこぼれ話の会です。


次回の読書の時間でもお会いできることを楽しみにしています。

Mar 19, 202447:21
ep35-1 「共感という病」(永井陽右さん)-共感の胡散臭さ・侵される感覚・ストーリー-

ep35-1 「共感という病」(永井陽右さん)-共感の胡散臭さ・侵される感覚・ストーリー-

読書の時間の35冊目は、「共感という病 いきすぎた同調圧力とどう向き合うべきか?」永井陽右さん

www.amazon.co.jp/dp/476127560X

永井陽右さんは、国際紛争などの解決を図るNPO法人アクセプトインターナショナルの代表理事。

2021年にはニューズウィーク日本版「世界に貢献する日本人30人」に選出されるなど、注目されている方です。

(なお、同法人の活動は非常に特殊で、例えばテロ組織・構成員の再社会化を支援するという、難度が高い活動をされていらっしゃいます。)


1週目は、「共感に対する胡散臭さ」という部分から

我々が感じること・発想することを、筋書きなしに対話。


星野さん曰く


「日常生活で普通に感じている・知っている言葉や概念を、

”お上”から押し付けられてしまうと、全く同じものなのに、違和感を持つ。ピュアな心を侵されるような感覚になるよね」


という部分は、まさに(自然な意味での)「共感」。


発信者側の意図・「泣かせよう」ストーリーが見える作品のようなものかもしれません。(「宇宙兄弟」や「実写版ドラゴンボール」への横みちに展開)


さて、2週目に取り上げるキーワードは以下の3つです。


1.共感が生む対立・争い

2.共感(empathy)と同情(sympathy)

3.知性と集団


それでは、読書の時間 35冊目の2週目でもお会いできることを楽しみにしています。

Mar 05, 202420:09
ep34-3 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-分人・可視化・”日本風”-

ep34-3 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-分人・可視化・”日本風”-

「自由が上演される」渡辺健一朗さんの3週目、こぼれ話の回。


その環境や場面、時期に応じた「分人」の話や、

ある種の「思い込み」が歴史に残る偉業を成し遂げることにつながるのかも、などの話からスタート。

(なお、歴史に残る偉業といっても、それは勝者側が描いた限定的な歴史でしかなく、敗者や異なる側面から眺めたときの、別の歴史もあるのだと思いつつ)


そこから、可視化・数値化の(良くも悪くも持つ)威力や、

ネガティブ・ケイパビリティ的に考え続ける大変さがある故に、楽チンに生きたい・わかりやすいものに乗っかりたい、となる気持ちも分かるよね、という話題に展開していきました。


さらに、2週目にも話になった、日本風のワークショップは開発できないものか?という論点。

例えば、私(粟野)が2023年に体験した山伏修行的なものが、

1つの方向性・ヒントかもしれません。


最後は、公開のタイミングとはずれますが、

収録が2024年の年始だったこともあり、

お互いの抱負(ご縁、敵を少なくする)で締めさせていただきました。


収録・公開のペースが、若干、不規則になってしまっておりますが、マイペースに・着実に継続していきますので、また35冊目の読書の時間をお聴きいただけることを楽しみにしております。

Feb 27, 202425:23
ep34-2 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-情熱・ワークショップ化する社会・”たかが野球”-

ep34-2 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-情熱・ワークショップ化する社会・”たかが野球”-

読書の時間34冊目「自由が上演される」渡辺健一朗さんの2週目は、キーワード3つを扱いながら、互いが興味ある教育・ワークショップなどについて議論を重ねていきます。


1.知性を放棄した、意志による教育

ジャック・ランシエール(仏)の「無知な教師」をベースに、「知性ではなく、意志(情熱)による、教師と生徒の格差」が必要であるというお話。


「多くのことを知っている・頭脳明晰」などではなく、

あくまで「何かを学び続けたい・新しい発見は面白い」といった情熱を持った教師が、

生徒にその姿を見せる/魅せる、という意味と解釈しました。


2.ワークショップ化する社会

教育界が受けたとされる2大インパクト(フーコー・インパクトとドゥルーズ・インパクト)を経て、

「(見せかけの)自由を演出するため(自由促進型教育)」や

「(教師と児童・生徒の)パワー・ハラスメントを回避する」といった目的のため、

ワークショップやアクティブ・ラーニングが人気を博した、という側面への指摘がされます。


星野さんからの「ワークショップなどは、欧米起源のもの。

例えば”三日三晩飲み明かす””闇鍋をつつく”といった、

本音と建前を使い分ける日本人のあり方に適した手法が合っても良いのでは」というコメントにはハッとさせられました。


3.上演としての教育

書籍名にもつながりますが、

教育も、演劇も、スポーツも、演奏会も、「あくまでその場限りの”上演”」として、強い限定性を意識すべきではないか、というお話。


ビジネス中心に人生全てが、盛和塾(京セラ・稲盛氏の教え)万歳や、

「ドラッカーがこう言ったから◯◯すべき」だと、お付き合いし続けづらい。


野球のダルビッシュ選手がWBCの際に言った、「たかが野球」。

野球に真摯に向き合いつつ、けれども

「ちょっと待ちなよ、他の選択肢や大事にしたいこともあるはずだよね」

という意味合いだと思います。


社会の過渡期かもしれませんが、多くのことが「ハラスメント」とされるリスクを恐れ、

「優しさという残酷」が静かに広く深く浸透している、2024年現在。


難度は高いですが、教師も、上司も、経営者も、親も、何らか場面のリーダーは、

「情熱による格差(ハラスメント)」を恐れず、

一方で、児童・生徒、部下、従業員、子ども、場の参加者たちは、

ある意味で、舞台上の”演者”の姿・発言を、離れた客席で見る観客が持つ非対称性を維持し、

「ここで演じられていることは、この場限りのもの。終わればまた別の世界線がある」

と冷めた認識をすることがポイントなのだろうなと感じています。


日本社会の中での生きづらさを助長していると感じる、

過度なハラスメントリスク、自由促進型教育(ダブル・バインド)、自粛警察的なあり方、

そういったものに対して一石(以上)を投じてくれる、気づき多い書籍だと感じています。


それでは、34冊目の3週目でもお会いできればと思います。

Feb 20, 202453:41
ep34-1 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-演劇教育・自由促進型権力・Ping-Pong Project-

ep34-1 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-演劇教育・自由促進型権力・Ping-Pong Project-

読書の時間34冊目は、演劇・演劇教育を専門とされる渡辺健一郎さんが書かれた「自由が共演される」です。

群像新人評論賞(2021年、第65回)を受賞の書籍。


「自由」や「教育」という抽象度・難度高いテーマを、哲学・理論と現場知見(演劇ワークショップなど)の両面から見つめ、凝縮した小気味よい論考が展開される、読み応えのある本だと感じました。


なお今回の収録は、公開収録という形で2名ものリスナーに囲まれた”緊張感溢れる”時間でした。

ゆくゆくは、様々な人がPodcast収録や作成に関われるものにできたら、などとふと思った次第です。


さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。

1.知性を放棄した、意志による教育

2.ワークショップ化する社会

3.上演としての教育


教育や教師はどうあるべきなのか、自由や教育はどのように「上演」されるべきなのか。

普段、何も考えずに用いている身近な言葉や行為である、教育や自由。

それらの意味を問い直すきっかけとなる内容を展開していきま

す。

それでは34冊目の2週目でお会いしましょう。

Feb 06, 202412:37
ep33-3 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-役割・声・アフォーダンス・横みち-

ep33-3 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-役割・声・アフォーダンス・横みち-

「原っぱと遊園地」、建築家・青木淳さんの書籍を肴にした、こぼれ話の回。


主題は「”原っぱ”的な在り方」を、我々の日常生活における具体的な場面で考えるとどうなのだろうか、という内容。


星野さんと私(粟野)、互いの”原っぱ”的な家族・他者との関係性、生活スタイルから、(内輪の話で恐縮ですが)20~40代、北海道や関西からも参加いただいた神田・横みちオフィス「開設6ヶ月記念」忘年会の話など。


”原っぱ”的な在り方の難しさと対応法を、飲み会・パーティ・BBQに参加した場面や、星野さんの3回の転校経験や転職をしたときの「所在のなさ」を手がかりに展開しました。


ビジネスの場では”原っぱ”と真逆の在り方(用意周到な準備やわかりやすさ等)を求められ、

この(気ままにやっていそうな)「読書の時間」の収録であっても、何も下準備・補助線がなく、「はい、どうぞ。二人で何か面白く対話してください」では成立しない。


遊園地の遊具、教科書、ビジネスのルール・・・

そういった規定のものを絶対視せず、一種の材料・土壌にして、別の見方をしていく・扱い方をしていく。

そのあたりの「読み替え・ある意味の誤読・解釈の余地」、といったものが大事なのだろうなと思います。


さて建築家・青木淳さんの「原っぱと遊園地」という概念、いかがだったでしょうか。


引き続き取り扱う書籍に関するコメントやご要望なども絶賛、お待ちしております。

それでは、次回34冊目の読書の時間でもお会いしましょう。

Jan 30, 202436:21
ep31-2「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-裏口から・他人の欲望・誤配/観光/憐れみ-

ep31-2「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-裏口から・他人の欲望・誤配/観光/憐れみ-

観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)から抽出した3つのキーワードをもとに対話を深める&偶然の話題の展開を試みる2回目の放送。


キーワード3つと概要はこちらです。


1.裏口から引きずり込む戦略

「Podcastにも、仕事にも必要な概念ではないか?」という、私(粟野)の個人的な課題感から取り上げた言葉になります。

本書の中では、リベラル知識人が発する「他人を大事にしよう」という正論が、世の中的に食傷気味で受け入れられない現在、正面突破ではない現実的な戦略を取るべきではないかと(リベラルの)東浩紀さんが考えたという文脈。

具体例として、「チェルノブイリ」などへのダーク・ツーリズム(戦争・災害などの悲劇の地を“敢えて”観光の対象とし、本質的な理解を深めたり、つながりをつくる取り組む)があり、「幼稚な好奇心=裏口」からでもまずは興味を持ってもらい接点をつくる、という取り組みが紹介されています。

「裏口」。堅苦しくなりがちな私(粟野)にとって、自らを顧みて反省させられる・気づきがあるキーワードでした。

リスナーの皆さんはいかがでしょうか。


2.他人の欲望を欲望する時代

星野さん曰く「欲望を知りにくくなっている現代=自分との対話をエスケープし、他人に欲望をお任せする」とのコメントと課題意識。

例えば、各種SNSやwebに接することで、暮らしに不満はないのに「年収低くない?」とSNSや広告に煽られて「転職・キャリアアップしなくちゃ」と欲望を植え付けられる我々。

本書の中では、東浩紀さんは「本や絵画、詩などが、それそのものの価値では評価されない。他人がそれをどう評価したか、で評価するようになる時代が今。それは避けがたい」という厳しい現実を指摘されています。納得。

1つ目のキーワード「裏口から引きずり込む戦略」にもつながりますが、「良いものを生み出せば何とかなる」ではナイーブすぎるという当たり前といえば当然すぎる指摘ですが、(Podcastなりブログなりであっても)何かを自分名義で創る、メーカー体験をしてくると、よりリアリティがあり胸に響く言葉。

※私淑するTakram・渡邉康太郎さんの言葉をお借りすると、「トロイの木馬」作戦(外見・見てくれと中身は違うぞ)ということだと理解しました。

話題は、スラムダンク・湘南にある高校にファンが大殺到して大変という話や、星野さんが体験した奄美大島での観光リゾート開発の顛末の具体論まで展開しました。


3.誤配・観光・憐れみ

東浩紀さんの(恐らく)人生のテーマである「郵便的(予期しないコミュニケーションの可能性)」。

「郵便的なあり方=誤配こそが人と人との連帯を生む」という、最初はピンとこない・腹落ちしづらい論ですが、以下の具体例で理解しました。

最初から連帯を意図する行動、例えばデモ活動をイメージすると、強いメッセージ・同じ価値観を持つ同志グループの中では強い連帯はあっても、逆にそのグループ外では強い反対や断絶、冷めた空気感を生むかもしれない。

一方で、郵便的・誤配・観光客的なふわふわ・曖昧なあり方で人と人が触れ合うと、何も起こらないかもしれないけれど、予定調和ではないからこそ、自然な人と人とのつながりや憐れみ・連帯を生むかもしれない。

※収録時の対話では、あまりシャープな喩えではなかったですが、、「運動会の紅組・白組。教師から連帯しろ!と強制されても冷めませんか?」と例示させていただきました。

※デモ活動を否定しているわけではなく、ある側面に焦点を当てた例示としてご理解ください。

「いっちょやってみるか(その先に何があるかわからないけれど、まずは開かれていよう)」ですね。


最後の「ハニートラップ」のお話は、星野さんの潜在的な願望からの連想かもしれません。


なお、余談ですが、今回の32冊目「観光客の哲学 増強版」収録は試行的取り組みを行いました。

大人気Podcast番組「超相対性理論」に倣い、収録前に話す内容などを準備しすぎない・解像度を上げすぎない事による、観光客的(誤配・偶然・郵便的)な収録を目指してみました。

星野さん的に表現すると、「人生の横槍」的なあり方。

どのくらい実現されていたかはさておき、まずは読書からの学びを自分たちで小さく実践してみました。


次回は、これからの我々の寄るべき足場として重要と東浩紀さんが考える「家族」に関する概念を題材に、こぼれ話を展開します。

「観光客の哲学 増強版」の続編である、「訂正可能性の哲学」にもつながる話です。お楽しみに、

Jan 30, 202446:18
ep31-3「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-国家と個人の間の”家族”・中間集団・利他・三ちゃんビジネス-

ep31-3「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-国家と個人の間の”家族”・中間集団・利他・三ちゃんビジネス-

観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)の3回目は、本の内容を酒の肴にさせていただき、話題を拡散していく「こぼれ話」の回。


東浩紀さんの考える「家族」という新しい概念(家族概念の読み直し)から出発。


1.国家と個人のあいだが必要

大きくて遥か遠くにあり概念的な国家(ナショナリズムにつながる)と、個人の努力や責任を強く求める個人主義(資本主義・グローバリズムや新自由主義につながる)という、2つの両極端なものしか依るべき足場がない現代。

マルクスの階級論(階級=奴隷・土地・お金というモノを所有する権利を持つ人達が特権階級となる世の中を変えよう)が力を失った今、人々が依るべき場所をなにか見つけなければならない。


2.「偶然の家族」という開かれた中間集団

その依るべき場所として東浩紀さんが仰る「家族」(一定の強制性、偶然性、拡張性の3つの特徴を持つ)概念は、他の論者の方も仰る「中間集団」の必要性に通じるものだと思います。

血縁主義や家父長制的な、閉鎖的で固定的な家族概念ではなく、偶然性にオープンで少し流動的な存在。そして、その「家族」は、複数あって良い。


3.「利他」から生まれるつながり

また、「三ちゃんビジネス(経営)」(じいちゃん・ばあちゃん・かあちゃんの三ちゃん)を喩えに、「拡大・上昇」を志向するあり方とは違うビジネスや生き方をしていきたいし、我々も実践してきているという話題や、本書の「憐れみ」というキーワードから「思わず助けたいと思ってできるつながり」→「利他」→「伊藤亜紗さん(読書の時間6冊目「利他とは何か」)の視覚障害者の方への自然なサポートから目が見えない人々の世界を教わりつながりができることの意味」など、へ展開していきました。


「中間集団」といえば、我々も東京の神田で小さな中間集団的なもの(足場)を育み出しています。


今後はPodcastの作成だけではなく、本の出版や地域活動などもぼちぼちやっていく予定です。

「スケールする」や「マーケットのニーズが〇〇」といった陳腐なビジネスワードとは無縁に、なんとなく感覚が合いそうな善き人たちと、緩やかに一定距離も保って縛りすぎない関係性での足場づくりを進め、このPodcastでも進捗を共有していきたいと思います。


書籍に関するコメントやご要望も絶賛、お待ちしております。

それではまた、32冊めの読書の時間でお会いしましょう。

Jan 30, 202430:39
ep32-1「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-二項対立・白黒つけない・生きづらさ-

ep32-1「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-二項対立・白黒つけない・生きづらさ-

近年、耳にすることが増えた「ネガティブ・ケイパビリティ」。


17世紀のイギリスの詩人、ジョン・キーツの「事実や理由に決して拙速に手を伸ばさず、不確実さ、謎、疑いの中にいることができるときに見いだせる能力」という、兄弟に宛てた手紙の一文がポジティブ・ケイパビリティの起源として引用されます。


現代社会は、学校・ビジネス・生活など全般においてポジティブ・ケイパビリティ(問題解決を早急に行える力)偏重の時代。

だからこそ、「簡単に二項対立の構図に持ち込み、白黒の結論をつけたがるような思考停止をせず、揺れながら考え続ける」ネガティブ・ケイパビリティの必要性を感じる人が増えているのだと思います。


今回取り扱う本は、谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さんという30代・気鋭の論者の鼎談(ていだん)3回分をまとめた書籍になります。


粟野がフリーランスとして(ビジネスの場で)感じる個人的な実感としても、またこの書籍に出てくる話題(陰謀論、アテンション・エコノミー、各種エビデンス・ベースド・〇〇など)を考えても、様々な社会課題や「生きづらさ」といった課題に直面している現代、課題への緩やかな対応策のカギとしてネガティブ・ケイパビリティがあるように思います。


さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。


  1. ネガティブ・ケイパビリティと「来るべきバカ」:哲学者・千葉雅也さんの書籍とリンク
  2. イベントとエピソード:イベント≒非日常的なイベント・アテンションに踊らされるあり方/エピソード≒日常の取るに足らない事柄
  3. 「ジブンゴト化」は良いことか?


それでは、2週目もお会いできることを楽しみにしています!

Jan 30, 202419:48
ep32-2「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-「来るべきバカ」 ・イベントとエピソード・「ジブンゴト化」-

ep32-2「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-「来るべきバカ」 ・イベントとエピソード・「ジブンゴト化」-

ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)を読み、3つのキーワードをベースに話題を展開していく、2回目の放送。


1.ネガティブ・ケイパビリティと「来るべきバカ」 

哲学者・千葉雅也さんの書籍「勉強の哲学 来るべきバカのために 増強版」と繋げながら、対話をスタート。


「既存のノリ」にノレなくなったとき。

それは学生が就職したときに体感する企業の論理に対する感覚かもしれませんし、フリーランスの粟野が感じている「求められるうちが花」などの紋切り型の”世間の常識”に対する違和感を持つ場面かもしれません。


そういった場面に際し、周りの大きな声に流されて自分のざわざわする声を無視するのか、それともネガティブ・ケイパビリティを意識して、1つだけに偏らない考え方をするか。


バージョン1のバカのままでいるか、バージョン2のバカになるか。どちらでもいいのかもしれませんし、もしかしたらバーション1のバカのままで思考停止している方が幸せかもしれません。


けれども、同じバカならば、複数のものの見方ができたり、バカな自分を少し距離を置いて観察できたりするバージョン2のバカでいたいな、とは思います。


2.イベントとエピソード 

イベントとは、非日常的な出来事や、SNSで発信するような、内容自体は日常の出来事でも「いいね」を集める欲求を強く内包した発信。つまりアテンション・わかりやすさに重心がある状態。


一方で、エピソードは日常の取るに足らない事柄。社会学者・岸政彦さんの書籍「東京の生活史」がその象徴だと思いますが、市井の人々の取るに足らない日々の出来事や声。


これも「ハレとケ」のように、どちらも人生において大事ではあるものの、どうしても昨今は「イベント=内容を吟味しなくてよい、わかりやすい脊髄反射的なもの」がメインストリームになりすぎているように感じます。


安易に事象を判断せず、揺れながら考えるネガティブ・ケイパビリティの必要性が、だからこそ際立つように思います。


3.「ジブンゴト化」は良いことか?

学校、ビジネス、政治、そして家庭でも、自明の良きこととして捉えられている「ジブンゴト化」。


もちろんジブンゴト化に良い面もありますが、あまりにも知らないことや考えられていないことに関して拙速に距離を近づけようとし、「なにかそれっぽい意見を持とう」「積極的な行動をとにかくしなくちゃ」とジブンゴト化しようとしすぎると、「陰謀論」や「新興宗教」的なわかりやすいものに簡単に取り込まれてしまう可能性が出てきます。


ビジネス場面で言うと、会社側の指示に盲目的に従うこと、がその1つだと思います。会社と自分を一体化・癒着して捉えることは、会社/経営側からは理想的な「ジブンゴト化」ですが、そういった方向でのジブンゴト化だけで良いのでしょうか。


何かに癒着しない(ジブンゴト化しすぎない)ための対抗策として、本書では「コーポラティブ・ベンチャー」といった中間集団を持つことが提案されています。それは、宮台真司さんのいう「共同体自治」、斎藤幸平さんの「コモン」、東浩紀さんの「家族」と同じ概念だと捉えられます。


我田引水ですが、我々が神田・横みちで現在進行系で取り組んでいることは、小さな中間集団づくり。取り組みの方向性としては、とても時代の流れに合致しているのだなと、こういった論者の方々のご意見に勇気づけられます。


その他、興味深い話題として、星野さんからNetflix番組「ライトハウス」(星野源さんとオードリー・若林さんの対話)から、幸せ感にも2種類あり、「ドーパミン(ドキドキの期待感)」とセロトニン(安心・リラックス)」がある、なんていうお話もいただきました。


次回、3回目のこぼれ話の放送は、「ファシリテーションの功罪」など、星野さんのファシリテーターとしての専門的な見解も伺いながらネガティブ・ケイパビリティをまた別の側面から語っていきたいと思います。


3回目もどうぞお付き合いください。

Jan 30, 202443:31
ep32-3「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-ファシリテーション/ワークショップ/コーチングが抱える危うさ-

ep32-3「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-ファシリテーション/ワークショップ/コーチングが抱える危うさ-

ネガティブ・ケイパビリティ」から派生させた、こぼれ話の回。


今回は、粟野の2つの疑問・憤りに関して、星野さんに教わりながら話は展開しました。


1.ファシリテーションやワークショップが安易に使用される問題

「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」の中でも取り上げられている、各界のファシリテーションの専門家が書いた「ファシリテーションとはなにか」という本にあるファシリテーションへの懸念表明と、学生時代の粟野の苦い経験(ワークショップで仲間はずれになる)をかけあわせ、問いを星野さんに投げかけました。


ファシリテーションの型とは?型が本来持つ力を発揮する場や環境とは?効力を出すための導入とは?

特にビジネスの中ではそもそも、ファシリテーションやワークショップが適切な場で実施されているのか、などの疑問にも展開しました。


2.コーチングでよくされる問い「あなたが5年後に死ぬとしたら、何をしたいですか?」はありなのか?

コーチングやソースなど類似のやりとりを経験した方であれば、一度は触れた経験があるのではと思われる”パワフル”な質問。

「あなたが5年後に死ぬとしたら、何をしたいですか?」


深くて良い問いである一方で、粟野が感じるのはある種の「ずるさ」。


問いを投げる人と受ける人の関係性、質問者の意図は何か。

理想や夢のビジョンを持つ力強さと、それ1つだけに盲目的にならないネガティブ・ケイパビリティ的な在り方。


改めて、「ネガティブ・ケイパビリティ」の思考・スタンスを持つことは、「面倒くさい人」になるかもしれませんが(多分、なる)、時には日々の暮らしの中で立ち止まり、いつもはスルーしている物事を違う高さや方角から再考して遊んでみる、なんていうのも面白いかもしれません。


取り扱う書籍に関するコメントやご要望なども絶賛、お待ちしております。

それではまた、33冊めの読書の時間でお会いしましょう。

Jan 30, 202432:01
ep33-2 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-オーバードライブ・未目的・自分にする-

ep33-2 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-オーバードライブ・未目的・自分にする-

「原っぱと遊園地」、建築家・青木淳さんの書籍から3つのキーワードで話を展開していく2話目。


1.解脱して初めて出会える原っぱ

青木淳さんは書籍の中で、原っぱとは「宅地として完成する一歩手前で、その意図が見えなくなってしまった空間である。」

と語られています。ドラえもんに出てくる、土管がある原っぱ。


「遊園地」的に予め決められた遊び方や楽しみ、目的が設定されているのではなく、ともかくそこへ行って、何をするか、どんな楽しみ方をするかを決められる特別な場所。


そんな原っぱになるためには、既存のルールが背後に消えてしまう=オーバードライブが必要だと仰ります。(学校が廃校となり、学校というルール・形が消えて、美術館として利用されるように)


対話の中では、「オーバードライブ」のキーワードを起点に、アニメ「スラムダンク」の安西先生が、ホワイトヘアード・デビル(白髪鬼)からホワイトヘアード・ブッダ(白髪仏)となったことは、ある種の「オーバードライブ」かも、などの話へ展開しました。


2.目的を手放すことで踏み入れる別の世界 -目的地を「未目的」な状態に差し戻す 

「住宅・住まいはかつては目的空間の集合体ではなかった」という青木淳さんの指摘。

設計者側が住宅の各部屋・機能の目的を「お節介に」設計するのではなく、住む人たちが使いながら、自分たちの住まいを創っていく。


そこから、フロー状態や、私(粟野)の10数年前の勘違いをしていた恥ずかしい思い出へ飛び火。


3.建築にする。自分にする。

「マルタン・マルジェラとイッセイ・ミヤケの服作りの違い」から。

・とにかく形式の外に出ようとするのか

・形式の中にしかいれないと理解しつつ外を目指すか。


建築や服作りを、「自分」に置き換えて考えたり、仏師(ぶっし)の「その木の中にいる仏を掘り出すだけ」という言葉へ繋がったりしました。


次回、3回目のこぼれ話の放送は、「原っぱ」的な人と人の関係性や過ごし方などを筋書き無しで話し合っていく予定です。

Jan 23, 202445:51
ep33-1 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-建築・師匠と弟子・2つの顔・昭和ならではの味わい-

ep33-1 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-建築・師匠と弟子・2つの顔・昭和ならではの味わい-

2024年1月1日に発生した能登半島地震。

被害に遭われた方々、生命を落とされた方々に心からお悔やみ申し上げます。


私(粟野)の長男も石川県の高校に在籍している関係から、直接ではないものの被害状況や地震の影響を感じております。

現時点(2024年1月時点)では、できることは寄付だけかもしれませんが、1日も早く以前の日常が戻ることを強く願っています。

※収録:2023年12月末


====================


読書の時間33冊目は、「建築」というこれまでと趣が異なる領域の本を扱います。

2004年に出版された「原っぱと遊園地」。

ルイ・ヴィトン表参道店の設計などで著名な建築家、青木淳さんの著作です。


原っぱ、自由、解放・開放、目的化しない・・・


青木淳さんと、お師匠さんである磯崎新さんとの「師匠と弟子」のエピソードも令和の時代だからこそ、昭和のスタイルに気づきがあるのでは。

https://bunganet.tokyo/mitoaoki/

青木淳氏が語った師・磯崎新の2つの顔、「水戸芸術館を創る」展で初めて明かしたあの頃

など、ネット上で複数あるのでご興味あればご覧ください)


さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。

1.解脱して初めて出会える原っぱ

2.目的を手放すことで踏み入れる別の世界 -目的地を「未目的」な状態に差し戻す 

3.建築にする。自分にする


2024年も地道に継続して放送をして参りますので、動画や読書に飽きた時にでも耳を傾けていただければと思っております。

Jan 18, 202419:32
ep31-1「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-訂正可能性・偶然性/無責任性/曖昧性・人間っぽさ-

ep31-1「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-訂正可能性・偶然性/無責任性/曖昧性・人間っぽさ-

「アワノトモキの読書の時間」 31冊目は、批評家・作家・哲学者・経営者という多様な側面を持つ、東浩紀さんの著作「観光客の哲学 増強版」

東浩紀さんについては、出版社・人文系のトークイベントなどを多数主催されている「ゲンロン」の創業者としてご存じの方も多いかもしれません。

1回目の序盤は、今回扱う本の続編として2023年9月に出版された東浩紀さんの最新作「訂正可能性の哲学」の「訂正」というワードから"横みち"を2つほど。

・星野さんの名著「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。つながる生き方――共創で夢を叶える」はKindle版のため、出版後も随時「訂正可能」であり、またオンデマンド出版。非常にweb・デジタル的。

・一方で、一部で話題沸騰のている社発行の雑誌「新百姓」は、Amazon等では購入不可で雑誌づくりの方向性に共感した書店中心の販売かつ、発行部数を限定。非常にアナログ・紙の良さを追求。

どちらも良さがありつつ、有限性に惹起される渇望、常にアクセスできないことによる想いが募る状態、などに話題が展開しました。


さて本編に戻ると、私(アワノ)が「観光客の哲学 増強版」をチョイスした理由は2つ。

1つは、「観光客的な在り方=偶然性、無責任性、曖昧性を持つことが自分に必要ではないか」という必要性に駆られて。

もう1つは、X(旧:Twitter)上で、社会学者の岸政彦さんに泥酔して絡みブロック・罵倒されている東浩紀さんの打ちひしがれた姿を見て、東浩紀さんに対して「憐れみ(人間っぽさ・親近感)」を感じて、思いがけず読みたいと思った。

この2点ですが、恐らく2つ目の事象を目にしなければ、仮に本は読んだとしてもPodcast「アワノトモキの読書の時間」では取り扱わなかったかもしれません。まさに偶然。

※ちなみに、書籍に「観光客」という題名はついていますが、「有名観光地」や「観光業」に関する本ではなく、メタファー(比喩)としての「”観光客的な在り方”=偶然性、曖昧性、無責任性を帯びた存在の意味」を取り扱った本になります。

最後に2週目に取り扱うキーワードは3つ。

  1. 裏口から引きずり込む戦略
  2. 他人の欲望を欲望する時代
  3. 誤配・観光・憐れみ

ぜひ2週目も楽しみにお待ち下さい。


感想・コメントや取り扱いたい書籍のリクエストはコチラまで↓




Nov 13, 202316:59
 ep30-3「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

ep30-3「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

さて、武藤北斗さんの「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」のこぼれ話です。

武藤北斗さんは書籍にくわえて、Youtubeでもパプアニューギニア海産の経営や働き方等について紹介しています。粟野さんはこのYoutubeの内容がとても赤裸裸だったことに驚かれたそうです。

その内容をいくつか紹介します。

・仲良しを目指さない職場

従業員同士が仲良くする必要がなく、かえって仲良くしすぎると派閥ができてしまう。従業員の誰かが孤独にならないように、職場では適度な距離感を大事にしたいとのこと。そして、この適度な距離感こそが家族だと武藤さんは述べられています。 

・ルールが優先

気を利かせて誰かの人の仕事を手伝うことや休憩中に話しかけることがNGであったり、トイレに行くときは必ず声かけをしたりなど、諸々のルールを明文化しています。 


自由な働き方を求める粟野さん。ですが、パプアニューギニア海産や武藤北斗さんを調べていく中で予想外にルールが多いことが分かり、少し葛藤があるようです。

とはいえ、パプアニューギニア海産のルールは社内のトラブルや問題になりそうな点を抑えるためという明確な理由があり、多様なスタイルの会社が存在し、働く人にとって多様な働き方を選択できる状態とも言えます。


いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

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Nov 07, 202319:57
ep30-2「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

ep30-2「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

引き続き、「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」を扱っていきます。

前回は、著者の武藤北斗さんについて、また武藤さんが経営するパプアニューギニア海産について簡単に紹介しましたが、今回は本書籍をもとにパプアニューギニア海産の経営や働き方等について詳細にお話していきます。

今回のキーワードは、こちらです。

  • パプアニューギニア海産の独自路線の経営
  • 仕事はたかが仕事
  • なぜパプアニューギニア?

 

・パプアニューギニア海産の独自路線の経営

パプアニューギニア海産の働き方で特徴的なのが、こちらの2つです。

①フリースケジュール

パートさんが好きな時間好きな日に働いてOK。急に会社に行きたくなくなっても連絡をしてはいけない。

②嫌いな仕事をしてはいけない

約30の仕事の工程を個人の好き嫌いで分け、2-3カ月に1度更新し、好きな仕事のみを行う。無理に頑張る姿勢がよくないという方針。

 

このような働き方で会社の経営が成立するのか気になるところですが、実際パートさんも仕事が回る程度で出社するそうです。ちなみにこの働き方はパートさんのみ対象で、社員さんの働き方はまた異なるとのこと。

 

・仕事はたかが仕事

武藤さんは嫌いなことはやらないでいいというスタンスで、人生で向き合うことは仕事以外にたくさんあるので、全メンバーがエビの仕事だけに一生懸命向き合う必要はないと述べています。また、パプアニューギニア海産では、メンバー同士で仲良くする必要がない文化を進めていて、送別会・忘年会なども一切ありません。

粟野さんも、子どもの将来の夢が仕事のことのみに限定されがちなことに疑問を持っていたりと、このパプアニューギニア海産・武藤さんのスタンスには、とても共感。

会社内での誕生日のお祝いや業務後のスポーツ観戦などの懇親の場が苦手な人もいるため、パプアニューギニア海産のように仕事と個人の線引きが明確な会社がもっとあってもよさそうですね。

 

・なぜパプアニューギニア?

パプアニューギニア海産では、パプアニューギニア産の高品質のエビを提供しています。また、添加物・薬品も入れず、エビフライは小麦粉やパン粉も厳選しています。

パプアニューギニア海産は30年ほど前に武藤さんの父親が設立し、この社名はお父さんの経歴・活動から来ています。

武藤さんの父親は長崎大学水産学部出身で、船乗りの仕事でお金を貯めた後、学生結婚した奥様とニューヨークへ。帰国後、第二次オイルショックの影響で、築地の水産系の会社に就職し冷凍エビを担当。発展途上国から安く商品を仕入れる従来の業界の仕組みを避け、会社を辞め青年海外協力隊としてホンジュラスへ。その後、国際協力事業団の仕事でパプアニューギニアに出会い、パプアニューギニア側の要望で販売会社を日本に設立。漁師など生産者の立場に立ったビジネスや今では当たり前になってきたフェアトレードを当時から実践してきました。

自分が正しいと思う道を切り開いていく父親の姿が、今のパプアニューギニア海産の独特な働き方にも影響を与えているようにも感じました。

 

いかがでしたでしょうか。 一つの新しい働き方として、パプアニューギニア海産の働き方に対しても注目していきたいですね。


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Nov 01, 202331:43
ep30-1 「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

ep30-1 「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

いよいよアワノトモキの「読書の時間」も30冊目へと突入しました。

今回扱うのは、「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」です。

著者の武藤北斗さんが経営する株式会社パプアニューギニア海産の働き方について書かれた本です。

粟野さんは、ラジオ番組でこの会社と武藤北斗さんについて知り、自身のX(旧Twitter)でも紹介したところ、「人生で苦しみをなくしたい」と武藤さんからも連絡がきたそうです。

 

武藤さんは、Youtubeやnote等のメディアでは、いい人の印象を受けるものの、「実際は良い人ではない」「独裁者」「メディアで作られたイメージがある」などと自身で言われているよう。

また、好きな時間で好きな日数働ける会社ということで注目され、応募も多数来るのですが、会社のミーティングの様子などYoutubeを見てくれとよく伝えられているそうです。

 

パプアニューギニア海産では、好きな時間で好きな日数働ける一方で、返事の仕方、ロッカー移動の是非など決められたルールが結構あるとのこと。

パプアニューギニア海産のようにルールや方針などわかりやすい会社が多様にあれば、多様な選択肢がでてきて、働く人にとってもいいのではないでしょうか。

 

次回以降で、キーワードを出しながら本の内容を紹介していきますね。


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Oct 23, 202315:06
 ep29-3「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

ep29-3「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

さて、星野文紘さんの「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」のこぼれ話です。 


・小学校以降の教育について

保育園・幼稚園ではのびのびと育つことを重視されますが、小学校以降は、ルールや規則重視に切り替わる印象がありませんか?その結果、自分の心の声を聴くことを忘れてしまうのでは、と個人的に考えています。この点が変ってくると、心の声を聴ける状態のまま育っていけるのかもしれません。


・山伏修行の人気の高さ

感染防止のための行動制限がある時代にもかかわらず、山伏修行はキャンセル待ちが出るほど人気で、リピーターの方も多いそうです。それは、文明が日に日に発展していくこの現代で、かつて人間が持っていた本能や感覚が失われてきた影響かもしれません。普段味わう機会が少なくなってきたからこそ、本能や感覚を大切に味わいたいという想いが、山伏修行の人気の高さにも繋がっているのかも?


・仕事のやりがい

現代を生きる我々は仕事のやりがいを論理的に考え見出すことが多いですが、論理ではなく感情にしたがってみるのも大切なのかもしれません。星野は粟野さんの山伏修行体験を聞き、本能や感覚のみに頼って生きていく実践をしてみたくなりました。とはいえ普段の仕事の場面ではこのスタイル100%でいるのはなかなか難しい面も。私たちが乗り越えていくべき課題の一つですね。


ちなみに、粟野さんが参加された山伏修行の次回コースに参加するには、2024年4月時点にFacebookページから申込しなければいけないそうです。公募開始後、すぐに埋まってしまう大人気コースとのことですが、興味がある方はぜひチャレンジしてみてください!


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Sep 25, 202325:11
ep29-2「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

ep29-2「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

引き続き、星野文紘さんの「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」を扱っていきます。

前回は、粟野さんの山伏修行の体験をメインにお伝えしてきました。

山伏修行に関する書籍は数多くあるのですが、星野さんが知識を入れることが必ずしも良いとは限らないという言葉を受けて、粟野さんは今回扱っている作品以外は読まれずに、自身の山伏修行体験に臨まれたそう。


 さて、今回のキーワードは、こちらです。


  • 感じる知性
  • 祈り
  • それぞれの縁起を生きる

・感じる知性

現代人は「感じる」のではなく、「考える」をしがちな傾向があります。準備や目標設定、計画などもその例ですよね。もちろんこれらのいい面はありますが、高い論理的思考力を持つエリートたちが考えに考えた結果、よくないことを起こしていることもあります。

山伏修行では、参加者が「ただ感じてくださいね」という先達のスタンスに従い、言葉も封印し、歩きながら雑念にとらわれないようにします。つまり「感じること」が優先される環境がつくられるのです。そして、先達も「感じる直感をためていくと、直観やひらめきが起きてくる」と伝えられています。

考えることばかりが知性と捉えられがちですが、感じることも動物・人間が持っている高度な知性ではないでしょうか。


・祈り

山伏修行では、「祈り」という行為をしながら山を登ります。初心者向けの山伏修行では、紙に書いてある言葉をみんなで唱えて、「祈り」を行います。

ここでの「祈り」は、感謝を伝える祈り・亡くなった人への祈りのようです。しんどい行為のようにも思われますが、粟野さん曰く自由に歌を歌っているような感覚だそう。世界の宗教の多くでは祈りの時間をとっていますし、元来自然が神であり、教義・経典がなかった日本においても、人々にとって「祈り」は当たり前の行為だったでしょう。

現代日本の日常生活では祈りも失われてきているように感じますが、マインドフルネスの浸透や山伏修行体験の人気など、現代においても人々はそのかわりとなるものを求めている気がします。


・それぞれの縁起を生きる

先達は、「色んな出会いや決断の場面があるが、感じるところに従って生きるのもいいのでは」と修行の後に仰りました。

粟野さんは、感性・直感より論理にとらわれて、大学院卒業後に大学教員を目指さなかったことを後悔している一方で、直感100%で結婚したことはとても良かったらしく、時には感性に従って生きていくことの大事さも実感されているそう。

感じるままに生きていく中で出会った人たちの縁を大切にしていくだけでも、私たちは幸せになれるのかもしれませんね。 



自身の感覚・感性で生きていくことについてお伝えしてきましたが、子どもたちの夏休みの日記って論理的に考えて書いたというよりは、自分が感じたことをただ書いてていいなあと思いますね。

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Sep 19, 202340:37
ep29-1「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

ep29-1「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

29冊目に扱うのは、「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀  星野 文紘 (著)」。

現役山伏の星野 文紘さんが長年の実践を通して書かれた本です。

粟野さんは、先日山形県の出羽三山に山伏修行に行かれるにあたって、この本を読まれました。

この出羽三山は、生まれ変わりの山と言われています。


 小学生の頃から奈良・和歌山の山伏修行をテーマにした本を読んで以来興味を持っていた山伏修行。

昨年自身のコーチングの先生にすすめられて、今回2泊3日の山伏修行を決断された粟野さん。

フリーランスになられて5年が経ち、計画を立てて事業やっていくことや論理で考えることに限界を感じてきたのもあり、体を使って感じることを大事にしてみたいと考えて臨まれたそう。

 以下、今回の粟野さんの修行体験内容の概要です。

  • スマホ・PC使えない。
  • 時計を外すので、時間はわからない。
  • 修行中は会話厳禁。唯一、声に出せるのは「受け給う(うけたもう)」だけ。
  • 「法螺貝の音」が行動の基準。だが、スケジュールや法螺貝が鳴るタイミングはいつかわからない。
  • 歯磨き、洗顔もダメ。
  • ふんどし・白装束で3日間同じ服装。
  • ご飯も「頑張り」という修行。無言で早く食べないといけない。
  • 何も話せないので、参加者の目的・経歴・名前はわからない。ただし、修行が終わった後に一同で感想を話すので、そこで分かることもある。
  • 参加者の6-7割は女性。
  • 論理などではなく、「感じること/直感」や「魂」が大事にされる。


一見厳しそうな内容に聞こえますが、一般的な体力があれば問題ないようです。 

次回以降で、粟野さんの体験と繋ぎ合わせてキーワードを出しながら本の内容を紹介していきますね。


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Sep 06, 202321:44
ep28-3「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

ep28-3「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

28冊目は「小さな泊まれる出版社」を扱ってきましたが、今回はこぼれ話の3回目です。


真鶴出版の影響もあってか、真鶴への移住者が増えているそうです。

ただ、真鶴はまちをあげて移住施策を進めているわけでもなく、來住(きし)さんも「真鶴に移住したい人」を増やしたいのではなく、「真鶴を好きな人」を増やしたいとのこと。

移住者を増やしたい自治体は多いですが、日本国内の人口が減っていく以上、移住者を増やそうとすると自治体間での移住者の取り合いに繋がります。

その点「そのまちを好きな人を増やす」という視点は、今後の日本社会を考えるうえで面白いなと思います。

真鶴出版が、「小さな泊まれる出版社」という本を作られたこと自体が、真鶴を好きになる人を増やすのに影響を与えているように思います。


現在、真鶴出版の宿泊施設の1号店は閉じられていて、2号店のみを運営されています。

そして、今後新たな3号店を作られる予定です。

大資本に寄らず、日々の暮らしを大切にされている真鶴出版の今後に注目していきたいですね。

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Aug 21, 202321:22
ep28-2「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

ep28-2「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

引き続き、「小さな泊まれる出版社」を扱っていきます。今回は、粟野さんが「小さな泊まれる出版社」を読み共感したことや、実際に真鶴出版に宿泊体験して感じたことを紹介します。 

・粟野さん共感ポイント①:人と地域の編みなおし

真鶴出版は、「人と地域の編みなおし」を大切にし、自分たちをReローカルメディアと位置付けています。粟野さんが掲げている「人と組織の編みなおし」というテーマとの関連性を感じ、を大切にされており、その点で真鶴出版の「人と地域の編みなおし」に親近感を感じられたそう。真鶴には観光名所は多くはないけれども、真鶴出版を通して会いたい・行きたいなあと思う人たちが出てきます。これは、真鶴出版が街の日常を大事にされているから、そういうスタンスが真鶴出版の周りに人の繋がりを作っていくのかなと思います。

 ・粟野さん共感ポイント②:生き方の選択肢を増やしたいという來住(きし)さんの言葉

真鶴出版の宿のオーナーの來住さんは、新卒就職の道に疑問を感じ、大学卒業後は青年海外協力隊となりタイに行かれました。帰国後も模索する中、真鶴出版で宿泊業を始められました。そんな生き方を歩まれてきたからこそ、生き方の選択肢を増やしたいという言葉が來住さんから出てきたのではないかと思います。そして、同じく世の中に生き方の選択肢を増やしていきたいと願う粟野さんも、來住さんの言葉に共感されたそうです。來住さんは、青年海外協力隊になった際に弟さんに「(人生)終わったなあ」と言われたそう。それでもしっくりくるものを求めて、真鶴出版で宿泊業にたどりつき、真鶴出版のファンができて移住者も増えている状況はかっこいいですね。 

・粟野さん宿泊体験の感想

真鶴出版の宿に一歩足を踏み入れると空気感の変化が感じられて、この空間では誠実に・自然体で生きないといけない、と思われたそうです。神社の空気感と似てるかも?一般的な宿泊施設では自分が払ったお金の対価を受けるだけ、という体験で終わってしまいますが、そういうものとは異なる体験をできたことも、良かったみたいです。また、バラエティに富む本が様々な場所に置かれており、そこにも心地よさを感じられたそう。そのセレクトも粟野さんが普段読む本とは違い、新鮮で刺激にもなったよう。

今回改めて感じたのですが、來住さんのように、自分がやってきたことのみから語る人の話は説得力ありますよね。自分の経験・体験から学ぶこと、自分の経験・体験を増やすこと。やっぱり大事です。



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Aug 15, 202332:49
ep28-1「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

ep28-1「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

28冊目に扱うのは、真鶴出版の「小さな泊まれる出版社」です。

神奈川県真鶴町で出版と宿泊の「泊まれる出版社」を営む、真鶴出版の川口瞬さんと來住(きし)友美さんご夫婦のプロジェクト記録です。文章は來住さんが書かれています。

苦労して成功を勝ち取った体験記とは一風異なる本書。読み終えてみると、成功を目指してというよりは自然体で進み続けた結果、真鶴出版がいまの状況にたどりついたのだ、という印象を持ちました。

「小さな泊まれる出版社」は、amazonなどからは購入できず、真鶴出版など限られた書店でしか購入できません。

 

真鶴町は、神奈川県南西部にある海がきれいな地域で、近くには、箱根や小田原があります。

粟野さんは今年の6月にご家族で真鶴出版に宿泊されました。

築50-60年の古民家をリノベーションされた真鶴出版の宿泊施設は、室内に本が散りばめられて置かれており、心地よい空間だったそう。また、真鶴出版のご夫婦含めて、真鶴の人々と交流ができたのがとてもよかったとのことで、また近いうちに真鶴に行かれるとのことです。


次回以降で、粟野さんが「小さな泊まれる出版社」を読んで共感したことや真鶴出版に宿泊体験して感じたことを紹介していきますね。

 

ちなみに、出版テーマに関連して、「船を編む」という辞書を作る映画を最近見た星野は、インターネットの検索機能に頼りすぎず、辞書をもっと使っていきたい気持ちになっています。


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Aug 08, 202319:17
ep27-3「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

ep27-3「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

1時間OVERの第2回、聞かれた方々はありがとうございました。

今回は、こぼれ話の第3回をお送りします。
(すでにこぼれ話をしまくってはおりますが…)

村上春樹さんの小説を読んでいると、自分の心と、無意識的な部分と向き合える時間が取れているように思うんです。これは一体何が言いたいんだろう、自分の場合はどうなるんだろう、と。そういう時間が積み重なることで、結果的に自分の物語も築き上げることになっているんじゃないかと思います。

 また、村上春樹さんの小説を読み、自分なりに解釈することを繰り返すことで、自分に何らかの力を蓄えているように感じます。その力は、将来的にお金でも物理的な力でも、医学でも救えない人を救える可能性を高めてくれるんじゃないか、と。


小説家として、自分の信じる姿勢を貫いている村上春樹さん。「走り続けていることからも、胆力を感じる」というアワノさんの言葉には心の底から納得しました。

 

ちなみに、最近流行のChatGPTにも「村上春樹さんの小説の魅力」を聞いてみました。

曰く、「普遍的な人間経験を扱っているために、素晴らしい」そうです。

他にも色々と魅力を挙げてくれてはいたのですが、この点については深く同意でした。古代から人間が自分や世界を理解して受け入れていく姿勢についてはおそらく大きな変化はなくて、でもそれを伝える昔話や神話などは放っておくと廃れてしまう。なので村上さんたち、物語を紡いで伝えていく人たちは大切な存在なのだろうと思います。


ぜひ我々も、井戸を掘り、自分たちの物語を探し、見つけて、積み上げていきましょう。


 

以上、3回にわたり、特別回「ホシノリョウタの読書の時間」での、村上春樹さんの「街とその不確かな壁」をご紹介してきました。

いかがでしたでしょうか。星野は、村上春樹さんについてたくさん語らせてもらい大満足です。いつか、「1Q84」や「騎士団長殺し」といった作品を扱ってまた語りたいですね。興味が出てきた方はぜひ「街とその不確かな壁」を読まれてみてください!そしていっしょに語りましょう。

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Jul 19, 202318:02
ep27-2「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

ep27-2「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

引き続き、特別回「ホシノリョウタの読書の時間」として、村上春樹さんの「街とその不確かな壁」を扱っていきます。 

星野が村上春樹作品を読み始めたのは高校生の頃から。最初に読んだ作品は「ねじまき鳥クロニクル」です。今回星野は「街とその不確かな壁」から引用をしながら、村上春樹作品のポイントや醍醐味を語ります。その中から、いくつかをご紹介しておきます。

意識と無意識の存在

  • ユング心理学の影響や関連性
  • 地下二階論
  • 夢の持つ重要性

主人公の一人称視点の中で進む物語

  •  明かされない謎や疑問がいっぱいある
  •  自分にとっての意味を探すことに重きを置く
  •  自分にしか果たせない役割を見つけていく

単純に星野の好み

  • 変わり者の男性だが、社会と関わりを持てている
  • 妙な表現をつかうことを好む
  • それでも、聞き手として信頼されている 


村上春樹さん自身も常々言及されていますが、「物語」が果たす役割はとても大切なものです。自身の存在意義を知ることにも繋がります。過去、現在、そして未来に向けて一人ひとりがそれぞれの物語を紡いでいくことがもしできなければ、そこを他者の物語に委ねてしまうことになります。それはとても危険なことにも繋がり得る。

善き物語・小説を読むことは、それぞれが自分の物語を持つために役立つのだろうと思います。

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Jul 10, 202301:02:33
ep27-1「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

ep27-1「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

27冊目となる今回は、特別回になります。

「ホシノリョウタの読書の時間」ということで、4月に発売された村上春樹さんの最新作「街とその不確かな壁」を星野が解説します。

 

村上春樹さんと言えば、日本で最も著名な小説家。

日本や世界で広くその作品が読まれている一方で、粟野さんのように、内容が理解できないという意見もたくさんあり、色々な方々によって意味論や評論が多くなされています。

 

今回は、評論や批評をするのではなく、視聴者のみなさんが読んでみたいと思ってもらえるような解説(星野の個人的な語り)をできたらと思っています。

そして、村上春樹さんの推し活を一緒にできる人を増やせたら嬉しいです。

 

粟野さんのような入念な準備はできず、キーワードもなくダラダラとお話していきますが、ご了承ください!熱はこもっていると思います。

 

詳しくは次回以降で解説しますね。

 

ちなみに、先日「アワノトモキの読書の時間」の視聴回数がついに1万回に。

皆さまありがとうございます!

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Jun 30, 202309:43
ep26-3「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

ep26-3「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

さて、今回は「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場」のこぼれ話です。 

この作品に関連して、参考図書として粟野さんが読まれた「認知資本主義」という本から、コーチングの闇についてをご紹介します。ちなみに、粟野さん自身も6-7年前からコーチングに通い、星野もコーチングの本を書くなど、関わりの深い分野。

 コーチングは、19世紀のアメリカにて、クリスチャン・サイエンスの亜流であるニューソート運動が源流になるとのこと。クリスチャン・サイエンスは、キリスト教系の新宗教で神秘体験と結びついたものです。神の救済にあずかる者と滅びに至る者が予め決められているとするカルヴァン主義への反発が重なり、ニューソート運動という霊的な運動が起こりました。ただ、一般のキリスト教信者には受け入れられ難いものだったため、一般に受け入れやすい形で現れたのが自己啓発とのこと。カーネギーやナポレオン・ヒルなどですね。そして、自己啓発が現代風にアレンジされたものがコーチングの起源だそうです。

 コーチング業界では、源流のニューソート運動やクリスチャン・サイエンスがやや怪しいものかつ、その出自が隠されがちであることが問題なのではないかと考える粟野さん。星野としては、コーチングが怪しいと思われていること自体が問題かと考えています。それは、コーチングの型から抜け出せず、コーチングは絶対に正しいと言う人たちがいるからかもしれません。

 この辺りは様々なご意見のある所かとは思いますが、今回のコーチングの出自のように、ものごとの歴史・由来を知ることは面白く、かつ大切なことでもありますね。

いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!


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Jun 23, 202330:15
ep26-2「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

ep26-2「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

引き続き、「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場」を扱っていきます。

イノベーション関連の書籍は色々ありますが、1つのイノベーション事例に対して、3人の著者の視点から語られているのが本書の魅力です。


 さて、今回のキーワードはこちらです。

  • イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?
  • ようこそおとぎ話の時代へ
  • デザイン思考という落とし穴


 ・イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?

この作品では、従来のコミュニケーションスタイルを「やりとりロジック」、イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルを「対話型ロジック」と定義しています。 やりとりロジックのコミュニケーションは、オフィスで電話やチャットなどでクライアントから依頼があり、それに対する成果物をオフィス内でのチーム同士で相談・分担して作り上げていくようなものです。このスタイルでは、上下関係があり、効率的な進め方になります。一方で、対話型ロジックのコミュニケーションのイメージは、働いている人が自分の好きな場所で働き、必要に応じて連携をとるようなものです、関係性も、上下関係はなく水平関係。クライアントや決裁者が求める答えを出すなど、答えが決まっている時代では、やりとりロジックのコミュニケーションで問題ありませんでした。ですが現代ではクライアントと対話を続け、そもそもの答えを見つけること自体が必要になっています。対話型ロジックの重要性が増してきているわけです。


・ようこそおとぎ話の時代へ

対話型ロジックは、若者を中心に受け入れられ始めています。ただし、よくないストーリー(悪いおとぎ話)をつくることがあるため、扱う時には注意が必要かもしれません。著者の一人である経済学者の北川亘太さん曰く、制度経済上、私たちは「認知資本主義」の時代に生きているとのこと。認知資本主義では、金融化がポイントで価値の判断基準がお金になります。年収で仕事の上下を決めてしまうような判断軸もその一つですよね。そのため、対話やストーリー性をお金に換算して判断しようとする場合が起こりがち。気をつけないといけません。ゴールがお金だけに縛られていないおとぎ話を目指したいものです。


・デザイン思考という落とし穴

イノベーションとセットで語られがちなテーマとして、デザイン思考があります。その点、UCIラボはデザイン思考とは距離を置いてるそう。デザイン思考の概念が取り入れられ始めたのが1990-2000年代。その後はイノベーションが必要だからという理由でやたらとデザイン思考研修が行われる状態になりました。それでも日本から画期的なイノベーションが生まれていない現状を考えると、デザイン思考研修だけでは越えられない壁の存在を感じます。単なる概念だけに頼らないようにするためにも、対話が大事になるのかもしれません。


今回の作品のテーマはイノベーションですが、資本主義をどのようにして乗り越えるかについても考える回にもなりました。

認知資本主義を乗り越えていくために、新しい世界観を今後も考えていきたいと思います。

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Jun 15, 202345:29
ep26-1 「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

ep26-1 「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

 26冊目に扱うのは、「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」です。人類学者や経済学者など専門が異なる3名の方によって書かれた本書。著者の一人である人類学者の比嘉 夏子さんに対してアワノさんが関心を持ったことから、本書を選びました。 

この作品は、UCI Lab.という対話にこだわるコンサルティング会社を通して、イノベーションの現場をエスノグラフィカル(もしくはフィールドワーク的にという言い方がわかりやすいかもしれません)に描かれており、やや難解かもしれません。とは言え、学びの多い内容でした。 

UCI Lab.は、約130年続く広告会社の社内ベンチャー事業から立ち上がり、独立したコンサルティング会社です。ちなみに、UCIは、「User Centered Innovation」の略。伝統ある会社の中でイノベーション的にこの新事業がどのように生まれてきたか、を読み解いていくことが、本書の大きなテーマになります。またアワノさん曰く、各章の最後に掲載されている著者3名による対話が印象的とのこと。

 

さてさて、今回のキーワードはこちらになります。

  1. イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?
  2. ようこそおとぎ話の時代へ
  3. デザイン思考という落とし穴

また今回、これらの興味深いキーワードに加えて、「コーチングの闇出自」についても触れる予定です。コーチングとはかかわりの深い星野も興味津々(戦々恐々??)です。詳しくは次回以降で解説しますね。


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Jun 08, 202320:40
ep25-3 「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

ep25-3 「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

三島由紀夫さんの「不道徳教育講座」を扱ってきましたが、今回は余談話です。

「不道徳教育講座」は、不真面目な人というよりは真面目な人に対しての不道徳のススメのように思われます。真面目に生きすぎるなよ、他人のつくったルールを気にしすぎるなよ、という三島さんからのメッセージではないかと。 

今回ご紹介したもの以外に、本に取り上げられている不道徳講座の中で粟野さんが取り入れたいと感じられたものはこちら。 

・けんかを自慢すべし自慢をするときには意味がないことをした方がいい。人に妬まれるような自慢をするのではなく、どうでもいいことで自慢をすべきと。

 ・告白するなかれ自分の弱みをさらけ出すのは無礼者だ。本来の人の姿は醜いものだから、弱みや自分の本当の姿を他人に認めてもらうべきではないし、見せるべきではない。そこを愛せるのは自分だけなのだと。

 

実は今回、粟野さんは自分なりの不道徳教育講座をやりたかったものの、道徳的に生きてきた人間なので不道徳話がなく、星野の子ども時代の不道徳の話をすることに。

星野は子どもの頃からルールを守ることが嫌いで、宿題や持ち物をよく忘れるフリをして期限内に取り組むのを避けてきました。当然学校では先生に立たされ、叱られていましたが、その方が楽だと母親に言い張っていたようです。そこから、嫌なことは逃げ続けててもだいじょうぶ、最終的にはなんとかなるという成功体験を得てしまっていたのかもしれません。

 

以上、3回にわたり「不道徳教育講座」をご紹介してきました。今の時代にも通用する内容も多く、三島由紀夫さんの作品の中では軽く読みやすいものですので、ぜひ読んでみてください!ご自身で読まれた方はぜひ感想をお寄せください!


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May 19, 202319:10
ep25-2「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

ep25-2「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

引き続き、三島由紀夫さん著書の「不道徳教育講座」を扱っていきます。

今回は、3つのキーワードを元に、過去に読書の時間で扱ってきた作品の内容と関連付けて解説していきます。

 ・人の恩を忘れるべし

日々生きていると恩を受ける機会がありますが、三島さん曰く「受けた恩を忘れるべきだ」と。恩が原因で、人間関係を固定化させ、縛り付けて不自由にしてしまう可能性がある訳です。言い換えれば、恩が人生の貸借関係をつくってしまう。自分が恩を与える立場に立ったときには、リターンが戻ってくると思わないことが大事です。第6回で扱った伊藤亜紗さんの「利他とは何か」でも、「相手をコントロールしないのが利他の最大のポイント」と書かれていました。特に、親は、子どもに対して育てた恩のリターンを求めてしまうところもあるので、要注意。後輩におごる論もよくある話ですが、自分へのリターンを求めるのではなく、さらに下の世代へと恩を送る流れが生まれるとよさそうですね。ちなみに三島さんは、身勝手ですぐに恩を忘れるという点で、猫がお好きだそう。 

・キャッチフレーズ娘

これは、三島さんがとある女性に対して好きな音楽を尋ねた際に、キャッチフレーズ的な言葉で回答されたというエピソードについて書かれた章です。自分で考え、自分の言葉を繰り出すわけではなく、誰でも言えそうなキーワードやキャッチフレーズなど、借り物の言葉ばかりを使っている人々への批判とも言えます。インプットを重視している人はこの状態に陥る可能性が高いので注意が必要ですね。三島さん曰く、時代の影響を受けキーワードやキャッチフレーズを利用するのは仕方ないが、自分の頭で考えて自然な機知(ウィット)に富んだ言葉を使うのが大切だとか。第23回、千葉雅也さんの「勉強の哲学」に書かれていた、「知識を深く掘った後にユーモアで自分なりに思考を横に広げていくことの大切さ」と似ていますね。 

・言葉の毒について

それ自体に破壊力が備わっているという点で、「言葉には毒がある」と三島さんは述べられています。噂が回りに回って潰れた最近のアメリカの銀行は、言葉の破壊力を実感する例ですね。特に、対面で言われる自分の批判以上に、陰口や悪口は言い返すなど対応することができないので、腹立たしいものだと三島さんは語られています。また、以下のような文章もありました。「第三者から言われている悪口・陰口がもっとも自分が見たくないもので、それが本当の自分ではないのか」。当時、メディアなどにも叩かれていたであろうにかかわらず、客観的に自身のことを顧みれる三島さんの姿勢が感じられます。

ただ、この言葉はあまりにも威力が強い。そんな時に、第21回で扱った「自分の中に毒を持て」の岡本太郎さんの考えが救いになります。「人間なんて欠点あって当たり前、そんなのを気にしている場合ではない、日々自分を変えていけ」。

 

三島さんのこの3つのエッセイのテーマはどれもインパクトがあり、ついつい余談も盛り上がってしまいました。

過去扱ってきた書籍と紐づけられると、より理解が深まっていく手応えがありますね。

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May 10, 202338:48
 ep25-1 「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

ep25-1 「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

 25冊目に扱うのは、三島由紀夫さんの「不道徳教育講座」です。

ご存じの方も多いと思いますが、三島由紀夫さんは戦後の日本文学界を代表する小説家の一人です。

「金閣寺」や「潮騒」といった作品が有名ですね。

政治思想の点などで、三島さんを敬遠される方もいますが、今回の「不道徳教育講座」は、

週刊明星という女性向けの雑誌に掲載されていたエッセイなので、ユーモアにあふれており読みやすい作品です。 


今年の3月に大江健三郎さん、坂本龍一さんが亡くなられましたが、

お二人のインタビュー記事で三島さんのことがよく出てくることもあり、粟野さんは三島さんに関心を持たれたそう。

坂本龍一さんのお父さんは、出版社の編集者で、当時三島さんの担当だったこともあり、

三島さんが亡くなった際に、坂本さんは三島さんの遺体と会わせてほしいと警察署に駆け込まれたエピソードがあります。

また、大江健三郎さんは、著書「あいまいな日本の私」で三島さんに言及されています。 


さてさて、「不道徳教育講座」は69章のエッセイから構成されています。

(本当は70章だったが、暗殺をテーマにしたエッセイが書籍化された際には除かれたそう)その中から、

粟野さんが個人的に3つをピックアップしてくれました。 


今回のキーワードとなる各章をご紹介。

・人の恩を忘れるべし

・キャッチフレーズ娘

・言葉の毒について 


今回はこれらのキーワードを、過去に読書の時間で扱ってきた作品の内容と関連付けて粟野さんが解説されます。

詳しくは次回で説明しますね。

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May 04, 202313:11
ep24-3 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

ep24-3 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

三回目の今回は余談回です。

第二回の最後では、「教養とは、全体の中での自分の立ち位置・方向性を分かっていて、自分の考えを述べることができること」という著者のピエール・バイヤールさんのメッセージを紹介しました。

このメッセージに対して、星野がとても共感するところがあり、全体の中で自分の立ち位置・方向性をとらえることの大切さを語らせていただきます。

 ・シードプランターシードプランター(種を植える人)は、ネイティブアメリカンの部族のチームビルディングの手法です。シードプランターでは、まずは自分で自分を感じ力を取り戻します。そして自分の好きなこと・得意なことを自覚していきます。自分だけでは見つけられない場合もあるので、他者の意見も聞きます。ただし、これだけだと、チームビルディングにはならないので、最後に自分が何を伸ばしていきたいかをチームの中に共有します。

この過程が重要だと星野は考えています。昨今キャリアを考えていくときに、自分の一番好きなこと・得意なことを大事にしようとは言われがちです。しかし、それらが周囲に求められていなかったり、それらで稼ぐことができなかったりすることがあります。チーム・組織など全体の中で自分の好きなこと・得意なことをとらえ、伸ばしていく方向を定めるのは大事なのではないかと思います。 

最新の知識・スキルだけが必ずしも正しいというわけではなく、古くからの知の集積もこの現代に必要かもしれません。

こうした手法は、現代の大人・子どもにとっても大事なソーシャルスキルになってくるのではないかと星野は考えており、シードプランターについて深く勉強していきたいなあと思っています。

いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!


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Apr 28, 202318:18
ep24-2「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

ep24-2「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

引き続き「読んでいない本について堂々と語る方法 [ピエール・バイヤール (著), 大浦 康介 (翻訳)]」を扱っています。

この番組を通して、読書・教養とは何なのかを振り返るいい機会になったように思います。

ちなみに、粟野さんが考える教養を持つ人とは、体系的にものごとを理解している人。

星野の考える教養を持つ人とは、会話において相手への気遣いができている人です。


 今回のキーワードはこちらです。

・読書・教養はプロレスである

・読書・教養は本と距離をとることである

・読書・教養はクリエーターになることである 



・読書・教養はプロレスである

プロレスの世界では暗黙の了解ですが、ある程度演出が決まっています。

それでも、エンターテインメントとして多くの人に受け入れられています。

読書も、プロレスのように、本当は内容を知らないのに知っているように振る舞っていいんです。

粟野さんの大学院生時代に、教授から言われた一言があります。

「マルクスを面白いと思うが、どこが面白いかは聞かないで」というもの。

大学教授でもこう言えるのであれば、読書を神聖・高尚なものとしてではなく、

より気軽なエンタテイメントとして捉えても良さそうですね。


 ・読書・教養は本と距離をとることである

ピエール・バイヤールさんは「教養とは、個別の1冊について詳しくなることではない」、

むしろ「その本について語るなら読んでないほうがいい」と述べています。

すると、教養とは「物事を詳細に知っていることではなく、俯瞰的にものごと全体を語れること」なのかもしれません。

とはいえ、俯瞰的にものごと全体を語ることは簡単なことではありません。

そう考えると、著者は学者や学問を学んでいる若者を対象にこの作品を書かれたのかもしれないですね。


 ・読書・教養はクリエーターになることである

読書は受動的なイメージがありますが、ピエール・バイヤールさん曰く「作り出すことが教養である」とのこと。

読書の規範にとらわれないほうが、個人のクリエイティビティが出てくる、と。

ファンが勝手に生み出し、原作者にも公認された「ガンダムユニコーン」などはこの最適な例の一つかもしれません。

「教養とは、全体の中での自分の立ち位置・方向性を分かり、自分の考えを述べることができること」と、

ピエール・バイヤールさんは書かれています。

このメッセージを受けて、星野がめちゃめちゃ語りたいことがありますので、こちらは次回で紹介させていただきます!

 

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Apr 21, 202335:30
ep24-1 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

ep24-1 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

24冊目に扱うのは、ピエール・バイヤールさんの「読んでいない本について堂々と語る方法」です。

ピエール・バイヤールさんはフランスで大学教授を務められる文学者。

翻訳は、フランス文学の研究者で京都大学名誉教授の大浦 康介氏がされています。

前回に引き続き、インパクトのあるタイトルですが、世界的にベストセラーになっており、30か国以上で翻訳されています。

 

読書は高尚・神聖なイメージを持たれることがありますが、著者のピエール・バイヤールさんは以下の3つの読書の規範からの方向転換をすすめられています。

・読書義務(教養のある人は立派な本を読まなきゃダメだ)

・通読義務(最初から最後まで読み切らなきゃダメだ)

・本について語る規範(ちゃんと読んでなきゃ語っちゃダメだ)

この3つの規範なんか気にせず、もっと気軽に自由に読んじゃったらいいよと。

 

また、読んでいない本について堂々と語るときの心構えとして、以下の4つをあげられています。

・気後れしない

・自分の考えを押し付ける・

・本をでっちあげる

・自分自身について語る

読んだ本から結論も勝手に変えてしまっていいというのはびっくりです。

 

とはいえ、こうした考えは、読書に対していろんな人の背中を押してくれているのではないでしょうか。

星野も、粟野さんのおかげで、常日頃から読んでいない本について堂々と語らせていただいておりますが、より堂々と語ることができそうです。

 

今回のキーワードはこちらです。

・読書・教養はプロレスである

・読書・教養は本と距離をとることである

・読書・教養はクリエーターになることである

 

詳しくは次回で説明しますね。

 

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Apr 15, 202317:11
ep23-3 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

ep23-3 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」を扱ってきましたが、今回は余談話の回です。

前回も少し触れましたが、本書の表現は入ってきやすい文体です。

これはもしかすると、千葉さんが大学で授業を持っているからかもしれません。

10代・20代の若い人たちを想定して書かれたものだからかもしれませんね。

さて、今回は第1・2回のキーワードでは触れなかったものの、印象的だった内容を紹介していきます。


・読書の技法

今回扱ったこの本のように読みやすいものがある一方で、古典の哲学書のように難解な本も世の中には存在します。

千葉さんによれば、そういった難解な本を無理に理解したり納得したりする必要はなく、専門用語一つ一つ気にする必要もないそうです。

一つの部屋に入ったときに全体をぼんやり眺めるように、難解な本もふんわり読んで、なんとなく全体を把握することからスタートすればよいとのことです。


・決断主義と信頼できる人

混沌とした現代においては「郵政民営化」「アベノミクス」など強いリーダーシップや即決など、決断主義が注目を集める傾向にあります。

しかしながら、千葉さんはこうした決断主義に警鐘を鳴らしています。

信頼できる人とは、「決断は仮でするが、その決断にこだわりすぎず、常に他の選択・正解を模索している人」だと述べられています。

一つのことだけにこだわらず、常に世界を多層的に捉えている人や、さまざまな世界に開かれている・繋がっている人。オープン感が大事な時代ですね。


ホシノは最近、どうすれば世界がうまくいくか、良くなるかを考えていますが、

自分がいかに知らない世界に触れ続けて、寛容であるかが大切だと改めて感じる機会になりました。

今後も、知らない世界に触れ続けて、寛容であることを心がけましょう。


以上、3回にわたり「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」をご紹介してきました。

いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

今回のシリーズが皆さんにとって有益であり、また新たな読書の楽しみや学びの機会につながることを願っています。

次回も、引き続き興味深い本や話題についてお届けしますので、お楽しみに!


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Apr 08, 202318:47
ep23-2 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

ep23-2 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

引き続き「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」の本格的な解説に入っていきます。

今回のキーワードはこちらです。 

・来たるべきバカ

・言葉にこだわってキモくなる

・深い勉強の思考法 ツッコミ/ボケ/こだわり


 ・来たるべきバカ

自分が自由になるため、自分の可能性を広げるためには環境や自分を変えて「喪失」することが必要になってきます。

そして、喪失するためには「来たるべきバカ」になる必要があります。

【バカになるための三段階】第一段階は、周囲のノリに合わせているだけの状態。

大学のサークルなどでよくあるかもしれません。第二段階は、勉強してノリが悪くなる状態です。

ここでの「勉強」とは、環境に違和感を持ち自分の興味を追い求めること。

第三段階は、自分の個性・追い求めるものを理解しながらもこだわることなく、客観的にものごとを見ながら周囲のノリに合わせられる状態になります。 

表面的な行動から第一段階と第三段階を識別することは難しいわけです。

渋谷のハロウィン騒ぎをしている方の中にも、第三段階にある方がいる可能性もあります。

千葉さんが伝えたいことは、一つの価値観だけに縛られないことの大切さ、なのかもしれません。

また第二段階を経ないと第三段階には至れないように、自分の興味に固執して「勉強」しないと「来たるべきバカ」にはなれないようです。 


・言葉にこだわってキモくなる

私たちは言葉とともに生きている以上、言葉の持つ一義的な意味や価値観に縛られてしまうことがあります。

詩人が言葉の組み合わせを操るように、こどもたちが言葉遊びをするように、

周囲に流通している言葉への個人的な違和感を見逃さないことが大切なのかもしれません。 


・深い勉強の思考法 ツッコミボケこだわり

環境から自由になり「来たるべきバカ」になるための「勉強」には、3つのポイントがあります。

①    ツッコミ=真理を深掘っていく(前提を疑う)

②    ボケ=ユーモアでずらす(似たような事例を挙げる)

③    こだわり=享楽的になっていく(身体の衝動に従って、突き詰める先を定める)

 ついつい正解を求めてしまう現代ですが、自分なりのこだわりを見せていくことが大事になってきているのかもしれません。

来たるべきバカ同士の語り合いや、お互いの奥底の無意味を響かせ合う勉強の場を、アワノさんとホシノで引き続きつくっていきたいと思うところです。

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Apr 02, 202340:56
ep23-1 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

ep23-1 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

23冊目に扱うのは、千葉雅也さんの「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」です。

千葉雅也さんは立命館大学の教授で、哲学や表象文化論を研究されています。

2013年には紀伊国屋じんぶん大賞も受賞されましたね。小説家としては芥川賞の候補にも二回なっています。

哲学者でありながら小説家でもある千葉さんの作品は読者をひきつける文体で書かれており、難解なテーマでも読みやすいものが多いようです。

 タイトルは「勉強の哲学」。

一見お勉強・学問系のお堅い話かと思われますが、ここで扱われている「勉強」とは、端的に言うと「喪失」のこと。

自分がより自由になり可能性を広げるために、今自分がいる環境の常識を離れ、自ら変っていくこと。

お堅い「お勉強」とは一線を画す深い「勉強」についてを語った本です。 


副題にもついている「来たるべきバカ」というキーワードも気になりますね。

千葉さんが掲げる「バカ」という言葉は、すべての人が秘めている要素のこと。

特に享楽的な状態・何かにこだわっている状態のことを指すようです。

例を挙げると、「ドラゴンボール」について皆が雑談として表面的な話題をしているときに、

突如「負けキャラとしてのヤムチャ」について滔々と語る状態のことと説明しています。

少し前に流行った「偏愛」という言葉に近いかもしれません。 


この本は、真面目に学問や勉強法など語られるものではなく、

自分の個性や内面、またそれを形づくる出会いなどについて考える本になりそうです。


今回のキーワードはこちらです。

・来たるべきバカ

・言葉にこだわってキモくなる

・深い勉強の思考法 ツッコミボケこだわり 


次回その詳細について解説していきます。 


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Mar 24, 202320:48
ep22-3 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

ep22-3 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

これまで「ハッピークラシー」を扱ってきましたが、いよいよ締めの第三回です。
今回は、前回までを振り返り、気になることをこぼれ話としてお話していきます。

◎社会正義とは何か?
第二回で出てきた「社会正義」という言葉に対して、気になることがあり少し話しました。
Wikipediaでは、「社会の常識から考えて正しい道理のこと」と書かれています。
ただし、今や多様性の時代ですし、それこそ正義は人の数だけあるとも言えます。
そんな中で、社会の正義をどう定めるのかが気になりました。

おそらく、それぞれが自分にとって、自分を取り巻く様々なコミュニティにとっての正義を考え続けるべき、ということなんでしょうね。
以前宮台さんの回でも話されていたように、小さい社会から再構築していき、コミュニティとしての合意を積み重ねていくしかないのかもしれません。
我々も、そうした社会技術を身に付けていかねば、ですね。

◎日本の幸福学第一人者、前野隆司さんの本を読んでみた。
ハッピークラシーの考え方に触れた後、日本の幸福学の第一人者とされる前野雄二さんの本を読んだようです。
結論、ハッピークラシー的な観点から言うと、読んじゃダメな本。
前野さんが今の方向性で活動すればするほど、日本のハッピークラシー化は進んでいく可能性が高そうです。
かと言って、個人が幸福を求めていく姿勢は誰にも否定できません。
ただ、その結果個人の幸福が実現されるとは限らない訳です。

自分にばかり目を向けるのではなく、自分を含めたコミュニティを含めた視点で幸せ追求をすることが、ポイントなのではないでしょうか。
その過程で世界も、価値観も広がっていきます。
中島岳志さんの「思いがけず利他」でも話していたことと重なります。

◎岡本太郎展に行って感じたこと。
こちらも以前の回で扱った「岡本太郎展に粟野さんが行かれたそうです。
そもそも岡本太郎さんは、自身を幸福反対論者だと言っています。
「幸福」ではなく、「歓喜」「享楽」を求めていたようです。
居心地の良さや自分らしさの実現ではなく、リスクを伴い、限界ギリギリまでいのちを使い切る感覚。
実際に作品を見ると、そうした感覚が伝わって来たようです。
こうした視点も大切にしながら生きることで、ハッピークラシーに陥ることを防げるのかもしれません。

以上、3回にわたり「ハッピークラシー」をご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

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Mar 17, 202313:41
ep22-2 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

ep22-2 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

さて、本格的に解説に入る第2回。
今回3つのキーワードを辿りながら解説を進めていきます。

・ポジティブ心理学とグローバル化

・ポジティブ心理学と新自由主義

・ポジティブ心理学と仕事

・ポジティブ心理学とグローバル化

皆さんはマーティン・セリグマンという方をご存じでしょうか。
アメリカ心理学会の会長で、「ポジティブ心理学」のポテンシャルに着目し、
政治やビジネスと手を組みながら25年かけてその考え方を世界に広げていきました。
これにより、ハッピークラシーが蔓延る社会に変わっていった。
本著の中では、彼がハッピークラシーをつくり上げた悪の親玉扱いされています。

これまで測れないとされてきた幸せに、経済学とポジティブ心理学が尺度をつくった。
幸福度を指標化し、世界保健機関でも採用されるようになり、グローバル基準となった。
この尺度に沿って様々なビジネスが生まれた。
ただし、この世界統一の幸福度尺度が生まれたことにより、
適切な批判精神が国民から失われていった可能性があります。

・ポジティブ心理学と新自由主義

新自由主義とは、何よりも個人主義的な社会哲学だとされています。
個人が何よりも大事だ、という考え方が根本にあり、ここにポジティブ心理学がハマりました。

大変な苦境の中でも、自分の心構え次第で幸せにもなれる。
たとえばつらい環境は、これ以上ない学びの機会として変換できる。
こんな考え方が広まっていくにつれて、本来は社会が対応するべき問題だったものが、
個人の問題へと押し込められていきます。

幼いころから新自由主義・ポジティブ心理学で育てられてしまうと、
過剰に自己責任的に判断するようになってしまいます。

たとえば「幸福の方程式(Happiness formula)」というものがあります。

幸せ(100%)=遺伝子による設定値(50%)+環境(10%)+意図的行動(40%)

この方程式を少し読み解きたいと思います。
遺伝子的な動かせない要素を除くと、個人の行動で変えられることが8割。
環境という個人の努力では変えられないことが残り2割。
つまり、遺伝的な要素を除けば、幸せになれるかどうかはほぼ個人の行動にかかっている。
幸せであるかどうかは、ほぼ個人の問題である、と責任を押し付けられている、とも見れます。

・ポジティブ心理学と仕事

こうした考え方は、経営者目線で見ると最高の考え方とも取れます。
社員たちに対して、自己実現するのは自分たちの責任だよ、と言えるからです。
有名なマズローの五段階欲求説も、今の時代では逆転して使われていると言います。
まずは自己実現をしなければ、承認も生存も得られないと、都合よく使われてしまっています。

Zappos、Goole、IKEAなど社会的評判の高い企業も、
こうした論理のもとハッピークラシーを形成しているのかもしれません。

こうした幸せ願望に支配される状況に対する解決策として、下記が挙げられています。

・批判的な思考力や分析力を持つこと

・知識と社会正義、社会全体のことを考えること

普段中々気づけない視点に気づかされる本でした。
我々も個人ばかり顧みずに、たまには社会正義を考え、訴えていきましょうね。

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Mar 08, 202335:15
ep22-1 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

ep22-1 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

今回扱う「ハッピークラシー」は、フランスで出版されたベストセラーです。
スペイン人の心理学者エドガー・ガバナスさんと、イスラエルの社会学者エヴァ・ルイーズさんによる共著。

そもそも耳なじみのないハッピークラシーという言葉は、
「幸せ(HAPPY)」による「支配(CRASY)」を意味する造語です。
「誰もが幸せを目指すべき」というメッセージが社会に溢れている現代ですが、
ここに対する警鐘が本の中であげられています。

極端に言えば、「ポジティブ心理学の闇を暴く」といった感じです。
ポジティブ心理学を「白衣の科学者が伝えるポップ心理学」とまで言っていますので、
極論好きのホシノは、ウズウズと血が騒いできました。

皆さんもついつい、良かれと思って人にハッピーを押し付けてしまっていることってありませんか。
我々も思い当たる節だらけ。本の中でも、様々な言葉が危ういとされています。
「ウェルビーイング」「Happiness」「マインドフルネス」「グリッド」「EQ」「レジリエンス」。
仕事で言えば、「心理学者」「コーチ」「研修講師」「キャリアコンサルタント」。
(こう見ると、アワノとホシノは危うさの塊ですね…。)

ハッピーが数量化・可視化されることによって商品化され、人々を操っていく。
世界幸福度ランキングなどもその一つの例です。人的資本経営などもそうでしょうね。
この考え方は、問題の解決を自己の内面に求めさせます。
教育やビジネス、政治にとっても都合のいい人材を増やす結果にもつながりかねません。


さて、今回も3つのキーワードを軸に説明していきます。

・ポジティブ心理学とグローバル化

・ポジティブ心理学と新自由主義

・ポジティブ心理学と仕事

詳しい解説は、2回目で。

またお聞きくださいね!

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Mar 01, 202319:15
21-3「自分の中に毒を持て(岡本太郎さん)」

21-3「自分の中に毒を持て(岡本太郎さん)」

三回目の今回は、二人でこぼれ話をしていきます。気楽にお聞きください。
いくつか、お話のエピソードをまとめておきます。

◎資本主義と乗り物

それぞれの世界を司っているルールや空気感のようなものが存在していて、各ルールに適した専用の乗り物があると生きやすくなります。資本主義という大海を渡るには大企業と言う船に乗るのが快適で、そうでない世界では岡本太郎さん的な考え方が身を守る乗り物になることもある。個人的には、資本主義ではないルールが漂う場所がだんだんと増えてきている感覚はあります。

◎芸術は爆発しない、宇宙に向けてひらく

岡本太郎さんの有名な言葉「芸術は爆発だ」ですが、実は厳密には爆発は意図していないようです。大きな音もしないし、ものも飛び散らない。そうではなく、全身全霊が宇宙にむかって無条件にひらいている様を表していたそうです。その状態を爆発に見立てていたそう。

◎コミュニケーションを否定するコミュニケーション

情報化社会だからこそ、単なる理解を越えた超情報を大切にするべき。目に見えるものや現在の科学で認知できるもの以外にも大切なものがある。多くの人々にわかりやすく伝える(コミュニケーションする)には難しい分野だが、わかりやすいものばかりを扱っていると、大切なことがこぼれてしまう可能性もあります。

◎日常の中に不可解なパワーを採り入れたい欲

星野が「明日の神話」の前に佇んでみたのは、ナポレオンがピラミッドの中で寝たエピソードを忘れられなかったからかもしれません。測りにくいパワーを感じる場所を自分の日常にすることで、何かしらを自分の中に取り入れたい気持ちがあったからではないかと、今では考えています。

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Feb 23, 202321:57